今年最後のBAC見仏会はサントリー美術館で飛天、雲中供養菩薩と
ご対面することとなった。
年末の慌ただしい時にも関わらず、16名の皆さんが10時開館に合わせ
美術館に集合した。ミッドタウンに着くも、なかなか会場に到着できずに、
入口を探し回った方も多い。確かに、最初は分かり難い。
平等院鳳凰堂の修理に伴い、国宝が特別公開となった。雲中供養菩薩や
飛天を間近で拝観できる絶好の機会だ。
展示は2フロアを使用している。最初に、インド・中国・朝鮮の飛天を紹介。
国が異なっても、極楽を願う気持ちは同じであり、飛天を通じて仏教世界
の共通性を認識できるかもしれない。
仏伝浮彫の3点は仏陀誕生を時系列的に理解する格好の彫刻と思えた。
「出家決意・出域」「マーラの誘惑・降魔成道・初転法輪」「梵天勧請」で
仏陀となり、仏教が誕生した。
仏伝浮彫
「マーラの誘惑・降魔成道・初転法輪」
今回の展示で興味・関心が深まったのは、飛天と合わせて極楽に棲むと
言われている「迦陵頻伽(かりょうびんが)」と「共命鳥(ぐみょうちょう)」だ。
展示物の中に描かれた迦陵頻伽と共命鳥を確認しながら観覧したように
も思える。
も思える。
「金剛迦陵頻伽文華鬘」。
法隆寺・飛天 中尊寺・迦陵頻伽文華鬘
飛天のお顔が白鳳期の仏像に見られる童子のような顔立ちで、愛嬌が
ある。(奈良博に寄託中、金竜寺伝聖観音菩薩のお顔にそっくり)
平等院の飛天と違った魅力を感じさせる飛天あり、親しみやすい。
また中尊寺華鬘に見える迦陵頻伽は姿形をくっきり表しており、寄り添う
姿も微笑ましい。迦陵頻伽をもっと詳しく調べたくなる。
仏像で印象に残ったのは、ヨガのポーズのように片足を上げ、体を捻った
像だ。蓮台を持つような仕草の像と合掌してる像から、観音と勢至の像と
判別できる。この身体のポーズにはどんな意味があるのだろうか?
また、神奈川・宝樹院の阿弥陀三尊像も見事。特に中尊の光背には飛天
が舞う姿が鮮明に彫られている。一度、宝樹院を参拝したいものだ。
二十五菩薩を引き連れた阿弥陀来迎図がいくつも展示されていた。来迎
の様子が、良く分かる。その当時の貴族たちはこの絵を眺め、極楽往生を
願ったのだろうと、想像した。
長いこと立ち止まって眺めたのは「文殊菩薩像光背」。船底のように反った
光背に細かい彫刻がなされていた。精密な彫刻に圧倒された。
ワンフロア降りて、雲中供養菩薩、飛天の展示された会場を観覧。
平等院鳳凰堂を模して雲中供養菩薩が壁掛けのように展示されていた。
一体、一体四方八方から拝観して行った。予想以上に大きく感じる。
意外にも僧形の菩薩に一番親しみを感じた。
雲中供養菩薩や飛天は、それ自体確かに素晴らしく見応えがある。しかし、
やはりお堂の中に荘厳されてこそ、その輝きが一際増すようにも感じた。
最後に、南20の模刻像と結縁を済ませ、今回の見仏会を終了した。
観覧後、ミッドタウンを出て、リーゾナブルな価格のお店で昼食を取りながら
歓談した。今年最後の見仏会、ご参加ありがとうございました。