8月の定例会は会員21名と見学の方1名ご参加で総勢22名。
例月通り、朝比奈さんの進行で前月拝観した護国寺についての
感想を発表し合う。「貸切状態でゆっくり拝観できた」、
「天井画(龍、飛天)をじっくり眺められた」、
「中央に飾られた綱吉直筆の扁額(「悉地院」の文字)を味わって眺めた」、
「三十三応現身像をもっと間近で拝観できないのが残念」等々。
情報提供では、7月26日から4日間の日程で開催された
「法隆寺夏季大学」についてご紹介した。わずか3,000円の会費で
カリキュラムが極めて充実している旨、伝えた。
秘仏の仏像も拝観できるし、真夏の暑ささえ我慢できれば、
ぜひ一度は参加されることをお勧めした。
今年で65回目となる歴史ある講座。(4日間のうち1日だけの参加でも
満足できる)
本日のメインテーマは小池さんが解説される「仏像の持物」。
レジュメ両面印刷2枚とスライドを使って、ご発表された。
解説される小池さん
「持物」は何を表現しているかについて解説。
・「持物」は、「仏が悟った真理と、衆生を救済すると誓ったこと」を
品物で表現
・菩薩の修行は⇒
「上求菩提(じょうぐぼだい)=自らの悟り」 と
「下化衆生(げけしゅじょう)=衆生を教化し救済」
・明王は衆生を教化畏怖するとともに、悪を退治
◎仏像が持つべき「持物」は経や儀軌により定められている
大変コンパクトにまとめて頂いた。大乗仏教では「利他」の考えを取り入れ、
仏教が飛躍的に一般大衆の支持を得た。仏教の教えを造像化したものが
仏像であり、持物においても、その教えを意味づけている。
更に、持物の具体例をスライドで解説された。その中から、唐招提寺の
千手観音と東大寺戒壇堂の四天王を掲載。
(小池さんが使用した画像をそのまま掲載)
唐招提寺 千手観音立像 中央の手には「宝鉢」
宮殿・宝珠・宝篋(上から) 払子(上)・楊柳(下) 斧
東大寺 戒壇堂 四天王立像
上に掲載した四天王の尊像名と持物 (向かって左から)
増長天~宝剣/広目天~筆と経巻/
多聞天~宝塔と宝棒/持国天~三叉戟
持物の意味は一覧表にして明記。特に蓮華については詳しく話された。
仏教では「蓮」あるいは「睡蓮」を蓮華と言う。
一方、インド芸術では両者は明確に判別されていたとのこと。
仏教が伝播するにつれその差があいまいになったそうだ。大変興味深い。
また、蓮と睡蓮の違いについて参加者に質問が投げかけられた。
答えは「葉に切れ目があるのが睡蓮、切れ目が無いのが蓮」。
今度良く観察してみよう。
「泥水を くぐりて白き 蓮の花」
泥水(という俗世間)の中にあっても、染まらず、清浄な白い花を咲かす蓮は
仏教では特別な存在と言える。「仏の智慧や慈悲の象徴」と解説されていた。
開敷蓮華(かいふれんげ)、未開敷蓮華(みかいふれんげ)など、
同じ蓮華でも悟りへの段階を表現されている。「蓮華座」という台座にも
蓮華は使われ、仏教を代表する花と言える。
小池さんの丁寧な解説のお蔭で、今後の仏像拝観では、持物への注目度が
劇的に高まったのではないかと思う。持物は「智慧、慈悲のいずれの象徴
だろうか」との観点で眺めると分かり易いと補足した。
持物を持たない如来(ただし、薬師如来は薬壺を持つ)は印相で
如来名を判別する。
印相についての質問が安元さんから出され、釈迦の五印について、
手短に解説した。
更に、詳しいことは、これから安元さんが調べ、まとめ、来年1月に
ご発表して頂くこととなった。
皆さんが入れ替わりして発表するBAC。これぞ、目指す姿。
最後に、今月の見仏会は鎌倉国宝館でのイベント
「仏像入門 ミホトケをヒモトケ!」への参加について
井戸さんから説明。
合わせて、鶴岡八幡宮を参拝することとした。
先月、井戸さん解説で神社について学んだ。
今回は、神社についても実地で学習の機会となる。
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