2016年6月23日木曜日

中野区の萬昌院功運寺(ばんしょういんこううんじ)を参拝!


10時、東西線落合駅改札口に15名が集合。小雨降る中、上高田4丁目の
功運寺に向かう。落合駅から徒歩8分で、目的地に到着。このお寺が著名人
の菩提所となっていることが、入り口の案内板で分かる。
山門へ向かう          山門の手前にある案内板
 
暫くすると、境内に隣接する幼稚園からポロシャツにジーンズ姿のご住職が
お見えになり本堂へとご案内頂く。幼稚園の先生も兼務されているとのこと。
大変エネルギッシュな方とお見受けした。最初に、ご住職からお寺の縁起に
ついて詳細に解説頂いた。

二つのお寺が昭和23年に合併して、現在の「龍寶山萬昌院功運寺」となる。
本山が永平寺、總持寺の曹洞宗寺院。合併前の二つのお寺とは今川義元の
子今川長得が開いた「久寶萬昌院」と永井尚政が開いた「龍谷山功運寺」。
寺地移転、火災など創建に至るまでには数々のご苦労とドラマがあった
ようだ。

解説を拝聴した後、ご住職のご案内で堂内仏像をすべてを拝観させて頂いた。
本堂           釈迦三尊像(功運寺解説パンフから)
 
金色のご本尊・釈迦三尊像は素晴らしい。けばけばしさのある金色ではなく
落ち着いた輝きであり、ついつい見入ってしまった。制作者は高村光雲氏の
孫弟子・先崎栄伸氏とその子直紀氏とのこと。漆の上に金箔を施してあり、
年数が経つにつれて、輝き方が
味わい深くなるようだ。ご住職は、何度も良い仏師に恵まれたことを話されて
いた。
 
その他、数多くの仏像を拝観した。達磨大師像、大権修理(だいげんしゅり)
菩薩像、道元禅師像、瑩山禅師像、合併前の功運寺の本尊・釈迦如来像、
聖僧(しょうそう)文殊菩薩像、不動明王と八大童子の像など。
 
不動明王の台座(瑟瑟座)七段が上三段、下四段に分かれ、中央の段に
法輪を描いた段がもう一段置かれていた。初めてお目にかかる。像の前
には「しきび」の枝葉がお供えしてあった。榊ではなく、しきびにするのは、
しきびの毒で魔除けをするためとのこと。
 
ご住職に、以前に密教寺院であったことはございますかと尋ねたところ、
ないとのお返事だった。どうして、禅宗寺院に不動明王がいらしゃるの
だろうか?
 
拝観を済ませ、次にお墓に向かった。 
本堂を出る皆さん        墓所入り口にある案内板

歌川豊国墓所への標識     歌川豊国(初代2代、3代)のお墓

吉良上野介義央のお墓      林芙美子のお墓

「東京都重要美術品」認定の鐘楼
 
功運寺を後にし、次に向かった先は、「新井薬師 梅照院」。
真言宗豊山派の寺院。
梅照院のご本尊は薬師如来と如意輪観音の二仏一体のご尊像
とのこと。二仏が一体となっていること自体珍しい。
新井山 梅照院の入口

本堂をお参りする皆さん      本堂扉に掲示の解説
 
本堂の扉には二仏一体のご本尊についての解説文を掲示。
表が薬師如来、後に如意輪観音が祀られている。
(寅年のみご開帳のため、通常はお前立)
 
背中合わせとなっているということなら、いつもは薬師如来を
拝むことになり、如意輪観音を拝観することはできないのだろうか。
お堂には「瑠璃殿」の扁額が掲げられており、お薬師さんをお祀りする
ための建物であることは明らか。如意輪観音さんがちょっと気の毒に
思える。
 
お堂の外から中を覗くも、堂内は薄暗いため、ご本尊お前立、左右両壁
の上部に安置される十二神将立像のお姿をよく確認できない。
残念。お寺解説のパンフレットでそのお姿を確認した。
梅照院の案内パンフレットから 
お堂の中の薬師如来坐像    お前立の二仏
 
十二神将立像
今回も楽しい見仏会でした。近くにこのような見どころたくさんのお寺が
あることを改めて認識した一日でした。
 
 
 
 
 

2016年6月17日金曜日

朝比奈さん 仏像制作の企画案発表!

6月の定例会は、見学者を含め30名参加で大賑わい。
ご参加の皆さん
 
先月訪問した静嘉堂文庫美術館での観覧について感想を伺った。
「運慶らしくない」
「なぜ、国宝に指定されていないのだろうか」
「コミカルな動きが印象的」「願成就院像を拝観した直後だけに、
運慶作と思えなかった」等々。運慶は良きに悪しきに、いつも
話題となる。
 
次に、2016年に国宝に指定された西大寺の叡尊坐像について
解説をした。合わせて西大寺の縁起、叡尊の事績、更には仏教宗派の
13宗56派についても敷衍した。
西大寺は、真言律宗の総本山寺院。聖武天皇が創建した東大寺
(東のおおでら)に対し孝謙天皇(聖武天皇の皇女)が西大寺
(西のおおでら)を創建した。創建時は華厳宗か。

荒廃した西大寺を真言律宗として再興したのが興正菩薩叡尊。
叡尊によって中興された寺院は数多くある。叡尊は愛染明王と
舎利塔(釈迦回帰として)を大切にされていた。
戒律を重んじる律宗と真言宗が融合し、真言律宗。
(真言宗の中の一派)

今回の国宝指定を機に、叡尊についてもっと関心が高まると良い。
叡尊の直弟子・忍性が創建したお寺に鎌倉の極楽寺がある。
お二人とも慈善活動家として有名。

叡尊坐像解説         国宝仏像所蔵寺院の一覧
 
 
本日のメインは朝比奈さんの「阿弥陀来迎像制作(第2回)」。
朝比奈さんの熱心さと探求心に参加者は皆脱帽。
 
PPTで発表の朝比奈さん
 
来迎像制作の目的      来迎像の使われ方の想定

制作上、独自の工夫をされているところに注目が集まった。効率化を
図るために人形を活用したり、精度を増すために塑像での試作モデル
づくりなど、創意工夫が凄い。
雲棚方式での試作方法        塑像の(仮)制作
 
 
厨子の中に安置する方法を検討した結果、雲棚の形式を採用
することとされたそうだ。
雲棚制作の工夫も凄い。
阿弥陀聖衆来迎像の配置案
 
試作の阿弥陀聖衆来迎像
 雲棚を含まない段階        雲棚に上に乗せた姿
 
来迎像制作スケジュール
 
建設会社の工房使用が許可され、強力な助っ人となった。制作がより
効率的になり当初予定より早まるのではないかと思われる。
東京オリンピック前には完成したとの目標を立てている。
 
「解説も分かりましたが、朝比奈さんという人間に感動した」との感想
も聞かれた。
 
6月の拝観寺院は中野にある萬昌院功運寺と新井薬師。お寺の概要
や仏像について井戸さんが解説された。最近の参拝寺院は井戸さんの
フットワークで得た情報を基に選んで頂いている。
 
なお、13宗について掲載して欲しいとの要望があり、掲載。
 

 

2016年6月1日水曜日

西荻地域区民センター「仏像講座」のお知らせ

「仏像の観方・楽しみ方講座~基礎編」を西荻地域区民センターで開きます。
仏像の観方・楽しみ方の基本を分かり易く解説いたします。
PRポスター
 
○日本の誇れる文化遺産、文化財として、仏像の造形美を堪能することは
 素晴らしいことです。
○一方、仏像は何のためにできたのか、仏像に込められた思いを知った上で、
 拝観されると、また感じ方も違ってくるのではないでしょうか。

○仏像は偶像ではありません。
○お釈迦さまは入滅される直前に、偶像崇拝することないよう説法しています。

○仏像は仏教思想・教義・メッセージを象徴し、具現化(形にする)したものです。
○お釈迦さまの修行内容を表象したものが「菩薩」、さとり内容の表象が「如来」
 だそうです。<松原泰道著「観音菩薩 慈悲と智慧」>

○仏教思想の二本柱は「慈悲」と「智慧」です。「慈悲」とは? 「智慧」とは?
○「慈悲の仏」とは? 「智慧の仏」とは?

○仏さまが手に持つ持ち物を「持物(じもつ)」と言います。
○持物にも「慈悲を象徴する持物」「智慧を象徴する持物」があります。
○それぞれ、どんな物があるでしょう。

ご興味のある方は、どうぞお出かけください。仏像の観方・楽しみ方が広がり、
深まることを願っています。入場無料です。
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1.日時 : 7月16日(土) 開場13時30分 開演14時00分 
2.場所 : 西荻地域区民センターホール(勤労福祉会館)                                       
3.主催 : 西荻地域区民センター協議会
        HP http://nisiogi-kyogikai.sakuraweb.com/kouza.html
4.定員 : 340名 (入場無料) 
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http://www.city.suginami.tokyo.jp/event/kuminseikatsu/chiiki/nishiogi/1023099.html
 

講座内容