2019年8月30日金曜日

『完訳 ブッダチャリタ』を読む


釈迦の全生涯にわたる伝記『ブッダチャリタ』❶(漢訳
「仏所行讃」)を読んだ。大変読み易い文章で、興味深く
読み終えた。次から次と名場面が展開し、飽きる間が無い。

読むキッカケとなったことは、所属する「空海研究会」の師、
福田亮成先生からご紹介・推奨があったからであり、また、
釈迦の伝記を、一度きちんと読んでおきたいと思った次第。
❶完訳ブッダチャリタ
(講談社学術文庫)

巻末掲載、馬場紀寿氏の解説に、「訳者にインド文学、
インド思想、インド仏教研究の碩学4人を揃え、最も
望ましい条件を満たした」とある。
即ち、横山雄一、小林信彦、立川武蔵、御牧克己の四氏。
読み易い理由は、訳者が素晴らしいと言う事が分かり、納得。

訳者のお一人、横山雄一氏によると、ブッダの全生涯にわたる
伝記で、成立年代も古く、半ばに及ぶ原サンスクリット本が残り、
チベット訳や漢訳も現存するのは『ブッダチャリタ』だけとの
ことだ。

著者のアシュヴァゴーシャ(馬鳴 めみょう)は、高い教養と
学識を持ち、仏教詩人として大成された人物。紀元後2世紀頃に
活動され、同年代のクシャーナ朝カニシカ王に尊敬されていた
とのことだ。

今回の読書を通して、アシュヴァゴーシャがどのような人物
だろうかと、興味が深まった。






2019年8月12日月曜日

杉並区阿佐谷の世尊院を参拝!


8月10日(土)10時、杉並区阿佐谷の世尊院を参拝した。
正式の寺名は阿谷山世尊院正覚寺(あこくさん せそんいん
しょうがくじ)。真言宗豊山派の寺院。

猛暑にも関わらず、参拝者は24名と大人数となった。
ご住職、副住職にはお出迎えまでして頂き、大変恐縮する。

2階本堂にご案内される。本堂は、すでにエアコンで涼しく
なっていた。須弥壇を正面にして左側に、椅子が並べられて
おり、参加者は着席した。

副住職から世尊院の縁起等を記した「世尊院のしおり」と、
般若心経などのお経の書かれた「おつとめ」を頂く(❶)。
❶「世尊院のしおり」と「おつとめ」

「おつとめ」を見ながら、ご住職に倣って般若心経を唱えた。
更に、ご住職から「震災後の不思議な話」(宇田川敬介著)
の一部が紹介された。震災で亡くなった人の慰霊と同時に、
「死後を考え、今を生きる」生き方の大切さをご教示頂いた。

法話の後は、ご本尊の不動明王像を間近で拝観させて頂いた。
護摩壇の奥に須弥壇があり、ご本尊が安置されている(❷)。
ご本尊は矜羯羅童子、制多迦童子の二童子像を脇侍にして、
中央に立つ。
<❷❸は「世尊院のしおり」から>
❷本堂の内陣        ❸ご本尊の不動明王像

ご本尊の不動明王立像は室町時代末期の制作で像高122㎝と
杉並区内において、大きな仏像とのことだ。黒光りし、堂々と
した体躯。二童子像の表情、持物、彩色が対照的になっている。
三尊像としてバランスが良い。

不動、二童子像の脇に降三世明王像、軍荼利明王像が並ぶ。
また新たに2体の像を造立されると、ご住職がお話しされた。
大威徳明王像と金剛夜叉明王像とで五大明王にされるものと
思われる。

弘法大師像、興教大師像、真言八祖の図像、両界曼荼羅図等、
本堂内は密教寺院ならではの設えとなっている。諸尊像を
拝観させて頂いた後は、客殿にご案内された。

客殿には、川崎小虎(かわさき しょうこ)画伯作「佐保姫」
が掲示されているとご住職からご説明があった。淡いピンク色
が何とも言えない清楚な感じを醸していた。

本堂と客殿を繋ぐ廊下壁に掛る千手観音図像も素晴らしい。
千手が光背のように描かれており、強い印象を残した。

客殿を見学した後、中杉通りを挟んで反対側に建つ観音堂に
ご案内頂いた。内陣に入り、ご本尊の聖観音菩薩像(❹)や、
両脇に安置された閻魔大王像(❺)、奪衣婆像も拝観した。

聖観音菩薩立像は室町時代初期の作で、杉並区の有形文化財
に指定されている。像高62.5㎝の秘仏であり、御開帳日
が決まっている。今回、特別に御開帳頂いた。大変有難い。
<❹❺は「世尊院のしおり」から>
❹聖観音菩薩像       ❺閻魔大王像

杉並区教育委員会発行の「杉並区指定登録文化財」解説書に
よると、この聖観音菩薩立像は、「専門仏師の手による秀逸な
作品であり、室町時代の中でも優れた遺品」とある。

煤けた感じの聖観音と、彩色鮮やかな閻魔大王、不気味な雰囲気
の奪衣婆の対比が興味深い。観音堂では参加者の疑問、質問に
ご住職がお応えになられた。

〇観音護摩供…毎月十七日午後二時~三時
〇観音経読誦会…第一・第三日曜日午前九時~十時
開催日時についてご住職からお知らせがあった。

機会を作って、ぜひ一度参加してみたい。本日参拝者の中で、
参加希望者がいるのでは?

❻記念写真(筆者撮影)
観音堂を参拝後、ご住職を囲み、記念撮影(❻)をした。
その後、もう一度、本堂のある境内へ移動して、石造遺物
を見学した。

川崎小虎画伯の筆塚(❼)があった。娘婿の東山魁夷画伯
による揮毫とのことだ。お二人の関係を初めて知り、改めて
川崎小虎画伯の偉大さを再認識した。
❼川崎小虎画伯の筆塚
(ネットから)

ご住職、副住職から、丁寧なご対応を頂き、心に残る参拝と
なった。また、お菓子まで頂戴し、お心遣いが有難い。

なお、今回の世尊院参拝は、今井さんの取り持つご縁で実現
の運びとなった。今井さん有難う。

昼食は、清水さんに予約して頂いた中華料理店で20名が
ワイワイガヤガヤ舌鼓を打った。