2016年1月20日水曜日

美術史家・關信子先生 特別講座 初日開催!


 「迎講」の講演会や「仏像歳時記」を通して、絶大な人気の關信子先生。
本日、仏像入門編として3回シリーズの特別講座を開催した。
参加された方は48名。

「仏像サロン」「仏像愛好倶楽部」「小平花南仏像の会」の各会員と
ゆうゆう荻窪東館の運営に携わる人など主として4グループの皆さん。

いつものように、終始お立ちになったまま、マイクもお使いにならず、
2時間お話になられた。良く通るお声、明快な解説と、またまたファンが
増えたのではないだろうか。
特別講座でお話しされる關先生

仏像入門の第1回目は「仏像の世界」。仏像誕生の推移を仏教の
変遷に合わせて解説頂いた。最初に色んな像をスクリーンに映され、
「これは仏像ですか?」と問題を投げかけられた。

また、入門書に書かれている三角形の組織図(如来を一番上に書き、
次に菩薩、明王、天部の四層の図)はおかしいとご指摘された。
ほとけの世界はそんな単純なものではない。今日のお話は、皆さんを
少し、混乱させることになるかもしれませんと前置きしながら進められた。

仏像とは〝ほとけ〟の像とされる。〝ほとけ〟は釈迦牟尼だけに限らず、
他の仏・菩薩など数多い。ほとけさまが一人でないところに仏教を難しく
している面がある。
一方、多神教の日本人にとっては馴染みやすい面もある。

[Ⅰ]仏像の定義、[Ⅱ]仏教の歴史、[Ⅲ]諸仏の誕生、[Ⅳ]仏像の誕生、
の順にお話しされた。釈尊誕生から2500年、仏像誕生から2000年の
歴史を概観して頂いた。

仏教の歴史の中で印象に残ったことは釈迦との関わり方の推移。
①釈迦の時代・・・釈迦から直接教えを受ける
②原始仏教の時代・・・釈迦を拝む〔仏舎利、遺物崇拝〕
③部派仏教の時代・・・仏伝の表現〔超越的な不可視の存在〕
④大乗仏教興隆・・・仏像礼拝
⑤密教興隆・・・衆生は本来仏性を備える、即身成仏の教え

「仏舎利を拝む」「仏伝で表現」「仏像礼拝」する時、釈迦像があるか
ないかの違いはあるものの、拝む者の精神に違いはあるのだろうか。
無いようにも思える。

密教は大乗仏教の発展形なのだろうか、全く別物だろうか。インドでは
仏教が衰退しかけた時の宗教改革として密教が登場したとのこと。
大衆に好まれるものを取り入れないと宗教も廃れる。

大乗仏教がもたらした諸仏誕生の中で、「釈迦牟尼」と「釈迦如来」の
違いが明確になった。「釈迦牟尼」と言った場合は釈迦族の聖者であり、
実在の人物。「釈迦如来」と言った場合は「仏陀」となった礼拝の対象。
ところで、「釈迦牟尼仏」と「釈迦如来」の違いは何だろう。

更には、三世十方お諸仏として、阿弥陀如来や薬師如来など浄土を
持った如来が生まれ、釈迦如来も如来の中の一人と位置づけされた。

密教によって大日如来が考えられると、諸仏は大日如来の変化した
尊像となる。そうなると釈迦如来の存在も違って来る。これは次回の
講座でお聞きしよう。

菩薩は大乗仏教発展の功労者と言える。利他行を実践するほとけ様
であり、我々にとって有難い存在だ。「慈悲の観音」「智慧の文殊」
「行の普賢」は有名。
 
他に、どの菩薩にどんな徳目があるかも知りたいところ。
特に二大テーマの「慈悲」と「智慧」のどちらを分有するのだろうか。

最後に、出題された尊像名の正解と合わせ、仏像と言えるかどうか
解説して頂いた。
仏像と言える決め手の一つは手を合わせたくなる像かどうかのようだ。
手を合わせたくなれば、その人にとっては正に〝ほとけ〟と言える。
なるほどと頷いた。

講座終了後に、關先生と歓談する中から学んだこと。三角形組織図
の山は一つではなく、いくつもある。説明がつかないものを一つに
まとめるからおかしい。
ある時は不動明王が一番上にある山。観音菩薩が一番上の山などと、
数限りなくある。

ぜひ、そのような図解入りの入門書をご執筆くださいと要望する。
残念ながら、時間的にご無理のようだ。

次回は、「如来」「菩薩」についての講座。質問は当日受け付けて
頂けるとのこと。どうぞ、お楽しみにしてください。





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