2018年6月12日火曜日

高井戸のお不動さん 吉祥院を参拝!


6月9日(土) 京王井の頭線高井戸駅改札口10時集合、吉祥院に向かう。
参加者は総勢15名。駅から徒歩6分に位置する。3月に訪れており、直近
二度目の参詣となる。予め、ご住職にお電話し、参拝予約をしておいた。

駅の階段を降り、環八通りを右手に進むと参道入口の鳥居のような門(①)
が見えて来る。門をくぐり、左右が住宅となる細い参道(②)を歩く。
参道奥を右手に折れると山門(③)が見え、その先に本堂(④)がある。

杉並区教育委員会による「吉祥院」についての解説は・・・
「当院は象頭山遍照寺と号する天台宗の寺で本尊は不動明王です。中興開山
 は上高井戸村の並木卓善で、明治16年に開創されました。

 並木卓善は不動信仰に厚く、明治8年には成田山新省講を結成し、成田不動尊
 の末寺的な寺院を創設しようと計りました。しかし、当時は寺院の新設は禁止
 されていたため、丁度廃寺となっていた谷中の吉祥院=江戸初期の開創で
 松平定信や輪王寺宮の崇信を受け、大寺席となったが、明治維新廃寺と伝える
 =を再興するという姿で開かれたのが、当院のはじまりです。」

廃寺の再興とは、吉祥院二世晃恭が谷中の天台宗象頭山遍照寺吉祥院住職と
なり、明治16年に移転させたということのようだ。

①環八沿いの吉祥寺参道入口  ②山門へ向かう住宅地の参道

③山門                 ④本堂

ご住職お住まいのインターホンを押し、来訪をお伝えすると、本堂が開扉
され、堂内へご案内頂いた。椅子への着席と写真撮影の許可を頂いた。
全員が坐って、ご住職のお話を拝聴した。(⑤)

吉祥院の正式名は「象頭山(ぞうずさん)遍照寺(へんじょうじ)吉祥院」。
歓喜天(象頭人身の神)がご本尊であったことにより、「象頭」との山号が
付いていた。また「遍照」とは大日如来のこと。現在は、不動明王がご本尊
となっている。

また、吉祥院の変遷は、霊巌島から谷中に移り、更に現在の地に移転と
なったとのこと。霊巌島とは霊巌寺がかつてあったところのようだ。
ご住職の解説をお聴きしたあと、堂内を拝観させて頂いた(⑥)。 
⑤ご住職からお寺の縁起を聴く   ⑥本堂内を自由に拝観する

ご本尊の不動明王像(⑦)は、大師様(だいしよう)の造形。両眼を開いて
おり、天地眼となっていない。本堂右手奥には、寛永寺慈眼堂から拝領された
と言う厨子の扉(⑧)が置かれていた。三つ葉葵の紋が彫られ、格式の高さを
物語っている。

慈眼堂の慈眼とは慈眼大師天海僧正のことであり、家康、秀忠、家光と徳川
三代に仕えた高僧。吉祥院の本堂と山門は慈眼堂から移築されたらしい。
棟札がないため、証明できないことが残念とご住職が言われていた。

大老・松平定信もこのお堂に上がり、我々と同じ位置でご本尊を礼拝された
のではないかとのご説明に、江戸時代に思いを馳せることにもなった。

厨子の前には中央に不動明王、左右には智拳印を結ぶ金剛界大日如来が
鎮座されている。いずれの像も、ご利益を感じさせる造形だ。
⑦ご本尊の不動明王像      ⑧慈眼堂拝領の厨子と諸尊像 

本堂から、外に出て、境内の石仏のご説明をお聴きした。本堂を正面に見て、
左手に、五大明王、三十六童子など成田山と同じような築山がある(⑨)。
三十六という数は、過去・現在・未来と三倍すると百八となり、煩悩の基となる
とご説明された。煩悩を断ち切るための童子と理解した。

⑨吉祥院 成田山

本堂を挟むように左右に二童子が立っている。本堂に向かって左側には
険しい顔立ちの童子、制多迦童子(⑩)が立っている。他方の右側には、
蓮華を持ち、優しい顔立ちの矜羯羅童子(⑪)が立つ。像名の表記が逆
になっているのは残念。
⑩制多迦童子像      ⑪矜羯羅童子像

境内をぐるりと巡った後は、ご住職と一緒に記念撮影(⑫)をした。シャッター
は、所属団体仲間の石岡さんにお願いした。住まいが吉祥院のご近所でも
あり、今回の見仏会に馳せ参じてくれた。
⑫ご住職と一緒に記念撮影

本堂の左手奥に、「こもり娘」と言う可愛らしい像が目に付いた(⑬⑭)。
台座には明治三十三年九月二十八日建立と明記されている。
建立された人達の名前もあった。どんな思いで建てたのだろうか。 
  ⑬ こもり娘像と石碑        ⑭こもり娘像

杉並の寺院は7割が明治以降の移転、もしくは新設の寺院であり、特に
移転された寺院の場合は、お寺の古い縁起に不明な部分もある。

吉祥院も、新たな確証となる史料が出てくれば、文化財としての価値も
更に高まることが予想される。杉並の寺院は歴史を調べる楽しみもある
と思われる。いつも、熱心に解説されるご住職にお礼申し上げたい。

拝観後、高井戸駅近くの中華で、早めの昼食を美味しく頂いた。(合掌)

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