どしゃぶりの中、10時、上野の東博に18名が参集。家を出るときから
大雨であり、合羽を着用して、傘を差した。大雨の日は、出かけることが
大変な分、会場は空いている。ゆっくり観覧するには好都合と言える。
7月には琵琶湖 湖北・長浜の観音を藝大で観覧した。2ヶ月後の今月は、
琵琶湖の南に位置する甲賀市櫟野寺(らくやじ)の観音にお会いした。
昨日(21日)の毎日新聞夕刊に特別展の記事が載っていた。滋賀県甲賀市
の古寺、櫟野寺の仏像20体(すべて国の重要文化財)が一堂に会した
特別展「平安の秘仏」が開かれていると紹介されている。
天台宗の開祖最澄所縁のお寺であり、坂上田村麻呂が堂塔を寄進した
との伝承もあるとのこと。20体も出陳されたら、その間、櫟野寺を参拝された
人たちは、どれだけ寂しい思いをされるだろかと想像した。
また、一寺院で20体もの重文仏像を所蔵するとは、何という古刹だろうかと驚く。
9月21日 毎日新聞夕刊 特別展のパンフレット
甲賀市の位置を示した、地図が出品目録の中に掲載されていた。甲賀市は
滋賀県の最南部にある。その甲賀市の中央部に甲賀町がある。かつて、
聖武天皇が紫香楽宮(しがらきのみや)と言う離宮を営んだ地が甲賀市。
盧舎那仏の造立を発願したのも紫香楽宮であり、やはり仏との繋がりが
深いことが分かる。
櫟野寺の所在地。
会場入り口には、櫟野寺参道の写真が貼られていた。石仏の十一面観音
坐像が数多く並んでいる。千体地蔵など、お地蔵さんの石仏は良く見かける。
これだけ多くの十一面観音が並ぶ光景は初めて目にする。櫟野寺を一度
参拝したくなった。
会場に入ると、中央にどーんと鎮座する十一面観音が飛び込んでくる。
結跏趺坐する膝が一際大きく広がっているように見える。お顔は下膨れ、
鼻翼も広い。
(絵葉書から)
会場の案内図 十一面観音菩薩坐像
(①に鎮座)
その他、印象に残った像は⑨の薬師如来坐像と⑯地蔵菩薩坐像。
薬師如来は定朝様との解説があるように、柔和な表情をしている。
横から眺めると、若干顎を突き出しており、参拝者の声に耳を傾けて
いるようにも見える。
地蔵菩薩の剃髪は丸々と形の良い頭をしており、聡明な印象。右手に
錫杖、左手には宝珠を持った姿は地蔵菩薩の典型的なスタイル。
観音さま同様、お地蔵さんには慈悲深さを感じる。
(絵葉書から)
⑯地蔵菩薩 ⑨薬師如来
出品された20体の内訳は、観音菩薩が12体(うち4体が十一面観音)
と6割を占める。長浜市と同じく、観音の里らしい特別展だ。