2月定例会の参加者は23名。今月は、渡辺亮一さんが「運慶の仏像」に
ついて、まとめられたことを発表された。運慶、快慶は東博、奈良博で
特別展の開催が予定されており、正に時宜を得たテーマと言える。
☆東博 9.26~11.26 興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」
☆奈良博 4.8 ~ 6.4 快慶 日本人を魅了した仏のかたち
発表される渡辺さん 拝聴する参加者の皆さん
ご発表は飛鳥時代の止利仏師から定朝までの各時代を代表する
仏師と作品をまとめ次に、運慶、快慶の作品を紹介された。
休憩時間に談笑する皆さん
渡辺さんの解説を補足する意味で、時代別の造寺・造仏の変遷を
発願者の観点から整理すると・・・
①飛鳥…氏族の安穏・繁栄としての氏寺
蘇我氏➡飛鳥寺(釈迦如来)、
聖徳太子一族➡法隆寺(釈迦如来)
②奈良~平安前期…天皇家を中心とする鎮護国家的色彩
奈良(天平)…聖武天皇➡東大寺(盧舎那仏)
平安(弘仁・貞観)…桓武・嵯峨天皇➡東寺(大日如来・密教到来)
③平安(藤原時代)…藤原摂関家
平安末期…藤原頼通➡平等院(阿弥陀如来)
白川法皇➡6000を超える造仏記録
(末法到来で極楽往生を祈願)
⑤鎌倉時代…東国武士 ~慶派の活躍~
(東大寺・興福寺の復興)
運慶と快慶の比較が面白い。天才運慶と秀才快慶の違いが
造像において表れている。
興福寺北円堂の弥勒仏坐像(運慶作)と醍醐寺弥勒堂の
弥勒菩薩坐像(快慶作)を比較してみると、運慶と快慶の違いと
併せて、仏(如来)と菩薩の違いも良く分かる。
運慶作 弥勒仏坐像(国宝) 快慶作 弥勒菩薩坐像(重文)
玉眼でリアルを表現した運慶が、北円堂の弥勒仏では玉眼
にしないで、彫眼にしている。
これは、古式を意識していると同時に仏はあまりにリアルで
あってはいけないと考えていたのではないだろうか。
運慶展、快慶展に備え、更に学習を深めて行きたいと思う。
最近読んだ本のご紹介をした。
☆☆ 「荒仏師 運慶」(梓澤要 著 新潮社)☆☆
運慶の名作がどのような経緯で造像されたか、大仏師運慶の
下で働いた小仏師は誰か等の記述もあり大変興味深く読めた。
僧綱位も法印と最高位まで上り詰めた運慶は当時も、今も、
名実ともにナンバーワンの大仏師と言える。
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