2016年7月21日木曜日

東京藝大美術館「びわ湖・長浜のホトケたちⅡ」を観覧


東京藝大大学美術館にて開催の「びわ湖・長浜のホトケたちⅡ」を観覧した。
7月9日、荻窪東グループの皆さんとすでに観覧しており、今日で2回目となる。
本日の参加者は17名。平日と雨天のためか、会場はあまり混んでいない。

長浜のホトケたちは平成26年3月~4月に第一回の出陳があり、その時も
観覧した。今回が二度目の展覧会。長浜という地域にも、ホトケたちにも
親しみを感じる。

印象に残ったホトケたちを、ミュージアムショップで買った図録から
ピックアップしてみた。

会場に入って、左手に目をやると、会場を見渡すように立つ1体。
頂いたクリアファイルに写っている美仏。医王寺の十一面観音立像。
凛々しいお顔立ちが気に入り、何度も立ち位置を変えて眺めた。

(画像はすべて図録から)
3.十一面観音立像(医王寺)
 
次に注目したのは、「24.伝薬師如来立像」。印相は阿弥陀如来の
来迎印をしている。比叡山根本中堂のご本尊が薬師如来である
ところから、薬師信仰が広まったとのことだ。
 
その後、阿弥陀信仰が盛んになった。この像は薬師如来と造立
されながら、一時、阿弥陀として祀られたのではないかと勝手な
想像した。手は後補とのことであり、あえて来迎印にしたのでは
ないか?
 
「28.宝冠阿弥陀如来坐像」は円仁が建てた常行三昧堂の本尊
として祀られていたとの解説文。円仁の名前を見て、熱心に眺めた。
この像の前で、円仁は修行をしていたのかと想像した。 
阿弥陀如来が宝冠を被る像は珍しい。
24.伝薬師如来立像(充満寺) 28.宝冠阿弥陀如来坐像(竹蓮寺)

懸仏の三尊像も目を引いた。中尊に十一面観音、左右に不動明王、
毘沙門天を配している。この形も円仁の常行三昧堂に祀られる
スタイルのようだ。面径が55.6㎝の小さな懸仏ながら、インパクトがある。
18.金銅十一面観音不動毘沙門懸仏
(長浜城歴史博物館)
 
石道寺の二天像は迫力があった。阿形の多聞天、吽形の持国天と
なっており、最初から二天として造立されたものか。
(四天王としてではなく)。腹前や袖口の獅噛(しかみ)が見事。
中尊が小さく、バランスに欠けるようにも感じた。
(中尊像はお前立だろうか?)
35.持国天立像・多聞天立像(石道寺)

どっしりした智拳印の大日如来、小さいながら、存在感のある
愛染明王も良い。像高は大日如来が147.9㎝、愛染明王が49.4㎝。
大日如来の落ち着いた雰囲気と愛染明王の忿怒相を比較して、
眺めた。愛染明王の獅子冠、持物にパワーを感じる。
36.大日如来坐像(光信寺)   37.愛染明王坐像(舎那院)

一番好きなお顔立ちは、阿弥陀寺の阿弥陀如来立像。長浜一、
上品で穏やかなホトケではないかと感じた。像高97.5㎝の小ぶりの像で、
礼拝したくなる。

一番有難いホトケは洞寿院・観音堂の観音菩薩立像。今年の9月が
三十三年ぶりのご開帳となる秘仏だそうだ。その秘仏を、今回出陳して
頂いた。従って、この観音さまはお精根(しょうね)抜きでなく、ご遷座
されて、藝大美術館に安置されていることになる。

異形のホトケは正妙寺の千手千足観音。足が千本のホトケは初めて
拝観する。
29.阿弥陀如来立像  15.観音菩薩立像  22.千手千足観音立像
(阿弥陀寺)    (洞寿院・観音堂)     (正妙寺)

別室には、像高2メートルの伝千手観音がでんと鎮座。18臂の像、
腹前の手が合掌印ではなく、説法印のような形をしており、腕の数や
印相から見て、准胝観音ではないかと思える。准胝観音は真言系の
ホトケであり、千手観音とする理由が何かあるのだろうか。

宝厳寺の聖観音は展覧会に先立ち、長浜市のアンテナショップに
展示されていた。左手に未敷蓮華、右手を添える姿が比叡山横川中堂の
本尊聖観音と同じスタイルとなっている。
2.伝千手観音立像(観音寺)  39.聖観音立像(宝厳寺)

観音の里を象徴するホトケは安念寺の如来形立像(いも観音)では
ないかと思う。文化財と違う別の面での精神性を感じる像と言える。
このようなホトケを大切にし皆で守ろうとする人たちの精神にも感服する。
               49.いも観音(安念寺)    安念寺堂内

最後に、清水観音堂前の中華料理店で楽しく歓談しながら、昼食を取った。
本日も楽しい時間を共有できました。(合掌)
中華料理店での昼食後、記念撮影





2016年7月16日土曜日

西荻地域区民センターにて「仏像観方・楽しみ方」講座開催!


初めてお引き受けした西荻地域区民センターでの仏像講座が開催された。
主催された協議会役員の方から230名を越えるご参加があり、新記録との
ご報告があった。

大変有難く、講師冥利に尽きる。ご参加の皆さんには感謝する一方、
講座内容に満足して頂けたか気になる。

1.会場入り口 、入場受付
会場入り口の掲示板       入場受付に集まる参加者
 
2. 開演前後の会場
開演前の会場          開演開始後の会場
 
  <講座内容の一部を掲載すると・・・>
3.「慈悲」と「智慧」の解説
「慈悲」について         「智慧」について
 
4.「慈悲」と「智慧」を代表する脇侍と両界曼荼羅
阿弥陀三尊像(三千院)     釈迦三尊像(法隆寺上御堂)

薬師三尊像(薬師寺)          両界曼荼羅
 
  金剛界曼荼羅の解説では煩悩についての対応を補足説明した。
  大乗仏教が発展した密教では「煩悩即菩提」としている。つまり、
  煩悩を否定しないで、そのエネルギーを活用し、欲求や対象を
  高次元のレベルに昇華させることが悟りへ繋がるとしている。
 
5.聴覚障害の方ご参加で、手話通訳のサポート
講師と手話通訳者
 
今まで20回以上の講座をお引き受けしたが、今回初めて手話通訳の
方のサポートが入った。終了後、聴覚障害がある方から、ご質問も受けた。
大変熱心な方と敬服した。これからも、積極的にご参加頂けると嬉しい。
 
ご参加の皆さんにとって、本講座がこれからの仏像拝観に際し、少しでも
お役に立つことを願ってやみません。
 
今回の企画に当り、西荻地域区民センター協議会の小林さん、講座運営部
小笹部長、原田さん始め多くの方々のご協力に助けられました。
慎んでお礼申し上げます。(合掌)
 
 
 

2016年7月15日金曜日

渡辺亮一さん 飛鳥路を巡る


7月定例会は22名の参加。今月の体験談発表は5月に飛鳥路を
巡った渡辺さん。古代ロマンの地を歩きで探訪された。渡辺さんは,
今やBACで体験談発表の常連者となる。
体験談を話される渡辺さん
 
先ずは行き先と歩いたコースの紹介。飛鳥駅からスタートして、
高松塚古墳、天武・持統天皇陵、亀石、橘寺、石舞台、飛鳥寺と
廻ったそうだ。史跡、お寺について解説されると同時に、生の体験を
ご披露された。また、関連する史実も敷衍し、興味深い話をされた。
 
 巡った史跡(〇印)
1.高松塚古墳
高松塚古墳          石室内の壁画再現
 
2.天武・持統天皇陵
  天武天皇と持統天皇の合葬陵(がっそうりょう)となっている。合わせて、
  昭和天皇までの125代天皇陵墓についても解説された。 

3.亀石
  当麻寺と川原寺とも水争いに絡んでいたとは知らなかった。
  元々は所有地の境を示す道標とのこと。 これだけ大きい石は、
  石そのものに霊力を感じる。
亀石
4.橘寺
  聖徳太子誕生の地とされる。「たちばな」の名の由来は、天皇の
  命で中国へ渡った者が持ち帰った実から「みかんの原種」となる
  たちばなが生えてきたからとのこと。

5.石舞台と昼食の万葉弁当
  蘇我馬子の墓とする説が有力。渡辺さんの発表には必ず
  食レポがあり、面白い。
 
6.飛鳥寺と蘇我入鹿の首塚
  蘇我氏と仏教のつながりは大きい。仏教を積極的に取り入れよう
  とした蘇我稲目。その子、蘇我馬子が日本最初の寺院、飛鳥寺を建立。
  仏教を保護した聖徳太子も蘇我氏一族。
 
  しかしながら、政権抗争で、聖徳太子は蘇我氏に滅ぼされ、それから
  しばらく後に、蘇我入鹿は大化の改新で斬殺される。凄まじい時代だ。
  
 
飛鳥の地は、古代史好きの仲間とジャンボタクシーで廻ったことがある。
渡辺さんはすべて歩いて廻ったとのこと。古代の人々の足跡を辿るには
やはり、少し大変でも、歩いた方が良いのかもしれない。次回は私も、
歩こう。