2014年10月17日金曜日

美術史家・關信子先生の講演会 開催!


御高名な美術史家・關信子先生の講演会とあって会場は超満員となる。
36名の参加は過去、最高人数を記録した。椅子だけの配席で対応した。
講演会テーマは「野外仮面宗教劇<迎講(むかえこう)>についてー極楽
へ誘った阿弥陀像を中心にして ー」。

關先生の解説は、極めて分かりやすく明快、しかも溌剌としたお声で、
元気まで頂く。皆さん、さぞ満足されたことだろうと思う。講演会終了後、
たくさんの人からお礼の言葉を頂いた。超一流のプロは人を引き付ける。
 
講演会会場の様子
 
ご講演の關先生

末法到来の時代、当時のベストセラー作家・恵心僧都源信が著した書物
「往生要集」が基になって、迎講が始まったとのことだ。末法の時代、貴族は
造寺、造仏、写経もして、極楽往生を願った。庶民は迎講に救いを求めた
ことだろう。

浄土の中でも一番の人気が阿弥陀さまが教主の西方極楽浄土だったよう
だ。死者が往生するためには、阿弥陀さまに「来迎」してもら必要がある。
お迎えに来て頂けるとイメージトレーニングすることこそ、末法の世を生き
抜く術だったのだろう。見苦しい最後は見せたくないと思う願いは今も共通
しているように思う。

迎講の登場人物、道具、舞台、開催日、開催時刻など、詳細にご説明頂き、
当時の仮面劇の様子がクリアな形で浮かんで来るようだ。仮面劇復活に
専心される關先生でしかできないことだと感服する。

迎講の主役が変遷する流れも大変よく分かった。阿弥陀面に始まり、
着装の迎講阿弥陀像、更には被り仏の迎講阿弥陀像となり、最後には、
阿弥陀さま不在の行道に変化したとのことだ。主役変遷の長所や短所、
あるいは迎講に求める目的の変化も良く整理できたように思う。

講演会でご紹介された画像の一部
       「阿弥陀面」(浄真寺)   「着装の迎講阿弥陀像」(浄土寺)

「被り仏の迎講阿弥陀像」(當麻寺)

今回の講演会を通じ、阿弥陀さまに今まで以上の親しみを感じるように
なった。阿弥陀さまと言えば、三尊像として観音、勢至の菩薩像が直ぐに
浮かぶ。天蓋を掲げるのは普賢菩薩ということも知った。

迎講が始まったのは源信がいたからということが分かった。源信と
言えば、源信のお母さんの言葉を思い出す。世俗にまみれずに、
世の人々のために尽くしなさいと言った言葉のようだ。
「後の世を渡す橋とぞ思いしに、世渡る僧となるぞ悲しき」
源信が頂きものを母親に送ったところ、頂きものをして喜んでいるとは
情けないと言って送り返したとのこと。一部の政治家に学んでほしい
逸話だ。

源信がこれほど名を遺したのは、母親の教育があってのことではないか?
この辺のことを關先生にお伺いしたかった。時間なくて質問できず、残念。
またの機会にお聴きしたい。

会場でお知らせした、先生のご著書
お蔭様で大満足の講演会。關先生のご予定をお伺いし、ぜひ第二弾を
企画したいと強く決意。盛会裏の講演会に感謝、感謝!(合掌)
 
 
 

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