2016年8月14日日曜日

金沢文庫企画展「国宝でよみとく神仏のすがた」を観覧


金沢文庫で保管する「称名寺聖教(しょうみょうじ しょうぎょう)」と
「金沢文庫文書(かなざわぶんこ もんじょ)」が国宝に指定される
こととなり、今回の企画展が開催された。

「称名寺聖教」とは開山の審海(しんかい)から五世の住職やその
弟子たちが収集した仏典とのこと。その内容は密教の伝授に
かかわる儀式や秘伝を記したもの、説法の台本、仏を讃える
「声明(しょうみょう)」の楽譜、更には仏教を学ぶための基本書など
だそうだ。

また、「金沢文庫文書」とは、鎌倉時代後期から室町時代にいたる
4,149通の文書群であり、称名寺に伝来した寺院経営・仏事関係
文書と聖教に含まれて伝わった書状類で構成されているとのこと。

その特色として「紙背文書(しはいもんじょ)」という言葉を知った。
即ち、使用済みとなった手紙の裏面を転用して別の書物・聖教の
書写に使用したために伝わった資料のことを言う。当時の生々しい
情報も記されている。

称名寺聖教が16,692点、金沢文庫文書が4,149通が国宝に
指定されることとなり、新国宝を通じて、普段あまり見ること機会の
少ない個人蔵の仏像、神像などの仏教美術作品をご紹介する
展覧会開催となった。

出展作品の中で、特に注目の仏像は展覧会の案内チラシに掲載の
弥勒菩薩立像。
企画展案内チラシ
 
実物の弥勒菩薩は、写真以上に美しいお姿に見とれ、暫く佇んでいた。
裏側からも眺めることができ、頭部や背部、頭光や衣の造形も素晴らしい。
こういう仏像をどういう方が所蔵されておられるのか、ぜひ知りたいところだ。
また、鎌倉時代の仏像がどんな遍歴を歩んで来られたかも合わせて興味を
持った。
 
その他、参加者で話題に上った作品は、「迦陵頻伽(かりょうびんが)」の彫像。
極楽に住むとされる上半身が人間で、下半身が鳥の生物。図像ではよく
見かけるも、彫像でお目にかかるのは初めてと、皆さん喜んでいた。
 
この像は覚園寺の日光・月光菩薩の光背に付いていたもののようだ。
こちらも、どうして個人に渡って行ったのか興味深い。時期を見て、
覚園寺を参拝することとなった。
 
更に、目を引いたのは「仏の三十二相」を讃える声明の楽譜。
「真青眼相」などに音階をつけ、声に出せば、確かに良く覚えるだろうと
想像できる。
 
65歳以上の入館料はわずかに100円。料金が安く、内容充実の
展覧会だった。館内のカフェで昼食を取りながら歓談した。
称名寺へ向かう前に記念撮影。更に、称名寺の境内を散策して
帰路に着いた。
記念撮影           称名寺の釈迦堂を見学
 
 日本橋三越本店 本館6階の美術フロアで東京藝大「次代を担う
若手作家作品展」が開催されている。中嶋莉恵さんの作品が出展
されており、拝見に立ち寄った。
彫像とは思えないような体毛のリアルさに驚いた。すでに、「御約定」
の表示が付けられていた。人気のある作品であることを物語る。
出展された作家の人数は189名。会期:8月10日(水)~16日(火)
中嶋莉恵さん作品 「雨上がりのロバ」

 
 

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