2015年3月14日土曜日

根津美術館「救いとやすらぎのほとけ 菩薩」を観覧


荻窪東館の講座にご参加の皆さんと根津美術館を訪れた。
今回、根津美術館所蔵のコレクションの中から菩薩を表した作品、
約40件が展示される。菩薩に限定した展覧会というのも面白き企画だ。

展覧会チラシ
 
菩薩で一番ポピュラーなのは「観音」と「地蔵」。「文殊」や「普賢」が
次に続くように思える。
観音信仰は古く、飛鳥時代からあったとのこと。
したがって、観音菩薩像は飛鳥時代銅造、木造共に展示されていた。
木造・漆箔の観音菩薩像が印象に残る。
お顔立ちは飛鳥と言うより白鳳期の童子形に思われた。
 
一方、地蔵信仰は平安末期から鎌倉にかけて始まったようだ。
当然のことながら、作品もすべて、鎌倉時代以後のもの。
末法思想で一気に広がったことだろう。
 
観音、地蔵は六観音、六地蔵でも造像される。
六道世界の救済者として、その役割を担っている。
極めて慈悲深い仏さま。人気の最大要因と思える。
 
密教での普賢菩薩は普賢延命菩薩と呼ぶとの解説があった。
天台系は二臂、真言系が二十臂で造像されるようだ。
基となる経典によって、呼び名が違ったり、宗派によって
造像面で違いが出てくるとは少し厄介だ。
 
「普賢菩薩十羅刹女像」仏画は普賢菩薩が女性からの信仰が
いかに厚かったかを物語る。
女性は救われないという不合理がまかり通る時代に、女性にとって
有難いほとけであったに違いない。
他の仏画では稚児文殊像は可愛らしく、図像も鮮明で、印象に残る。
 
更に注目したのは「虚空蔵菩薩像・如意輪観音像(華鬘)」。
この組み合わせは、何に基づいているのだろうか。
奈良・東大寺大仏の脇侍と同じ組み合わせだ。
密教の儀軌に何かあるのだろうか。
 
別の展示室に「北野天神縁起絵巻(根津本)」が
巻一から巻三まで展示されている。
百年に一度の天才と言われる学問の神様、
菅原道真の生涯は興味が尽きない。
 
仏教美術史上において、遣唐使廃止は時代を
区分する大きな出来事。
その決定を進言したのが道真。
仏像好きの我々にとって、何がしかの繋がりを感じる。
 
観覧後は、庭園を散策した。
メンバーのお一人がお仕事で海外へ赴任される。
別れを惜しんで、記念撮影となった。
(3名は先にお帰りになっため写らず。)
 
根津美術館の庭園での記念撮影
 
根津美術館まで来られたら、ぜひ参拝をお勧めするお寺がある。
永平寺別院・長谷寺。「長谷寺」と書いて、「ちょうこくじ」と読む。
麻布大観音の名がつく十一面観音菩薩立像。
像高約10mもある樟の一木造り。
お顔立ちは正にビーナス。
頭上の化仏は三段になっている。
暫く、椅子に腰かけて、眺めていた。
 
麻布大観音と解説文
 
天気にも恵まれ、菩薩のような皆さんと菩薩を観覧し、
幸せな気分となりました。(合掌)

 

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