2013年12月26日木曜日

サントリー美術館「天上の舞 飛天の美」を観覧!


今年最後のBAC見仏会はサントリー美術館で飛天、雲中供養菩薩と
ご対面することとなった。

年末の慌ただしい時にも関わらず、16名の皆さんが10時開館に合わせ
美術館に集合した。ミッドタウンに着くも、なかなか会場に到着できずに、
入口を探し回った方も多い。確かに、最初は分かり難い。

 
平等院鳳凰堂の修理に伴い、国宝が特別公開となった。雲中供養菩薩や
飛天を間近で拝観できる絶好の機会だ。
 
展示は2フロアを使用している。最初に、インド・中国・朝鮮の飛天を紹介。
国が異なっても、極楽を願う気持ちは同じであり、飛天を通じて仏教世界
の共通性を認識できるかもしれない。
 
仏伝浮彫の3点は仏陀誕生を時系列的に理解する格好の彫刻と思えた。
「出家決意・出域」「マーラの誘惑・降魔成道・初転法輪」「梵天勧請」で
仏陀となり、仏教が誕生した。
 仏伝浮彫
「マーラの誘惑・降魔成道・初転法輪」
 
今回の展示で興味・関心が深まったのは、飛天と合わせて極楽に棲むと
言われている「迦陵頻伽(かりょうびんが)」と「共命鳥(ぐみょうちょう)」だ。
展示物の中に描かれた迦陵頻伽と共命鳥を確認しながら観覧したように
も思える。
 
印象に残った飛天と迦陵頻伽は法隆寺天蓋付属の飛天と、中尊寺の国宝
「金剛迦陵頻伽文華鬘」。

  法隆寺・飛天     中尊寺・迦陵頻伽文華鬘
 
飛天のお顔が白鳳期の仏像に見られる童子のような顔立ちで、愛嬌が
ある。(奈良博に寄託中、金竜寺伝聖観音菩薩のお顔にそっくり)
平等院の飛天と違った魅力を感じさせる飛天あり、親しみやすい。
 
また中尊寺華鬘に見える迦陵頻伽は姿形をくっきり表しており、寄り添う
姿も微笑ましい。迦陵頻伽をもっと詳しく調べたくなる。
 
仏像で印象に残ったのは、ヨガのポーズのように片足を上げ、体を捻った
像だ。蓮台を持つような仕草の像と合掌してる像から、観音と勢至の像と
判別できる。この身体のポーズにはどんな意味があるのだろうか?
 
また、神奈川・宝樹院の阿弥陀三尊像も見事。特に中尊の光背には飛天
が舞う姿が鮮明に彫られている。一度、宝樹院を参拝したいものだ。
 
二十五菩薩を引き連れた阿弥陀来迎図がいくつも展示されていた。来迎
の様子が、良く分かる。その当時の貴族たちはこの絵を眺め、極楽往生を
願ったのだろうと、想像した。
 
長いこと立ち止まって眺めたのは「文殊菩薩像光背」。船底のように反った
光背に細かい彫刻がなされていた。精密な彫刻に圧倒された。
 
ワンフロア降りて、雲中供養菩薩、飛天の展示された会場を観覧。
平等院鳳凰堂を模して雲中供養菩薩が壁掛けのように展示されていた。
一体、一体四方八方から拝観して行った。予想以上に大きく感じる。
意外にも僧形の菩薩に一番親しみを感じた。
 
雲中供養菩薩や飛天は、それ自体確かに素晴らしく見応えがある。しかし、
やはりお堂の中に荘厳されてこそ、その輝きが一際増すようにも感じた。
最後に、南20の模刻像と結縁を済ませ、今回の見仏会を終了した。
 
観覧後、ミッドタウンを出て、リーゾナブルな価格のお店で昼食を取りながら
歓談した。今年最後の見仏会、ご参加ありがとうございました。
            
 





2013年12月20日金曜日

牧野さん「寺社の植栽」について話す!


今年最後の定例会は会員27名、見学者4名の参加で、大賑わいとなった。
前月まで「ロノ字型」に机を並べての席にしていたが、30名を超えると席が
作れない。今月はやむなく「学校スタイル」に机を並べ、着席いただいた。

最初に、来月以降の研究発表予定と見仏会での訪問先についてご連絡し、
皆さんのご了承を頂いた。6月までの訪問予定が決定!!

近況報告では先月からご参加の朝比奈さんが奈良古刹を参拝されたこと
を話された。朝比奈さんは3年前からに仏像彫刻を始められたとのこと。
現在、彫っている薬師如来が完成間近であり、次の計画は如来の中の
如来、大日如来だそうだ。

大日如来を彫り始める前に、像のイメージを掴むために奈良・円成寺に
行かれ、運慶作・大日如来坐像を拝観されたとのこと。朝比奈さんには、
すでに仏師の気迫が漂っているように感じられた。
~・~・~・~・~・~・

本日のメインは牧野さんが話す「寺社の植栽」。牧野さんは、樹木や草花
について造詣が深い。半年以上も前から計画し、今回ようやく実現となった。

     スクリーンで解説される牧野さん    解説を聴く皆さん

牧野さんの研究テーマとなったきっかけは次の4点とのこと。
1.寺院・神社それぞれに特定の植栽はあるのか?
2.仏教の宗派ごとの特定の植栽はあるのか?
3.寺院の庭は何故美しく造園されているのか?
4.寺院・神社で良く見かける植栽とその効用(役目)は?

今も、この4つの視点で研究を継続されていることと思う。

大変興味深く拝聴したことは、寺院庭園の歴史を時代別に整理されて、
解説頂いたことだ。庭園はご本尊とお会いするためのアプローチであり、
庭園の持つ意味を理解することによって、参拝の魅力が倍増する。

寺社で良く見かける植栽とその効用一覧表は今後、寺院参拝時の必携
資料となる。
ベスト10は、「マツ」「イチョウ」「クスノキ」「カシ」「ケヤキ」「スギ」「シイ」
「マキ」「ウメ」「カエデ」だそうだ。

また、杉並区にケヤキが多いのは、杉並区は昔は農家が多く、ケヤキの
葉が肥料となることから多く植栽されたとのことだ。なるほどと納得。

「鎮守の森」の解説で、杉並区の現状について話されたことも、大変興味
深い。
①鎮守の森:現存28寺社(神社23・寺院5)
②貴重木、代表木がどういう木のことか、またその基準と実数
③区の緑の占有率22% (⇒ 23区中何番目か知りたい。)

「寺社の参道や庭園を歩き、植物の生命力を感じとって下さい」との結びは
大変印象に残った。参拝がより一層楽しみとなる。
~・~・~・~・~・~・

その他、今月学習したこととしては2点
1.国宝十一面観音立像7体

2.平等院鳳凰堂の創建歴史及び、ご本尊と雲中供養菩薩・飛天
  (サントリー美術館 「天上の舞 飛天の美」の事前学習)

 
定例会終了後、会場を変え、ご都合の良い方のみの忘年会を実施した。
参加者19名とこちらも大変賑やかな会となりました。
今年最後の定例会も楽しく有意義なものとなりました。ご参加の皆さん
のご支援、ご協力に心より感謝。 (合掌)




2013年12月12日木曜日

映画「天心」を鑑賞する!


昨日、シネマート新宿で「天心」を観た。天心没後100年の節目に
制作されたそうだ。岡倉天心の映画が上映されていることを知れば、
仏像愛好家の私としては見逃すわけにはいかない。

廃仏毀釈の嵐が吹き荒れる中、仏像や美術品を護ってくれたのは、
天心やフェノロサの尽力のお蔭だ。彼らがいなかったら、今日国宝
に指定された仏像の多くも焼失し、拝観することもできなかった訳だ。

天心の活動がどのように描かれているのか楽しみに、出かけた。
映画は昭和12年、横山大観(中村獅童)が第一回文化勲章を受章し、
新聞記者からのインタビューで師・岡倉天心(竹中直人)について
思い出を語る形で展開していく。

天心に従って、茨城県五浦に移り住み、日本画制作に没頭する
弟子4人(横山大観、下村観山、菱田春草、木村武山)の様子と、
師・天心の指導、影響を与える姿が克明に描かれている。

師と弟子との人間模様を詳しく知ることができたことと大観始め
日本画の巨匠を多く輩出した天心の功績を再認識できたことは
良かった。

仏像ファンの私としては、天心がフェノロサと調査した奈良の古刹
のこと、法隆寺夢殿で救世観音と対面した時のこと、更に仏像の
保護・保存活動にどのような活動をしたかなど、ほとんど描かれて
いないのが残念!!

古来からある日本的なものを大切に思う天心の姿をもっと具体的
詳細に描いてほしかったと思う。弟子4人がなぜ、天心に付いて
行きたいと思ったかも、もう少し描いてほしいと感じた。

横山大観の眼を通して描く岡倉天心像であり、描き方に制約と限界
があったのではないだろうか。


映画「天心」のフォトギャラリーから



2013年11月28日木曜日

ゆうゆう西荻北館「楽習塾」にて仏像講座!!



 
昨年11月に続き、ゆうゆう西荻北館「楽習塾」の仏像講座・講師を務め
させて頂きました。
 
お蔭さまで、皆さんの真剣な学習態度に、大変やり易い講座となりました。
中には昨年お渡しの資料をご持参された方いらしゃるなど、その熱心さに
敬服いたします。
 
今回は、「着衣」「印相」「持物」「台座」にスポットを当てた内容としました。
今まで、何となく見ていた仏像を、これからはポイントを押さえて拝観し、
楽しみが増えることを願っています。
2時間の講座も、笑い声の中で終了することができました。
 
最後に、薗部理事長のご挨拶があり、BACの活動をご紹介されたところ、
早速、何名かの方から参加のご希望がございました。仏像を通してのご縁
が広がることは大変嬉しいことです。
 
 
 

2013年11月21日木曜日

金沢文庫「特別展 東大寺」を観覧!

 
     東大寺南大門の金剛力士像  金剛力士の前で記念撮影
 
          金沢実時の像       反橋の上で記念撮影
 
         称名寺の庭園           金堂の拝観

釈迦堂の拝観
 
10時、京急金沢文庫駅に集合。「東大寺展」観覧、称名寺参拝に14名
が参加。天候に恵まれ、歩くのも心地よい、絶好の日和となった。
 
駅から金沢文庫までは緩やかな上り坂となっており、案内標識に従って、
10分近く歩く。角を曲がると、正面に金沢文庫の建物が見える。
 
金沢文庫の中に入り、受付で入館料を払う。800円の入館料が65歳以上
のシニアは、100円と超優遇となっている。
 
正面には、東大寺南大門・金剛力士像立像 面部模刻が入館者を睨む
ように展示されている。等身大の大きさで、迫力がある。阿形は運慶と
快慶、吽形は湛慶と定覚の作であることが、像内納入品で判明したとの
説明文も置かれている。
 
展示室に入館する。1階は、常設展であり、称名寺や金沢文庫の歴史
についての解説が展示されている。解説ビデオも視聴もできる。
 
称名寺のご本尊、弥勒菩薩立像・模刻像がすくっと立っている。金色に
輝く像で、左手には蓮華の花を持ち、その花の上には宝塔を載せていた。
ご本尊は秘仏で拝観できないため、この像をお参りした。
 
この像の裏手には、ご本尊の写真と左右に従う諸尊像の壁画(実物)が
展示されていた。色鮮やかに描かれた復元壁画も置かれており、見比べ
ながら、当初の見事さを想像した。
 
1階には運慶作の大威徳明王像も展示されていた。小さな像であり、腕も
台座の水牛も失われていた。これが運慶かとまじまじと見つめてた。運慶
と聞いただけで、何か特別な像と思えるから不思議だ。
 
いよいよ、2階の東大寺展会場へと移動。一番目を引くのは「重源上人
坐像」(国宝)。重源上人晩年の姿であり、寿像(存命中に造られた像)と
のことだ。今にも語り出しそうであり、見事なまでに高僧の威厳を感じる。
 
慶派の作に間違いないようだが、これも運慶の作とする説が有力だ。
またまた、運慶マジックにかかったように、暫く見続けていた。
 
先に進むと、康慶(運慶の父)作の伎楽面・治道や四天王立像(縮小像)、
さらには弥勒仏坐像と名品が続く。
 
快慶作の地蔵菩薩立像のところで、足が止まり、ずっと眺めることとなる。
地蔵菩薩の「端正」「理知的」な顔立ちは快慶の専売特許だ。快慶作のどの
像にも共通した顔立ちと言える。
 
その他、源頼朝書状(国宝)、華厳五十五絵巻(国宝)など、書状や巻物も
たくさん展示されており、十分楽しめる内容に満足でした。
 
金沢文庫から隣の称名寺へと移動した。ドアを出て、トンネルを抜けると
称名寺のイチョウと大きな池が眼前に飛び込んで来る。境内の右手を見る
と称名寺開基「北条実時」像が立っている。学問好きの実時が、これほど
イケメンであったかと感心する。
 
池の周りをぐるっと回り、山門の外へ出て、境内を眺める。山門には阿吽の
仁王像が立ち、境内には池に架かる反橋、平橋が見える。仁王像の大きさ
4mは関東一の大きさ。仏師は運慶などの慶派と違い、院派とのこと。
慶派も、院派も造像に関わっているとは称名寺の実力が感じられる。
 
反橋の上に並び再度、記念撮影をする。反橋と平橋、此岸から彼岸へ渡る
ことをイメージしての橋とのことだ。ご本尊が弥勒菩薩であり、この浄土は
極楽浄土でなくて、弥勒浄土と言うようだ。弥勒の住む兜率天か。
 
金堂、釈迦堂を参拝し、北条実時墓所へ向かう。境内の外を歩くと、急な
山道となった。この坂は少し負担が大きいと判断し、今回は断念した。
 
そろそろ、昼食の時間であり、予定していた店を向かった。残念ながら
店が閉まっており、止む無く駅前で店を探すことになった。駅前の店も
14名が入れるところがなく、更に駅の反対側に出て、探し始めた。
 
15分くらい歩き、ようやくファミレスに辿り着き、昼食となった。「昼食難民」
の言葉が出るほどであった。これも忘れられない思い出となるのでは?
天気に恵まれ、大変楽しい「見仏会」となりました。感謝です。
 
 
 

 

2013年11月15日金曜日

杉原さん 「仏画制作解説」と「作品のご披露」!!

 
(解説される杉原さん)
 
(解説を聴く皆さん)
 
 新規入会の会員が加わり、参加人数が25名。大変な賑わいとなった。
本日のメインは杉原攝子さんの「仏画解説」。杉原さんの仏画人気を
反映してか、いつも以上の人数となった。

最初に、準備されたレジュメに従い、「仏画ができるまで」のプロセスを
解説された。1.白描図  2.絹上げ  3.彩色  4.截金 の順に
制作用具、画材、絵具などの、現物を示し、丁寧に説明された。

初めて聞く用語や初めて見る材料もあった。「ドーサ引き」、「ドーサ液」
「生麩糊(しょうふのり)」、「膠(にかわ)と明礬(みょうばん)」、
「水干(すいひ)絵具」、「泥絵具」等々。

鮮やかな色彩を出すには、これだけの手間や工夫がなされるのかと
改めて、感心。集中力と粘り強さがないと手に負えないと感じた。

その後、写真に撮られた作品をスクリーンに映し出した。見事な仏の
姿に驚嘆の声が上がった。
杉原さんの仏画作品
             大日如来坐像      観世音菩薩

           不動明王坐像      中尊寺「華鬘」


皆さん杉原さんの周りに集まり、作品、画材、用具などについて質疑応答。
楽しく歓談の時間となった。

 
杉原さんが仏画を始められた経緯にお父様の存在があったことを
大変興味深く拝聴。師事した先生が、偶然にもお父様が師事した
先生のお弟子さんだったそうだ。正に「仏縁」。


今月の見仏会は延期となった金沢文庫「特別展 東大寺」。合わせて、
称名寺も参拝する。学習会では称名寺の縁起について学んだ。
 
今後のスケジュールについても、皆さんのご意見をお聞きし、決定。
12月は、定例会終了後、忘年会を実施、見仏会は、平等院鳳凰堂
の国宝特別公開に合わせ、サントリー美術館見学に変更。
 
精進料理を堪能したいとの要望もあり、鎌倉古刹参拝の計画も浮上。
来春、実現の方向で決定!



 

2013年10月24日木曜日

台風接近! 10月見仏会「金沢文庫・東大寺展」は延期!!


本日、金沢文庫での特別展「東大寺‐鎌倉再建と華厳興隆‐」を見学予定
であった。台風接近での雨風を考慮し、今回は断念。前日朝には、参加
予定の14名へメールで連絡。

平重衡の南都攻めで伽藍の大半を焼失し、その後の復興造営に着手した
人が京都 醍醐寺出身の僧、俊乗坊重源。

その重源の像「国宝 重源上人坐像」も出展される。その作者は運慶では
ないかと言う説もある。間近での拝観を楽しみにしている。

快慶作の「地蔵菩薩立像」も出展される。重源は仏師としての快慶を重用
し、快慶も重源に深く帰依していたとのこと。二人とも深く阿弥陀信仰の道
に入っていたようだ。

真言宗出身の僧が阿弥陀信仰を持って、華厳宗の寺院を再建とは何とも
不思議な感覚になる。東大寺展で伽藍再建のエネルギーを感じたい。

また、「四聖御影(ししょうのみえ)」始め、大仏造立での人間模様も面白い。
大仏開眼供養会に込められた思いとは何なのか。

見どころが多い東大寺展です。BAC11月の見仏会でぜひ実現しましょう。
                     
 国宝 重源上人坐像

  

2013年10月18日金曜日

山森さん「伎楽面」について解説する!


10月の定例会は23名の参加。毎月、案内メール送付の会員は30名。
出欠が入れ替わるものの、毎回7~8割の参加で推移している。

最初に、先月の「興福寺 仏頭展」について、感想を伺う。皆さん一様に
「仏頭が若々しかった」「こんなにじっくり眺めたのは初めて」等々、大変
好評だった。

幹事2人で参加した日経ホールでの「興福寺 仏頭展 トークショー」の
模様を報告。全盛時は3000~5000人もいた僧侶の人数が現在8名
になっていると話したところ、驚きの声が上がった。

「手を打てば、はいと答える、鳥逃げる、鯉はあつまる猿沢池」の句は
三者三様、見る世界がそれぞれ違うことを的確に表現している。この
句に、皆さん納得と頷かれていた。現象だけでなく本質・本体を見極め
なさいと言うことであり、「法相宗」という名前の由来につながるようだ。

仏像装束ショーの様子も撮ってきた写真を映し、如来、菩薩、天部の
装束をお見せした。会場が盛り上がった雰囲気も伝わったことと思う。


本日のメイン、山森平世さんの「伎楽面のご案内」。
伎楽面について解説される山森さん

伎楽面が日本に伝わった歴史と仏教伝来とが軌を一にしていたとは
驚いた。年表からひも解く伎楽と題して、歴史的な出来事と関連付けて
伎楽面を紹介された。

伎楽は主に寺院の仏教行事として、寺院屋内・境内にて寸劇で演じら
れていたようだ。余興的な要素もあり外国からの使節の接待にも演じ
られたとのことだ。

烏天狗や獅子舞などの源流もこの伎楽面にあるようだとの解説があった。
また、仏教を広める上でのPR活動にも一役買っていたとの話は、大変
興味深い。

伎楽面の名称・起源と14種類の役柄についてはスライドを観ながら
解説された。
              治道             獅子
 
              呉女             迦楼羅
伎楽面での演技を見るにはどうしたら良いかとの質問が出た。
一度、機会を作って「平成伎楽団」を見に行こうということになった。
 
今月は金沢文庫「東大寺展」を見学予定。出展作品の事前学習と
東大寺の縁起について理解を深めた。
 
出展の中には康慶(運慶の父)作の「伎楽面 治道」もあり、皆さん
楽しみが一つ増えたことと思う。
 
【予告】
11月定例会では杉原攝子さんの「仏画ができるまで」。
仏画制作の解説と合わせ、作品のご披露も予定。
お楽しみに!!
 
 

2013年9月26日木曜日

東京藝大 大学美術館「興福寺仏頭展」を観覧!


午前10時前、小雨の降る中、藝大美術館入口に会員17名が集合。
整列し、開館を待つ。ドアが開き、各自入場券を求めた後、ホールの
隅に集合。中嶋莉恵さんとご挨拶を交わす。

中嶋さんとは6月のBAC定例会で講演して頂いて以来の再会となる。
皆さん懐かしさで、にこにこし、また来て頂いたことに感謝した。

中嶋さんとの昼食を楽しみにし、いよいよ入館。先ずは、地下2階の
第一展示室。最初に目に入ったのは「厨子入りの勒菩薩半跏像」。
快慶の作風を思わせるような凛々しいお顔立ちの像。

厨子に描かれた諸尊像の彩色が見事に残っている。前面の扉には
無著、世親の像があり、さながら興福寺北円堂の仏像配置を連想
させる。

また、12人の護法善神扉絵の彩色も見事。形姿がくっきりと分かり
見応えがあった。この12人の組み合わせ基準は何だろうか。
梵天・帝釈天、四天王の他に、閻魔、阿難、玄奘三蔵も入っている。

次に、地下2階の第二展示室に移動。こちらは板彫十二神将が
展示されている。この像は元々東金堂本尊の台座を飾っていた
そうだ。これだけの像が飾る台座も見事であったろうと想像される。

この像は3体ずつ4面に展示されているが、干支の順には配置
されていない。像の動きを加味し、バランスよく配置されている
ようだ。合掌する真達羅大将(寅)を真ん中にし、向かって右に、
招杜羅大将(丑)、左に伐折羅大将(戌)の配置はまるで三尊像
のような形になっていた。落ち着いた印象を与える。

私が好きな像は迷企羅大将(酉)だ。片足を上げて、口を大きく
開いた姿は、躍動的であり、一番力強さを感じる。

最後に、3階の第三展示室に移動。仏頭と十二神将の展示され
ている。入口を通ると、正面奥に鎮座する仏頭が目に入る。入口
右手から干支の順(反時計回り)に十二神将が並んでいた。

十二神将は頭上にある干支の動物も、見どころの一つだ。最初に
目にしたのが毘羯羅大将(子)。このユーモラスな風貌が強烈な
インパクトだ。こちらの十二神将では一番のお気に入り。

顔立ちで好きなのは波夷羅大将(辰)、彩色が見事に残る安底羅
大将(申)も良い。形相に凄みを感じる伐折羅大将(戌)も印象深い。

仏頭はどの角度が良いかそれぞれ、角度を上下左右に移動して
眺めた。やはり左45度前後の角度が良いのではないかと思われる。
真後ろからも拝観したが、少し痛ましい。

一番奥には、同じ白鳳期の像として、深大寺の釈迦如来倚像が展示
されていた。こちらの像も素晴らしい。しかし、高貴な感じは、仏頭の
方が一枚上のように思える。

余韻に浸りながら、1階のホールに戻り、11時半の集合時間を待った。
中嶋さんも再度お見えになった。全員が集合したところで、昼食の場所
へ移動した。藝大の食堂は一般の人にはまだ開放されておらず、次に
近くのデニーズへ中嶋さんのご案内で向かった。

参加者16名、全員日替わりランチを頼み、楽しく歓談した。皆さんから
中嶋さんへの質問も交え、和やかなひと時を過ごす。

藪内先生はイベントや講演会も多く、中嶋さんもその準備に大忙しの
ようだ。近々福井へのご出張もあり、講演もされるとのこと。

「中嶋さんもNHKのテレビに出て有名人になり、色々、引っ張りだこで
しょう」と言いましたところ、「NHKに出たお蔭で、皆さんとお知り合い
になれたことです」とのお言葉でした。本当に嬉しく、有難いことです。

BACは今後も〝莉恵ちゃん先生″をしっかり支援して行きましょう。

昼食後、帰り道に撮影
(全員の記念撮影できず、残念)






2013年9月20日金曜日

朝倉さん「シルクロードの仏たち」について語る!!


9月の定例会には会員24名が参加。8月とは打って変わって、
超満員の賑わい。今回の学習会テーマは2つ。

1点目は朝倉さんにシルクロードの仏たちについて、仏像の誕生
から特徴、ガンダーラのエリアや現在の状況などを話して頂く。

朝倉さんはシルクロードに対して、興味・関心が極めて強く、様々な
写真やデータを収集しファイリングされている。今回、手作りの地図
や画像を活用し、約40分解説をして頂いた。

アレクサンドロス大王の遠征で植え込まれたヘレニズム文化、その
影響を受けて生まれたガンダーラの仏像を地域毎に紹介された。

ガンダーラ仏の特徴として、彫りの深い顔立ち、緩いウエーブの
かかった髪、耳朶環状、等々。紹介仏像の一部を掲載。


来月の学習会は、山森平世さんの「伎楽面に関する考察」です。


2点目は藝大美術館での興福寺仏頭展に関連し、興福寺の縁起
や興福寺の仏像について学ぶこと。

山階寺、厩坂寺そして興福寺と移転を繰り返した、その歴史を知る。
その後、北円堂、東金堂、五重塔、西金堂の堂塔建立が続いた。
建立発願者とその目的を一覧にしてまとめた。

「興福寺の仏頭」造像の歴史や経緯、蘇我倉山田石川麻呂に関連
する歴史上の出来事も押さえた。来週の仏頭展を皆さんが大いに
楽しまれることを願っている。

              興福寺仏頭    深大寺釈迦如来
                           (今回 出陳) 

2013年9月11日水曜日

阿佐谷地域区民センターにて仏像講座開催!!

 
阿佐谷地域区民センター協議会主催「仏像講座」が開催されました。
本日は「仏界の相関図」について、序列と系列をキーワードにして
解説しました。
 
皆さん、真剣に耳を傾け、熱心にメモを取られていました。さすがに
関心の高い方のお集まりです
 
主催者側の方、曰く「応募枠50名に175名の応募を頂き、急遽、枠
を65名に広げ、ご案内しました」とのことです。初日の本日は、ほぼ
予定通りの参加となったようです。
 
BACメンバーで応募されながら、選ばれなかった方には、定例会で
別途、講座内容のご報告をいたします。よろしくお願いします。
 
第2回目は「着衣」「印相」「台座」などを中心に、仏像の見分け方を
解説する予定です。

2013年8月29日木曜日

ゆうゆう西荻北館 引き続き下期利用確定!!

 
  利用申込団体一覧     理事長の話を聴く代表者
 
本日10時、ゆうゆう館利用団体の代表者が集まり、H25年度下期の
利用について抽選会がありました。(お蔭さまで、抽選もなく要望通り)
引き続き、第3金曜日午前、同じ部屋の利用が可能と決定。
 
ゆうゆう西荻北館運営の薗部理事長がご挨拶の中で、区立施設の
再編整備計画(区のホームページで公開)についてご説明がありました。
先々は今と同じようには使用できないかもしれませんと、残念な思いを
にじませていました。
 
参加者からも困惑の声が上がり、杉並区が長寿番付全国ベスト10
に入るのも、ゆうゆう館での活動が大きく貢献しているのではないかと
力説される方もいました。
この事に関連して、日経新聞の取材を受けたことも話されていました。
 
我々の活動ができるのも、半年単位での計画が立てられるからであり、
毎月の会場探しが必要となれば、継続困難になるのではないかと思わ
れます。
再編整備計画を見守りながら、適切な対応が必要と感じた次第です。
 
 
 


2013年8月21日水曜日

藪内佐斗司展「やまとぢから」を体感!

 
 
群馬県立館林美術館     展示会場入り口
 
 
 

        孫悟空、猪八戒、沙悟浄     小天狗と治道翁
                            (後ろは鹿坊、鹿爺)
 
阿修羅童子
 
沙羯羅童子
 
迦楼羅童子
 
魔王
 
群馬県立館林美術館で開催中の藪内佐斗司展「やまとぢから」を
鑑賞した。故郷での墓参りの帰り、立ち寄った次第。
 
「やまとぢから」と題した展覧会は、藪内佐斗司さんの30年以上
に及ぶ活動を紹介する全国巡回の展覧会。福井市をスタートし、
堺市を経て、今回、故郷の館林で開催されている。
 
藪内さんは、せんとくん生みの親であり、東京藝術大学 大学院
文化保存学教授としてご活躍。NHKの講座でもお馴染み。
 
駐車場から美術館入口までの距離が長い。敷地面積が広大。
展示は3部構成となっており、会場も分かれる。受付後、最初に入場
したのは第2部平成伎楽団の会場。
 
ここは写真撮影が可能とのことで、ばちばち撮影。せんとくん似の
作品が会場一杯に展示されている。中には強面の大きな像もあり、
迫力もある。これらの像は、せんとくんの仲間たち「平成伎楽団」の
メンバー。その「平成伎楽団」については掲載の解説ご参照。
 
三蔵法師のお供、孫悟空、猪八戒、沙悟浄もいる、八部衆の
メンバー阿修羅童子、沙羯羅童子、迦楼羅童子もいるし、仏教的
世界を楽しく紹介している。
 
第1部「こころとからだ」では、仏教、神話をはじめ薮内ワールドを
展開している。(第1部、3部は写真撮影禁止のため、画像なし)
 
第3部「伝世古~文化財保護への取組」が私には一番関心の高い
会場。修復像、模刻像が展示されており、じっくり拝観。
 
展示の阿弥陀如来立像は、藝大の中嶋莉恵さんの講演会(6月)で
お聴きした像ではないかと思う。確かに素晴らしい阿弥陀像だ。
快慶作 大日如来坐像 模刻や運慶作 静岡・願成就院の毘沙門天
立像 模刻の展示もあった。
 
運慶や快慶の作品(模刻)まで間近で見られ、嬉しい。毘沙門天は
今年国宝に指定されている。益々有難味が増す。
 
藪内先生が影響を受けた伎楽面の模刻像も3点展示されていた。
今まで以上にまじまじと眺めた。味わいのあるお顔だと改めて感心した。
 
「やまとぢから」とは・・・(ジュニアガイドから抜粋)
インドの国からアジアの国々を通って、日本に伝わった仏教は私たち
の先祖と深く関わりながら、私たちのこころ豊かにしてきました。
「やまとぢから」とは、日本人が大昔から伝えてきた知恵や生きる力
のみなもとです。
 
墓参りを済ませ、ほっとした後、素晴らしい作品を鑑賞できた。
大変充実した一日となった。