7月の定例会は東京藝大の中嶋莉恵先生の講演会。参加者は28名。
講演会開始前に、九品仏浄真寺の「おめんかぶり」にご参加される
岡本さんから日時や当日の流れについてのご連絡があった。同伴者
に小池さんも出演される。ご都合のつく方はぜひ応援に行きましょう。
「おめんかぶり」出演を報告される岡本さん
☆8月16日(土)11時から約30分間☆
いよいよ中嶋先生の講演会。昨年6月に続いて2度目。
今回は最近の活動(修復)状況についてお話し頂いた。
具体的に千葉県館山市の那古寺(なごじ)の木造阿弥陀如来坐像修復
の様子を詳細に解説された。
この阿弥陀像は平安時代、カヤの一木造で造像されているそうだ。
虫食いがひどく、像が大分傷んでいたようだ。彩色を外すのに1か月、
解体にも1か月もかかったとのこと。
「含浸強化」「充填(じゅうてん)」「木屎による穴埋め」の作業手順がある
ことを学んだ。虫食いで弱体化した材をいかにしっかりしたものにするか、
しかも可逆性があることが求められる。
カヤ材の像にヒノキ材で修復するのは、後補であることが分かるように
敢えて別材が使われるようだ。修復のヒストリーを残し、将来の再修復
に備えている。現状維持を大原則とし、何も足さない修復の思想を良く
反映しているように感じた。
平安時代にも関わらず、玉眼となっていたところは、ヒノキ材で彫眼に
戻されたそうだ。過去の修復が明らかに誤りであれば、時代考証の上
あるべきものに変えることもあるようだ。
また、依頼主の要望もあり、必ずしも時代考証的にあるべき姿に戻す
ことばかりでないこともあるとのこと。ちょっと悩ましい問題だ。
現在、修復を手掛けている仏像についても紹介された。修復後の像を
拝観する日が楽しみになる。
修復活動の後は、仏像彫刻における木彫道具や素材の木について
の解説をして頂いた。クス、カヤ、ヒノキ、キリなどを実際に手にして、
木目、色や、香りを実感した。
皆さんから出た、沢山の質問に丁寧にご回答いただいた。大変和やか
な雰囲気の中、講演会が終了した。
貴重な文化遺産である仏像を、拝観できるのは、保存修復の優れた
技能に支えられていることを皆さんよくご理解されたことと思う。
BACとして、引き続き、莉恵ちゃん先生を支援することを皆さんで確認
した。来年もまた、講演会よろしくお願いしま~す。
講演会終了後、近くのファミレスでお食事をし、楽しく歓談。満足!満足!
解説をされる中嶋先生
講演会の様子 ご参加の皆さん
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