2015年12月12日土曜日

またまた、横須賀 浄楽寺にて運慶仏を拝観!


荻窪メンバーと浄楽寺の運慶仏5体拝観に出かけた。
湘南新宿ラインに乗り、空き席に分かれて座る。
歓談しているうちに、終点の逗子駅に到着。
危ぶまれた天候も嘘のよう。
好天に恵まれ、正に行楽日和となる。

逗子駅で西荻メンバーの朝比奈さんも合流し、
総勢12名となる。更に路線バスに乗り、
浄楽寺向かう。途中、車窓から富士の雄姿を眺める。
皆さん笑顔がこぼれる。

ボランティアガイドの予約もできることを知り、
お願いして置いた。11時に到着すると、本堂前に女性お二人が
待機されていた。「おおくすエコミュージアムの会」所属の方々であり、
この会は、大楠地域をまるごと博物館とみたて、そこで再発見した
魅力を地域づくりに活かす活動をされているとのことだ。
ガイドさんの解説を聴く皆さん  ガイドの原田さん(手前)と住岡さん

ボランティアガイドさんのお話を聴いた後、収蔵庫へ案内され、
運慶仏5体を拝観する。
収蔵庫内へ

収蔵庫の中に入って、阿弥陀三尊像を前にすると、ガイドの
原田さんから一言。合掌して一礼下さい。先ずは、個々に
拝観する前に、浄楽寺の縁起や、運慶仏として認定される
に至った経緯等お聴きした。
それなりの時間を要するために、椅子に腰かけてお聴き
することを勧められる。

ガイドさんの話の中で、興味深いことは、浄楽寺の院号が
「勝長寿院」となったことと諸尊像に対する評価の変遷二つ。
「勝長寿院」は、源頼朝が父・義朝の菩提を弔うために
鎌倉に建立した寺院の名前。
浄楽寺の正式名は金剛山勝長寿院大御堂浄楽寺。

二つの説があり、一つは勝長寿院が何度か倒壊した際、
その部材を浄楽寺建立に使用したため、「勝長寿院」を
院号としたと言う。
また、別の説は和田義盛が浄楽寺建立に際し、勝長寿院を
モデルとしていたため院号としたとのこと。

阿弥陀三尊像は当初、勝長寿院の本尊が浄楽寺に
移されたとされてきた。北条政子の命により和田義盛が
この地に移した。
勝長寿院の本尊だけに、大正15年に国宝指定された。
ところが、勝長寿院の本尊は成朝(せいちょう)作の
丈六仏であり、作風も違い勝長寿院の本尊ではないと
なったようだ。

勝長寿院の本尊でなくなれば、国宝認定の根拠を失うこと
になり、不遇の時を過ごすこととなる。
昭和25年文化財保護法の下では、文化財指定を外され、
一般の仏像となる。

ところが、昭和34年のレントゲン撮影での毘沙門天の銘札、
更に昭和45年の解体修理で不動明王の銘札、阿弥陀三尊の
陀羅尼や梵字で運慶作が確定し、昭和50年に重要文化財の
指定を受けることとなったそうだ。

時代と共に評価が上下し、数奇な歴史を重ねて来た尊像と
改めて感じた。また、厚化粧をしたような毘沙門天の写真を
見せて頂いた。

重文指定の前は、この厚化粧に修復された像であったようだ。
何とひどい修復だったか。文化財と程遠い像に見える。
ガイドさんの解説をお聴きした後、5体の尊像をじっくり眺め、
歓談しながら過ごした。

次に案内されたのは前島密の墓所。前島密は「郵便の父」
として有名な人物だ。お墓の地点から遠く富士山を眺める
ことができ、そこに墓石を建てたとのこと。墓石も富士山を
象ったようだ。

前島密が「漢字廃止論者」であったとの解説を聴き、
ちょっと残念に思えた。もし漢字がなくなっていたら、
日本人の精神構造や日本の伝統文化はどうなって
いたろうかと想像する。
何となくデジタル的で、深みの無いように感じる。
漢字と言う表意文字は日本が誇れる文化と思う。

前島密翁の墓


続いて,本堂内の諸尊像を拝観するため、移動した。
本堂を背にして記念撮影をする。

           参加者で記念撮影      本堂扁額「勝長寿院」

本堂参拝を済ませ、バスで逗子へ戻り、昼食を取る。
駅の近辺を歩き、蕎麦屋さんを発見。時間帯も1時半と
なっており、全員並んで座ることができた。
お蕎麦や、丼ものを注文し、待つ間、朝比奈さん制作の
仏像を話題に歓談する。

談笑する皆さん

店頭の提灯

お蕎麦や、丼も大変美味しい。逗子に来たなら、この店に
しようと思った。店の名前を見ると「しちせ」とある。
もしや「無財の七施」の「七施」かと思い、支払い時に尋ねる。
すると、お店の人が「そうです。笑顔が足りないですけど・・・」と、
笑顔で応えた。

何と仏教的精神を心得た店かと感心。「無財の七施」とは
お金のかからない七つの布施のこと。
「眼施(げんせ)」「和顔施(わごんせ)」「言辞施(ごんじせ)」
「身施」「心施」、「床座施(しょうざせ)」「房舎施(ぼうしゃせ)」。
他の言い方もある。

「慈しみの眼」「穏やかな顔」「温かい言葉」「奉仕」
「思いやり」「席を譲る」「家に迎える」
が七施の代表的な例。ぜひとも心がけたいものだ。

今回も楽しいひと時を過ごし、またご縁が深まったように
感じた。運慶さん有難う!

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