2015年8月27日木曜日

鎌倉国宝館「仏像入門」展示を観覧!


昨日までの天候と打って変わり、絶好のお出かけ日和となる。
大変ラッキーと言える。
8時40分、新宿駅構内スーパー成城石井前に集合し、
湘南新宿ライン逗子行に乗車。
乗り換えの必要も無く、鎌倉駅に10時10分前に到着。
今回初参加の方、2名を含め参加者は14名。

先ずは、鎌倉国宝館での観覧をし、その後に鶴岡八幡宮を
参拝する計画で行動開始。

案内のチラシ
 
最初に、平常展示「鎌倉の仏像」をじっくり観覧した。
薬師三尊像及び十二神将立像の配置は、寺院の本堂をイメージさせる。
また、鎌倉名刹の重文クラス仏像も数多く出品されており、見応えがある。
 
次に、「仏像入門 ~ミホトケをヒモトケ!~」の展示会場へ移動。
イベントとして、夏休みこども仏像教室が開催されたように、
小・中学生向けの企画となっている。しかしながら、
大人の我々も十分楽める。

釈迦の足跡を辿るように「苦行釈迦図」、「出山釈迦図」、
「釈迦三尊図」「釈迦十六善神像」、そして「仏涅槃像(図)」
展示されている。

また、「如来」、「菩薩」、「明王」、「天部」、「羅漢」の順に、
グループ毎の解説と展示があり、仏像の基本を整理する
のに良い。

興味深く観覧したのは浄智寺の韋駄天像。鎌倉時代の像であり、
衣の土紋が見事に残っていた。この土紋は鎌倉仏像の特徴であり、
奈良、京都の仏像にないものだ。

円覚寺の阿弥陀三尊像は善光寺式の一光三尊像であり、
阿弥陀の印、脇侍の印も善光寺と全く同じ。
しかも、制作年代が文永8年(1271年)と特定されており、
造立の経緯も明確になっているものと思われる。
後日、確認してみよう。

国宝館を後にし、鶴岡八幡宮に向かった。途中「白旗神社」の
建物が眼に入り、参拝。
御祭神は源頼朝、源実朝との掲示があった。
鶴岡八幡宮の参拝前に、記念撮影を済ませた。

白旗神社を参拝           記念撮影
 
参拝後、境内を散策

倒れたイチョウの大木        本殿側から参道を眺める
 
鶴岡八幡宮参拝後、朝に予約しておいた店で昼食を取った。
テーブル毎に暫し歓談。
午後は、近くの寺院で仏像を拝観しようと、浄光明寺を選んだ。
このお寺は、重文の阿弥陀三尊像で有名。
 
ところが、8月中の拝観はできない旨の掲示があり、残念ながら断念。
境内には、石造の楊貴妃観音坐像が安置されていた。
このお寺が真言宗泉涌寺(せんにゅうじ)派の寺院であることも頷ける。
(京都・東山の泉涌寺は楊貴妃観音で有名)
     浄光明寺の解説板      境内の石造・楊貴妃観音坐像
 
浄光明寺の拝観を断念し、亀ヶ谷坂(かめがやつさか)切通しを抜け、
北鎌倉方面へ向かった。急な坂であり、シニアには少しハードとなるも、
何んとか通り抜けた。
亀ヶ谷坂切通しを歩く
 
北鎌倉に到着し、円覚寺を参拝する人、駅近くで休憩する人とに
分かれた。今回の見仏会は特に良く歩いた。鎌倉の空気を満喫もした。
初参加のお二人が少しお疲れになられたのではないか(?)、
ちょっと気掛かり。
 
 
 

2015年8月21日金曜日

小池さん仏像の持物(じもつ)について解説


8月の定例会は会員21名と見学の方1名ご参加で総勢22名。
例月通り、朝比奈さんの進行で前月拝観した護国寺についての
感想を発表し合う。「貸切状態でゆっくり拝観できた」、
「天井画(龍、飛天)をじっくり眺められた」、
「中央に飾られた綱吉直筆の扁額(「悉地院」の文字)を味わって眺めた」、
「三十三応現身像をもっと間近で拝観できないのが残念」等々。

情報提供では、7月26日から4日間の日程で開催された
「法隆寺夏季大学」についてご紹介した。わずか3,000円の会費で
カリキュラムが極めて充実している旨、伝えた。
秘仏の仏像も拝観できるし、真夏の暑ささえ我慢できれば、
ぜひ一度は参加されることをお勧めした。
今年で65回目となる歴史ある講座。(4日間のうち1日だけの参加でも
満足できる)

本日のメインテーマは小池さんが解説される「仏像の持物」。
レジュメ両面印刷2枚とスライドを使って、ご発表された。
解説される小池さん
 
「持物」は何を表現しているかについて解説。
・「持物」は、「仏が悟った真理と、衆生を救済すると誓ったこと」を
  品物で表現
・菩薩の修行は⇒
 「上求菩提(じょうぐぼだい)=自らの悟り」 と
 「下化衆生(げけしゅじょう)=衆生を教化し救済」
・明王は衆生を教化畏怖するとともに、悪を退治
◎仏像が持つべき「持物」は経や儀軌により定められている
 
大変コンパクトにまとめて頂いた。大乗仏教では「利他」の考えを取り入れ、
仏教が飛躍的に一般大衆の支持を得た。仏教の教えを造像化したものが
仏像であり、持物においても、その教えを意味づけている。
 
更に、持物の具体例をスライドで解説された。その中から、唐招提寺の
千手観音と東大寺戒壇堂の四天王を掲載。
(小池さんが使用した画像をそのまま掲載)
 唐招提寺 千手観音立像    中央の手には「宝鉢」

宮殿・宝珠・宝篋(上から)  払子(上)・楊柳(下)  斧


東大寺 戒壇堂 四天王立像
 
上に掲載した四天王の尊像名と持物  (向かって左から)
増長天~宝剣/広目天~筆と経巻/
多聞天~宝塔と宝棒/持国天~三叉戟
 
持物の意味は一覧表にして明記。特に蓮華については詳しく話された。
仏教では「蓮」あるいは「睡蓮」を蓮華と言う。
一方、インド芸術では両者は明確に判別されていたとのこと。
仏教が伝播するにつれその差があいまいになったそうだ。大変興味深い。
 
また、蓮と睡蓮の違いについて参加者に質問が投げかけられた。
答えは「葉に切れ目があるのが睡蓮、切れ目が無いのが蓮」。
今度良く観察してみよう。
 
「泥水を くぐりて白き 蓮の花」 
泥水(という俗世間)の中にあっても、染まらず、清浄な白い花を咲かす蓮は
仏教では特別な存在と言える。「仏の智慧や慈悲の象徴」と解説されていた。
 
開敷蓮華(かいふれんげ)、未開敷蓮華(みかいふれんげ)など、
同じ蓮華でも悟りへの段階を表現されている。「蓮華座」という台座にも
蓮華は使われ、仏教を代表する花と言える。
 
小池さんの丁寧な解説のお蔭で、今後の仏像拝観では、持物への注目度が
劇的に高まったのではないかと思う。持物は「智慧、慈悲のいずれの象徴
だろうか」との観点で眺めると分かり易いと補足した。
 
持物を持たない如来(ただし、薬師如来は薬壺を持つ)は印相で
如来名を判別する。
印相についての質問が安元さんから出され、釈迦の五印について、
手短に解説した。
更に、詳しいことは、これから安元さんが調べ、まとめ、来年1月に
ご発表して頂くこととなった。
皆さんが入れ替わりして発表するBAC。これぞ、目指す姿。
 
最後に、今月の見仏会は鎌倉国宝館でのイベント
「仏像入門 ミホトケをヒモトケ!」への参加について
井戸さんから説明。
合わせて、鶴岡八幡宮を参拝することとした。
先月、井戸さん解説で神社について学んだ。
今回は、神社についても実地で学習の機会となる。
 

2015年8月14日金曜日

「荻窪ほっとサロン」で仏像のミニ講演会!


ケア24荻窪主催の「荻窪ほっとサロン」がゆうゆう荻窪東館で
開催された。この会は毎月、第二金曜日の午前10時から12時
に開かれ、地域内での交流を推進している。

講師が毎回変わり、8月はお盆期間中ということもあってか、
私に講師依頼があった。
ゆうゆう荻窪東館を運営するシニア総研にとっても、地域の
団体との連携を図りたいと願っており、正に渡りに船のご依頼と
なった。

いつもは2時間枠での講演を引き受けている。今回40分であり、
仏像の細かい解説より、仏像を身近に感じて頂けるような内容に
絞ってお話させて頂いた。
会場一杯のご参加であり、話にもついつい熱が入る。

ほっとサロン会場
 
最初に相田みつをの歌をご紹介した。この歌で言うあなたは
仏さまではないかと思えたこともあり、仏像の見方の導入部とした。
相田みつをが我が母校足利高校の先輩と言う、ご縁もあり、
ご披露させて頂いた。
 
次に、「威風堂々」「優美」「有難い」「強面」「凛々しい、麗しい」仏像を
ご紹介した。これは私の個人的、主観的な表現に過ぎない。
一方、「如来」、「菩薩」、「明王」、「天部」の分類にもなっている。
 
相田みつを 「ただいるだけで」    1.威風堂々の仏像

2.優美な仏像            3.有難い仏像

4.強面の仏像          5.凛々しい、麗しい仏像

(各番号の仏像名は向かって左側から)
1.奈良・東大寺 盧舎那仏坐像/
  鎌倉・高徳院 阿弥陀如来坐像 【如来】
 
2.奈良・聖林寺 十一面観音菩薩立像/
  奈良・中宮寺 菩薩半跏像/京都・広隆寺 弥勒菩薩半跏像/
  滋賀・向源寺 十一面観音菩薩立像 【菩薩】
 
3.大阪・葛井寺 千手観音菩薩坐像 【菩薩】
 
4.静岡・願成就院 不動三尊像/
  奈良・秋篠寺 大元帥明王立像 【明王】
 
5.京都・東寺 帝釈天騎象像/
  奈良・秋篠寺 伎芸天立像 【天部】
 
終了後の茶話会では、仏像について初めて詳しく
お話をお聞きし、良く分かりましたとか、
次はいつやって頂けますかなどのご要望も受けた。
また、沢山のご質問も出て、ご興味が少しアップされた
ような印象を持てた。(勝手な想像)
 
ほっとサロン終了後、運営役員の方々との打ち合わせ会
にも出席させて頂いた。来年1月までの講師予定も決まった。
シニア総研の役員も新たな講師陣に加わることとなり、
地域交流推進の連携が強化された。大変素晴らしい。
 
今日も、仏像を通じてご縁が深まったように感じた。
有難い。(合掌)




 

2015年8月8日土曜日

浅草寺の諸尊像を拝観!


昨日までの猛暑も、少し和らいだように感じた。何と運の良い事か。
10時、雷門に集合。今回は浅草寺の諸仏をじっくり眺めようと計画。
今まで、見過ごしていたと思われる仏像を確認しながら巡拝する。
参加者は14名。

先ずは「雷門」。
外国からの観光客の多さに驚く。聞こえてくる言葉も様々。
日本語があまり、聞こえない。

雷門の正式名は「風雷神門(ふうらいじんもん)」。
いつの間にか「雷門」となる。
風神、雷神の神が鳴る門から「神鳴門(かみなりもん)」といい、
それが「雷門」となったという解説もある。
いずれにしても風神の文字が消えた。

解説板によると、昭和35年に松下幸之助氏の寄進で復興した門。
浅草寺の総門に当たる門。向かって右に風神像、左に雷神像。
雷門                  雷門の解説
 
 雷神(向かって左)      風神(向かって右)
 
提灯の底には龍の彫り物
 
雷門を通り、振り返ると風神の裏に「天龍(男神)」、
雷神の裏に「金龍(女神)」の像が立っている。
 
天龍は平櫛田中の作。金龍は横から眺めると尾のようなものが
裾から外へ出ていた。これはどういうことか?
提灯には「風雷神門」の正式名が書かれている。
天龍(男神)           金龍(女神)      真横下から見た金龍    

風雷神門と書かれた提灯
 
参道の縁起絵を見ながら進むと、宝蔵門(仁王門)が見える。
楼門となっており楼内には釈迦如来、四天王、風神、雷神が
祀られているとのこと。
 
この門の寄進はホテルニューオオタニ創始者・大谷米太郎氏。
文字通り、浅草寺の宝物を収蔵するための構造となっている門。
浅草寺の山門に当たる。
 
阿吽の仁王が立ち、境内を護っている。
通常、向かって右に阿形、左に吽形の配置となっている。
浅草寺の場合は、逆になっている。
この配置は奈良・東大寺の南大門と同じ。
あの運慶、快慶作の像として有名な仁王像の門。
浅草寺仁王像のポーズは東大寺像と良く似ているように見える。
宝蔵門(仁王門)

阿形(向かって左)     吽形(向かって右)

仁王門を抜け、振り返ると大わらじが下げられている。
山形県村山市有志の方々から奉納されたとのこと。
成人の3倍近くあることが分かる。
このように大きなわらじを履くものが寺を守っていることを示し、
仏敵を撃退する意味があるようだ。
大わらじと上野さん
 
本堂を参拝前にお水舎(おみずや)で身を浄める。
ここには高村光雲作の龍神像が立っている。
天井には龍の絵が描かれている。
高村光雲作 龍神像           墨絵の龍
 
いよいよ本堂を参拝。外陣でお参り、その後、内陣に入る。
御宮殿(ごくうでん)に安置されたご本尊は秘仏のため拝観できない。
内陣を奥へ進むと向かって右の脇仏に不動明王、
左の脇仏に愛染明王が鎮座。
 
内陣は冷房が効いて、快適な拝観となった。
外陣の天井には中央に川端龍子の龍、
左右に堂本印象の天人が描かれている。
 
本堂(観音堂)

本堂奥に御宮殿(ごくうでん)       外陣天井の図

参拝を済ませた後、本堂を背に記念撮影
 
次に向かった先は、影向堂(ようごうどう)。
観音様に協力する仏を影向衆(ようごうしゅう)といい、その仏を祀るお堂。
中尊の観音菩薩と生まれ年十二支守り本尊で九尊仏が祀られている。
各々、自分の護り本尊の前に座り、参拝した。
私の場合は虚空蔵菩薩。
影向堂の解説
 
その後、露座の二尊仏を観てから、二天門へ行くことにした。
二尊仏を寄進した人は日本一暑い市として有名になった、
群馬県館林の高瀬善兵衛。館林は我が故郷。
解説文に仏像造立の年や経緯が書かれている。
奉公した店のご恩に感謝し、主人の菩提を弔うために、造立した。
何と義理堅い人かと感心する。「善兵衛さんは偉い」
        向かって左が勢至、右が観音        解説文
 
浅草寺最後は二天門の二天像を拝観する。この門に祀られる
持国天と増長天は寛永寺から移された江戸初期の像。
扁額の「二天門」は三条実美(さんじょうさねとみ)の筆。
先月、護国寺にある墓所をお参りしたばかりだ。
二天門
 
二天門から浅草寺境内に再び入り、浅草神社へ行く。
鳥居を見て、神明系か明神系かと考える。
井戸さんから習ったばかりの知識を活かして判定を試みる。
一番上の横木(笠木と言う)が反っていないから神明系だろう。
次に、何んという鳥居かの特定は難しい。
あれこれ、言いながらの神社参拝も楽しい。
 
本殿をお参りし、境内を更に奥まで進むとまた別の
鳥居もあり、形も明神系。
一つの神社に何種類もの鳥居があることも確認できた。


浅草神社の鳥居
本殿               浅草神社の縁起
 
浅草神社の参拝も済ませ、昼食へ向かった。
天候にも恵まれ、今日も一日楽しく過ごした。
 
神仏習合のモデルのような寺社で日本の伝統文化、
庶民信仰の一端を味わった。
ご参加の皆さんに感謝!