5月18日(金)のBAC定例会参加者は17名。新規に1名が加入された。
今回の学習会は、中島憲子さんが「海外へ流出した仏像」をご紹介する。
明治新政府の神仏分離令によって廃仏毀釈が盛んになり、仏像等の
美術品が破壊され、また海外へ流出した。そのような時代背景の中、
活躍された人物を4名を紹介された。
発表される中島さん 参加者の皆さん
1.美術品の保護やコレクションに関わった人物紹介
①岡倉天心…東京帝国大学の学生時代からフェノロサの通訳
として、京都・奈良等の古社寺の調査旅行に同行
②エドワード・シルヴェスター・モース…明治10年東京帝国大学教授
として招かれる。陶器類コレクション約5000点
③アーネスト・フランシスコ・フェノロサ…モースの紹介で東京帝国
大学の教員として来日。最初の外国人、日本美術の
研究者
④ウィリアム・スタージス・ビゲロー …古代仏教美術の保存に深い
関心を抱き、多大な援助。膨大なコレクションは
ボストン美術館に寄贈。
2.古社寺保存法の公布
1886年(明治19年) 岡倉天心 奈良地方の古社寺調査報告書
↓
1897年(明治30年) 「古社寺保存法」 公布
↓
1929年(昭和4年) 「国宝保存法」
↓
1950年(昭和25年) 「文化財保護法」 制定へと受け継がれる
「古社寺保存法」は、今日の文化財保護の礎となったものであり、文化財
の海外流出がきびしく規制されるようになった。
文化財は「保存」と「公開」という2つの側面を有しており、そのバランスを
取る必要がる。「公開」ばかりすると、劣化が激しく、文化財を毀損する
ことにも繋がる。一方、「保存」だけに固執し、「公開」しないと、国民共有
の財産を目にする機会を奪ってしまう。
文化財保護法を見直そうと言う動きがある。どのような視点で変えようと
しているのか、良く注目しておく必要がある。
3.海外流出の仏像の紹介 (一部掲載)
一通り、解説を済ませた後、実際に流出した数々の仏像を、スライド
に映して、名作を紹介された。
中島さんの好きな仏像を、ほぼ年代順に映し出した。
ご紹介の仏像
海外流出になりかけ、真如苑が落札した大日如来像のエピソード
を皆さん、興味深くお聴きしていた。それにしても80万で購入した
仏像が14億円となるとは、仏像の素晴らしさは勿論のこと、「運慶」
と言うネームバリューの大きさによるものと感じる。
真如苑 大日如来坐像
であれば、なおさら心がけたいと強く感じた。ご一読をお勧めする。
- 書名:「仏像 みる・みられる」
- 著者:多川 俊映 (興福寺貫主)
- 発行:角川書店
のは確か。