2016年9月22日木曜日

東博「特別展」平安の秘仏 滋賀・櫟野寺(らくやじ)の大観音を拝観! 


どしゃぶりの中、10時、上野の東博に18名が参集。家を出るときから
大雨であり、合羽を着用して、傘を差した。大雨の日は、出かけることが
大変な分、会場は空いている。ゆっくり観覧するには好都合と言える。

7月には琵琶湖 湖北・長浜の観音を藝大で観覧した。2ヶ月後の今月は、
琵琶湖の南に位置する甲賀市櫟野寺(らくやじ)の観音にお会いした。

昨日(21日)の毎日新聞夕刊に特別展の記事が載っていた。滋賀県甲賀市
の古寺、櫟野寺の仏像20体(すべて国の重要文化財)が一堂に会した
特別展「平安の秘仏」が開かれていると紹介されている。

天台宗の開祖最澄所縁のお寺であり、坂上田村麻呂が堂塔を寄進した
との伝承もあるとのこと。20体も出陳されたら、その間、櫟野寺を参拝された
人たちは、どれだけ寂しい思いをされるだろかと想像した。
また、一寺院で20体もの重文仏像を所蔵するとは、何という古刹だろうかと驚く。
9月21日 毎日新聞夕刊      特別展のパンフレット
 
甲賀市の位置を示した、地図が出品目録の中に掲載されていた。甲賀市は
滋賀県の最南部にある。その甲賀市の中央部に甲賀町がある。かつて、
聖武天皇が紫香楽宮(しがらきのみや)と言う離宮を営んだ地が甲賀市。
盧舎那仏の造立を発願したのも紫香楽宮であり、やはり仏との繋がりが
深いことが分かる。
櫟野寺の所在地。
 
会場入り口には、櫟野寺参道の写真が貼られていた。石仏の十一面観音
坐像が数多く並んでいる。千体地蔵など、お地蔵さんの石仏は良く見かける。
これだけ多くの十一面観音が並ぶ光景は初めて目にする。櫟野寺を一度
参拝したくなった。
 
会場に入ると、中央にどーんと鎮座する十一面観音が飛び込んでくる。
結跏趺坐する膝が一際大きく広がっているように見える。お顔は下膨れ、
鼻翼も広い。
               (絵葉書から)
会場の案内図       十一面観音菩薩坐像
                (①に鎮座)

その他、印象に残った像は⑨の薬師如来坐像と⑯地蔵菩薩坐像。
薬師如来は定朝様との解説があるように、柔和な表情をしている。
横から眺めると、若干顎を突き出しており、参拝者の声に耳を傾けて
いるようにも見える。

地蔵菩薩の剃髪は丸々と形の良い頭をしており、聡明な印象。右手に
錫杖、左手には宝珠を持った姿は地蔵菩薩の典型的なスタイル。
観音さま同様、お地蔵さんには慈悲深さを感じる。
(絵葉書から)
⑯地蔵菩薩 ⑨薬師如来
 
出品された20体の内訳は、観音菩薩が12体(うち4体が十一面観音)
と6割を占める。長浜市と同じく、観音の里らしい特別展だ。
 
 

2016年9月16日金曜日

山森さん「入唐八家(にっとうはっけ)」について語る!


9月の定例会は27名の参加。今回の学習会は山森さんが語る
「入唐八家(にっとうはっけ)」がメインテーマ。
最初に、朝比奈さんが八王子の浄福寺を参拝されるきっかけと
なったことについてご披露。不思議なご縁で人との繋がりや世界が
広がることを熱く語った。
体験談を話す朝比奈さん      参拝のきっかけとなった経緯
 
朝比奈さんが築いてくれたご縁を活かし、BACでも浄福寺の仏像を
拝観する機会を設けたい。
 
続いて、山森さんの「入唐八家」。大きく2分類され、最初は入唐八家とは
何のことか、また、どんな人たちのことを言うのかについて話された。その後、
入唐八家の影響を受けて、宗教上どんな変化があったか、仏像、仏画、曼荼羅
などの図絵がどのように変遷して行ったかなども解説。
研究発表される山森さん      熱心に話を聴く参加者 
 
1.入唐八家とは遣唐使で唐に渡り、密教経典を伝えた8人のお坊さんの
  ことを言う。
  最澄、空海に代表される平安仏教が開かれることへと繋がる。遣唐使は、
  何のために、また誰のために派遣されたかを押さえておく必要がある。
 
  平安初期の仏教は、鎮護国家、五穀豊穣、玉体安穏を目的としたもので
  あり、庶民の信仰を広めるためではない。
  (平安初期の仏教と、鎌倉新仏教との違い)
 
☆入唐八家と呼ばれる僧
 
2.「入唐八家」は唐のどこへ行かれたか。
 
3.「入唐八家」は唐の何というお寺で学んだか。
 
中国を旅し、空海記念館を訪れた山森さん。その行動力には敬服する。
記念館に師の恵果と並んで鎮座する空海像を拝見すると、日中友好の
キーパースンは空海ではないかと感じる。
空海記念碑と山森さん          恵果空海記念館
 
空海と恵果の像が並ぶ       青龍寺と日中の歴史
 
入唐八家が与えた宗教上、仏教美術上の影響については、極めて
大きいものがある。それぞれの影響についての解説は割愛する。
(山森さん使用の画像を大きくしたり、色をつけたりなど一部修正してある)
 
 

 

2016年9月10日土曜日

江戸三閻魔にお会いする!


荻窪東メンバーでの今回テーマは「閻魔王に会う」。地下鉄丸ノ内線
新宿御苑前駅改札10時集合、参加者は16名。江戸三閻魔は
新宿・太宗寺、杉並・華徳院、巣鴨・善養寺。
今日は、太宗寺と華徳院の2ヵ寺を参拝することとした。

太宗寺には、江戸六地蔵の3番地蔵や新宿山の手七福神の
布袋尊も安置されている。
江戸六地蔵の「銅造地蔵菩薩坐像」を
眺める参加者の皆さん
 
1.江戸六地蔵解説板と銅像地蔵菩薩坐像
  江戸の六街道沿いに造立された像が六地蔵。太宗寺像は
  甲州街道沿いに造立。 地蔵菩薩は像高267㎝、1712年造立。
解説板              銅造地蔵菩薩坐像
                              
 
2.閻魔像、奪衣婆像解説板 閻魔像と奪衣婆像
  閻魔像より奪衣婆像の方が迫力がある。閻魔像は身体に比し
  お顔が小さい。
解説板               閻魔像
 
解説板              奪衣婆像

3.三日月不動像・布袋尊像
  お堂の中、手前に新宿山の手七福神・布袋尊像が鎮座し、奥の方に
  三日月不動像。額の上に銀製の三日月をもつため、三日月不動と
  呼ばれている。像高は194㎝、江戸時代の作。
 
  布袋尊は昭和初期、有志によって創設されたとのこと。布袋尊は
  恰幅の良い老人のイメージがある。ここの像はあどけない子どもの
  ようにも見える。
解説板             お堂の中の二尊像
 
太宗寺では仏像を拝観後、内藤家の墓所をお参りした。かつては300坪の
広大な墓地であった。昭和27年の区画整理で現在のようになったとのことだ。
 
次に、井戸さんのご案内で、太宗寺近隣のお寺を参拝した。
正受院(しょうじゅいん)の奪衣婆像を拝観した。解説板を読むと驚く。
この像が小野篁(おののたかむら)作との伝承があるそうだ。
小野篁と言えば、冥界と通じていた人物として有名。
 
4.正受院奪衣婆像と阿弥陀三尊像
  奪衣婆が頭に綿の衣を被っているから「綿のおばば」と呼ばれていると
  解説板に書かれている。奪衣婆像を祀るお堂の隣に「正受院」の扁額が
  掛かるお堂がある。
  ここが本堂と思われる。戸の間から覗くと金色の阿弥陀三尊が鎮座されて
  いた。

解説板           奪衣婆像を覗く
 
奪衣婆像(ネットか       阿弥陀三尊像

正受院の次に、お隣の成覚寺(じょうかくじ)も参拝した。こちらにも、
境内に石造の六地蔵始め、多くの石仏が鎮座し、見どころが多い。

次の参拝寺院は杉並の華徳院。新宿三丁目駅まで歩き、丸ノ内線で
新高円寺まで行く。
新宿三丁目駅に向かう
 
5.華徳院の閻魔王像
  目的の閻魔像は本堂の中に安置されているために、拝観可能か
  予め電話で確認しておいた。11時と13時に法要があるとのこと。
  法要の妨げにならない時間なら可能と言われた。
 
  12時頃伺ったところ、ちょうど法要が終了するところであり、来訪を
  お伝えすると、快く、拝観をご了承された。

華徳院の縁起解説板     ご本尊を拝観する皆さん

ご本尊の閻魔王像        蔵前のお堂から移座の閻魔王像
 
昼食は新高円寺駅近くで中華を頂いた。低料金で美味しいと
皆さん絶賛されていた。今日も一日、笑い声の絶えなかった。
 

 
 
 
 
 

2016年9月9日金曜日

ケア24荻窪主催『ほっとサロン荻窪』で「仏像の話」


毎月1回 地域包括支援センター ケア24荻窪主催の「ほっとサロン荻窪」
が開催されている。会場がゆうゆう荻窪東館となっている。

主催者から依頼され、仏像の話をすることとなった。会場には20数名の
ご参加者があった。「仏像と言うことで初めて来てみました」と話される男性
の方もいた。

最初に日本仏教の歴史的な推移と各宗派のご本尊・礼拝仏をご紹介した。
その後にご本尊・礼拝仏と同じ尊像の国宝仏をご紹介した。文化財としての
仏像を興味を持って眺めて頂けるよう、像高順に並べてみたりした。
会場の様子

☆40分の話の中で使用した画面の一部
 
像高順に並べて「国宝の薬師如来像」13躯をご紹介。
 
像高順に「国宝の釈迦如来像」6躯をご紹介。
 
その他、「阿弥陀如来」「毘盧遮那仏」「大日如来」についても国宝の
仏像をご紹介した。
 
終了後、ご参加の皆さんと歓談した。仏教用語が日常使われる言葉
となったものも多く日本人に多大な影響を及ぼしている。仏像を通して、
日本の文化や「平和」の継承など、シニアの役割についても話し合った。
 
 
 

2016年9月2日金曜日

「仏像の観方を学び、シニアライフを楽しく」


「生きがいクラブ杉並」主催の講演会で講師を務めた。「生きがいクラブ杉並」
は14年前に設立されたそうだ。設立の目的は「地域の人びとと共に、健康で
生きがいのある人生を築けるよう働きかける活動を行い、未来に向け明るく
活力に充ちた社会づくりに貢献する」と会則に記されている。
 (私の所属するNPO法人の設立目的と重なる。)

今回の講演会では、仏像と合わせて、「生きがい」をテーマに、私自身の
個人的体験もご披露させて頂いた。
主催者代表・玉村氏ご挨拶      講演会開始直後の様子
 
仏像が取り持つご縁について、系列別にご紹介した。現在、3つのグループで
活動している。それぞれ、仏像好きの仲間たちであり、楽しく過ごしている。
仏像が取り持つご縁
 
今回は、「仏像の観方・楽しみ方」を「歴史」、「寺院の縁起」という視点から
解説させて頂いた。仏像は3度楽しめると考えている。出かける前に、調べる。
実際にお会いする。帰って来てから整理する。
 
私自身の楽しみ方として
①人物・生存年グラフ  ②系図  ③年表  ④史実・事件・政変を
書き出し、多方面から眺めることによって、その仏像の時代背景を把握
している。
基本的には、仏像は「誰が、いつ頃、何のために」造立したかを意識すると、
自ずと歴史が関わって来る。
観方・楽しみ方チェックポイント    主要な登場人物の関わり

生存年グラフ(空海と同時代の人は誰?)

系図(式家、南家の時代)      系図(北家台頭の時代)
 
年表(出来事・政変など)

空海関連の年表、関連人物
 
歴史の話が中心となり、仏像のご紹介が少なめとなってしまった。
ご参加の皆さんのご感想をお聴きできないのが残念。いつもと違った
展開となり、少し残念と思われた方もいらしゃるのではないだろうか。
 
主催者の方から、会場は定員の60名となったとのご報告を伺った。
男性のご参加が比較的多いようにも感じた。開催日以前に電話での照会が
34件あったそうだ。内26件が男性とのことであり、男性の関心が高いことは
嬉しい。
 

最期に、ゆうゆう荻窪東館の協働事業(サロン活動)についてもご紹介した。
また、新たなご縁ができることを願っている。9月13日~16日、
区役所ロビーにパネル展示される。