2016年8月19日金曜日

8月定例会は「慈悲と智慧」をテーマに考える


8月定例会参加者は23名。先ずは先月に観覧した「びわ湖・長浜の
ホトケたち(藝大美術館)」についての感想を述べあった。

話題に上った観音さまは、安念寺「いも観音」、正妙寺「千手千足観音
立像」、宝厳寺「弁才天坐像」など、どちらかと言えば異形のホトケが多い。
また、造形の美しさより、ホトケとしての信仰に感銘を受けた感想が多かった。

井戸さんさんが長浜市の仏像拝観案内と、上野にできたサテライトを
紹介された。関連して長浜での仏像拝観前に、井上靖の「星と祭」を
読まれることをお勧めした。
安元さんは、この本を契機に仏像に関心を持たれたとのことだ。

次いで、先月実施された「仏像講座(西荻地域区民センター協議会
主催)」についてのフォロー講座を行った。仏教の二大テーマは
「慈悲」と「智慧」と位置づけて、それぞれを考察した。

講演会では「慈悲」 ⇒「抜苦与楽(ばっくよらく)」 ⇒
「利他行(りたぎょう)」 ⇒「菩薩行(ぼさつぎょう)」と展開した。
そこで、今日は具体的に菩薩行を表した詩や行動規範を
示したものをご紹介した。
宮沢賢治「雨ニモマケズ」     相田みつを「ただいるだけで」
 
宮沢賢治は「法華経」、相田みつをは「禅宗」からの影響を受けた
作家、書家として有名。精神性の高い作品を残す人には、仏教から
何らかの影響を受けているように思える。
日常、心がけたいことを言い得たものとして「道元禅師の四摂法
(ししょうぼう)」についても触れた。
道元禅師「四摂法」
 
このような話を進めていると、突然「木村さんはできているのですか?」と
鋭い質問をされる方がいた。「心がけるだけで、できているとは言い難い」
とお答えした。その方は「顔施」を心がけていますと言われた。
 
「微笑む」ことで、相手からも気持ち良い挨拶が帰って来たとのこと。
大変立派な心掛けだ。「無財の七施(むざいのしちせ)」の一つ。
 
「布施」の話から、電車で「席を譲られた時にどうされますか」との質問も
出たり、「利行(りぎょう)」と言う言葉はいつから使っていたのだろうか、
「ボランティア」とどう違うのかなどの質問に、別の参加者が答えたりする
場面もあり、大変活発な時間となったように思える。
 
次に「知恵」と「智慧」に関連する歌を紹介し、一緒に考えた。
「俗世間の知恵」と「仏の智慧」の違いは何か。人それぞれの考え方や
価値観があるから、認識の仕方も違うと思う。俗世間では「分別」があること
が評価される。仏語での「無分別」と言う言葉は、区別しないと言うことで悪い
言葉ではない。
知恵と智慧を連想させる歌
 
仏教で言う「縁起」や「空(くう)」についても、考察した。個人的には
「空」の認識こそ智慧と理解している。しかし、肝心の「空」が掴み
どころがない。仏像を離れて、時にはこのような日本人の精神性を
探る討議も面白い。
「縁起」や「空」について
 
会員の渡辺美智子さんが9月の講演会チラシをご持参され、PRされた。
講演会ではBAC活動のことも触れる予定であり、皆さんに写真を出す
ことの了解を頂いた。
講演会チラシ
 
8月の見仏会は熱中症予防のため、中止と決定。
最後に、今後のBAC運営についてご意見を伺った。従来通り、個人の
体験談や研究テーマの発表と合わせ、テキストに基づく学習会を
再スタートすることとなった。
雑然とした知識を整理する意味で以前使用していた「仏像の楽しみ方
完全ガイド」を熟読する。
 
今回、地域活動をされている方々の話が聴けたのも良かった。
具体的には、
高野さん=「身障者へのサポートボランティア」、
渡辺さん=「生きがいアドバイザーの活動」、
原山さん=「防災・減災対策講話」。引き続き、ご活躍を!
 
 
 

2016年8月14日日曜日

金沢文庫企画展「国宝でよみとく神仏のすがた」を観覧


金沢文庫で保管する「称名寺聖教(しょうみょうじ しょうぎょう)」と
「金沢文庫文書(かなざわぶんこ もんじょ)」が国宝に指定される
こととなり、今回の企画展が開催された。

「称名寺聖教」とは開山の審海(しんかい)から五世の住職やその
弟子たちが収集した仏典とのこと。その内容は密教の伝授に
かかわる儀式や秘伝を記したもの、説法の台本、仏を讃える
「声明(しょうみょう)」の楽譜、更には仏教を学ぶための基本書など
だそうだ。

また、「金沢文庫文書」とは、鎌倉時代後期から室町時代にいたる
4,149通の文書群であり、称名寺に伝来した寺院経営・仏事関係
文書と聖教に含まれて伝わった書状類で構成されているとのこと。

その特色として「紙背文書(しはいもんじょ)」という言葉を知った。
即ち、使用済みとなった手紙の裏面を転用して別の書物・聖教の
書写に使用したために伝わった資料のことを言う。当時の生々しい
情報も記されている。

称名寺聖教が16,692点、金沢文庫文書が4,149通が国宝に
指定されることとなり、新国宝を通じて、普段あまり見ること機会の
少ない個人蔵の仏像、神像などの仏教美術作品をご紹介する
展覧会開催となった。

出展作品の中で、特に注目の仏像は展覧会の案内チラシに掲載の
弥勒菩薩立像。
企画展案内チラシ
 
実物の弥勒菩薩は、写真以上に美しいお姿に見とれ、暫く佇んでいた。
裏側からも眺めることができ、頭部や背部、頭光や衣の造形も素晴らしい。
こういう仏像をどういう方が所蔵されておられるのか、ぜひ知りたいところだ。
また、鎌倉時代の仏像がどんな遍歴を歩んで来られたかも合わせて興味を
持った。
 
その他、参加者で話題に上った作品は、「迦陵頻伽(かりょうびんが)」の彫像。
極楽に住むとされる上半身が人間で、下半身が鳥の生物。図像ではよく
見かけるも、彫像でお目にかかるのは初めてと、皆さん喜んでいた。
 
この像は覚園寺の日光・月光菩薩の光背に付いていたもののようだ。
こちらも、どうして個人に渡って行ったのか興味深い。時期を見て、
覚園寺を参拝することとなった。
 
更に、目を引いたのは「仏の三十二相」を讃える声明の楽譜。
「真青眼相」などに音階をつけ、声に出せば、確かに良く覚えるだろうと
想像できる。
 
65歳以上の入館料はわずかに100円。料金が安く、内容充実の
展覧会だった。館内のカフェで昼食を取りながら歓談した。
称名寺へ向かう前に記念撮影。更に、称名寺の境内を散策して
帰路に着いた。
記念撮影           称名寺の釈迦堂を見学
 
 日本橋三越本店 本館6階の美術フロアで東京藝大「次代を担う
若手作家作品展」が開催されている。中嶋莉恵さんの作品が出展
されており、拝見に立ち寄った。
彫像とは思えないような体毛のリアルさに驚いた。すでに、「御約定」
の表示が付けられていた。人気のある作品であることを物語る。
出展された作家の人数は189名。会期:8月10日(水)~16日(火)
中嶋莉恵さん作品 「雨上がりのロバ」

 
 

2016年8月11日木曜日

9月の講演会テーマは「定年後の活動・体験談」


本日の広報すぎなみに9月の講演会予定が掲載されました。
今年度3回目の講演会となります。今回のテーマは定年後、地域社会へ
どのように関わり、どのような活動をしてきたかについて体験談をお話し
させて頂きます。

定年後取り組んでいる主要テーマは「空海」と「仏像」。
この二つのお蔭で、仲間にも恵まれ、充実した日々を過ごすことが
できているように感じます。

この講演会も、BACの仲間、渡辺さんからのご依頼であり、快くお引き受け
した次第です。渡辺さんにはBACの幹事(会計)をご担当して頂いています。
http://www.city.suginami.tokyo.jp/event/hokenfukushi/koureishasisaku/1025869.html

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       ★仏像の観方を学びシニアライフを楽しく
       日時:9月2日㈮ 午後1時30分~3時30分
       場所:高齢者活動支援センター
           主催  : 生きがいクラブ杉並
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