2019年4月30日火曜日

花南仏像の会 日光山輪王寺を探訪!


4月26日(金)小平「花南仏像の会」の皆さんと日光を訪れた。
生憎の雨天、参加者は総勢18名。朝7時、集合場所の花小金井駅前
を出発。参拝ルートは(1、2案内図)の通り。

最初に、中禅寺で立木観音を拝観。次に三仏堂で3体のご本尊を拝観。
最後に大猷院霊廟を参拝する。
1.案内図(中禅寺)     2.案内図(輪王寺)

バスは雨の中、東北自動車道を北上する(3)。中禅寺に到着(4)
は10時半頃になっていた。花小金井を出てから3時間半が経過。
3.東北自動車道      4.中禅寺に到着

朱塗りの仁王門が目に付く(5)。中禅寺は日光山輪王寺の別院
であり、ご本尊が「立木観音」と呼ばれる十一面千手観世音菩薩。
境内から中禅寺湖が見渡せるところが、雨のため視界不良(6)。

5.中禅寺 仁王門      6.中禅寺 境内

ご本尊の立木観音(7)とご対面。開山の勝道上人が桂の立木で
彫り、今でも根が地にはると伝えられている。坂東三十三観音霊場
第十八番札所となっている。

鉈彫り風であり、素朴な優しい表情の千手観音だ。大きな像であり、
迫力もある。次に、階上にある五大堂へ案内された(8)。
7.立木観音像(重文)  8.五大堂への階段を登る

五大堂の内陣は広い。須弥壇には不動明王を中央にして、五大明王
(9)が並んでいた。須弥壇両脇には、胎蔵界、金剛界の曼荼羅が
掲げられ、天井には雲竜図が描かれている。五大堂参拝し、外付け
の階段(10)を降りた。
9.五大堂内陣       10.五大堂から降りる

境内に立つ大木にいくつもの瘤(こぶ)がある。この瘤は病気の
身代わりになってできたものとの説明があった。悪いところを
直してもらおうと、撫で仏のように触った(11、12)。
11.大木の瘤(こぶ)に触る  12.瘤が病気の身代わりに

仁王門の裏側には風神(13)、雷神(14)の像が安置されている。
仁王像より、こちらの像の方が興味ある。ユーモラスの中に、造形美
を感じる。
13.仁王門の裏側(風神)  14.仁王門の裏側(雷神)

中禅寺を後にし、いろは坂を下り(15)、昼食会場へ向かう。
15.いろは坂を下る

雨にも関わらず、昼食に大勢の来客があると見えて、沢山の
御膳(16)が並んでいた。「葵御膳」という昼食を頂いた(17)。

16.昼食会場の御膳     17.昼食を頂く皆さん

昼食後、向った先は、輪王寺の本堂である三仏堂(18)。三仏堂は、
平安初期に慈覚大師円仁が来山された折に、仁明天皇の勅願によって
創建された。天台密教形式の伽藍として希有の建物とのこと。現在の
建物は徳川三代将軍・家光によって建て替えられている。

珍しいのは、この三仏堂のご本尊は、お堂の名前の通り、三体の仏様
(19)となっている。向かって右から、千手観音、阿弥陀如来、馬頭
観音の三体。お坊さんに案内されて、ご本尊を真下から見上げるよう
に拝観した。

なぜ、三仏か? 神仏習合で三山(男体山・女峰山・太郎山)を三仏
(千手・阿弥陀・馬頭)と同一視する。日光三社権現本地仏と言う。

お堂も、ご本尊も修復に時間を要し、何年かぶりの御開帳とのことだ。
7.5mもある三体の大仏は迫力がある。しかし、金ピカの像には、歴史
の重みが薄れ、有難みも弱まるように感じる。
18.三仏堂(重文)     19.三仏堂ご本尊

ご本尊を拝観した後は、大護摩堂(20)の内陣を拝観してから、
常行堂(21)に向った。

20.大護摩堂

常行堂は無料で拝観できる。堂内内陣には中央に阿弥陀如来、周りを
四菩薩が囲んむ(22)。いずれも孔雀に乗っている。本尊の周りを
ぐるりと回れる造りになっている。孔雀には、どんな意味があるの
だろうか?
21.常行堂(重文)      22.常行堂内陣 

次に向ったのは、大猷院(たいゆういん)、家光の霊廟。入口に    
掲示された案内板(23)の通り、建造物が国宝や重文ばかりと
なっている。 
23.大猷院境内の案内板

仁王門(24)、二天門(25)、夜叉門(26)、唐門(27)及び
皇嘉門(31)はすべて重要文化財となっている。それにしても
門の多さに驚く。大猷院の中心となる本殿、拝殿(29、30)は
は国宝建造物に指定されている。

24.仁王門(重文)       25.二天門(重文)

26.夜叉門(重文)      27.唐門(重文)

28.本殿・拝殿配置図      29.拝殿外観(国宝)

30.本殿外観(国宝)      31.皇嘉門(重文)

折角の機会であり、二荒山神社(ふたらさんじんじゃ)(32)も
お参りした。
32.二荒山神社 鳥居

注目したのは足尾の大国様(33)。足尾の語源(34)も知ることと
なった。
33.足尾の大国様         34.解説板

日光山輪王寺の印象は、寺院と言うより神社のように思える。
色彩の鮮やかさ、建物の豪華な装飾と言い、寺院とは思えない。
東照宮を意識しながら造営したのであろうと想像させられる。

今回も、竹田会長始め、ご参加の皆さんのお蔭で、楽しいバス
ツアーとなった。感謝!(合掌)



2019年4月18日木曜日

東博「国宝 東寺 空海と仏像曼荼羅」を観覧!


4月13日(土)東京国立博物館で東寺展を堪能した。
参加者は総勢18名。好天に恵まれ、青空が広がる。(❶)
入館者が大勢並んでいるものと想像していたところ、待ち時間
も無く、スムーズに入館できた(❷)。
❶東博外観、桜と青空    ❷平成館入口掲示の看板

今回の見どころは、立体曼荼羅の諸尊像(❸)や両界曼荼羅図、
風信帖、密教法具、兜跋毘沙門天像、五大虚空蔵菩薩像などの
東寺名宝の数々(❹)。

❸特別展チラシ(表) ❹特別展チラシ(裏)

展覧会の構成は4章構成となっている。
第1章「空海と後七日御修法」、第2章「真言密教の至宝」
第3章「東寺の信仰と歴史」 、第4章「曼荼羅の世界」
会場図❺の通り、最後に空海ワールドの曼荼羅が現れる。
❺特別展 会場図

1.後七日御修法  (ごしちにちみしほ) 
  真言密教の最大の秘法と言われる後七日御修法がどのような
  設えで行われるか見てみたい(❻、❼)。また、天皇の安寧
  や国家の安穏をどのように祈るかも大変興味深い。

  正面に五大尊の図像が安置され、左右に修法壇が設えてある。
  修法壇の前にはそれぞれ、胎蔵界、金剛界の両界曼荼羅図が
  掲げられている。
後七日御修法 道場略図

❼後七日御修法壇(1) ❼(2)<図録から>
【壇の左手に五大尊像】【正面に胎蔵界曼荼羅図】

  胎蔵界曼荼羅図の後ろ側壁には、十二天像(❽)が並んでいる。
  <十二天像 平安時代・大治二年(1127)京都国立博物館>

  十二天像とは密教における方位の神々であり、四方四維の八方位に
  上下の二方、更に日月を加えた十二方からなる。密教の修法空間を
  守護している。
       ❽十二天像(1)       ❽ー(2)

❽ー(3)        ❽ー(4)
(画像はネットから)

  十二天像は胎蔵界曼荼羅図にも描かれている。胎蔵界曼荼羅図
  は十二院に分かれている。一番外側の四方を外金剛部院と言う。
  外金剛部院に十二天像が描かれており、その位置を示したもの
  が❾図。
❾胎蔵界曼荼羅 外金剛部院に
描かれた十二天の位置

  後七日御修法の修法壇で一番感心したのは、修法壇の前に
  設置された台の上に御衣が置かれてあった。天皇の勅使に
  よって運ばれた御衣は、祈祷の後、御所へ届けられる。

  834年、仁明天皇から空海に勅許されたこの御修法が
  今も延々と続いていることに深く感動する。

2.第2章、第3章で、特に注目した仏像
  愛染明王香合仏(あいぜんみょうおうこうごうぶつ)(❿)
  は、直径8.6㎝の小さなお椀の中に納まっている。
  何とも可愛い仏像で、大事にお守りしたい気持ちんになる。

  香合とは香を入れるための蓋つきの小さな容器のことを言う。
  愛染明王はヒノキで制作されており、香木の白檀ではない。

  兜跋毘沙門天立像(とばつびしゃもんてんりゅうぞう)
  (⓫)を間近で拝観した。見開いた眼は威圧的である。
  しかし、顔全体の表情は、どことなく女性的な優しさを
  感じた。下から両手で支える地天女と尼藍婆、毘藍婆は
  何とも愛嬌がある。

  平安京の羅城門で都を守護したこの像を、空海はどんな
  気持ちで眺めていたのだろうか?

  ❿愛染明王香合仏    ⓫兜跋毘沙門天立像
(いずれも図録から)
3.曼荼羅の世界
  今回一番の見どころは曼荼羅の世界。お堂で拝観する時と
  違った眺めを楽しみにして来館した。仏像配置が変わること
  で印象が異なることや360度の観覧など、博物館ならでは
  の楽しみがある。第二会場に入ると(⓬)、五大虚空蔵菩薩
  を目にする。

  観智院の五大虚空蔵菩薩坐像(⓭)は、お寺で拝観する時は
  横一直線に並んでいる。今回は円形に配置されている。方位
  を考慮すれば、円形配置の方が本来の配置ではないかとも
  思える。

  どの虚空蔵菩薩も、同じようなお顔をされている。一方、台座
  の動物がみな違い、面白い。法界虚空蔵菩薩はなぜ馬なのかと
  いろいろと想像を巡らす。

  これらの像は、空海の孫弟子の恵運(えうん)が唐から請来
  したと伝えられており、安祥寺旧蔵だそうだ
「曼荼羅の世界」仏像配置図  ⓭五大虚空蔵菩薩坐像

  立体曼荼羅(⓮~⓱)をどのように、再現するのかが
  一番の関心事。前面中央に、帝釈天騎象像を安置し、両端には
  持国天立像、増長天立像を配置(⓮)。立体曼荼羅の主役は、
  帝釈天と言える。帝釈天像のみ、写真撮影が許可され、大勢の
  人が周りに群がっていた。

  菩薩像、明王像は東寺講堂と同じように配置される(⓯、⓰)。
  如来像は最後部に横一列に並んでいた(⓱)。東寺講堂では
  中央に陣取る如来像も、東博では控えた存在となっている。 
⓮天部像         ⓯菩薩像
⓰明王像          ⓱如来像
(⓮の帝釈天像以外は図録から)

写真撮影が許可された帝釈天騎象像が⓲。

⓲帝釈天騎象像(筆者撮影)