2016年11月18日金曜日

学習会は中島憲子さんがご発表される「鉄仏」


11月の定例会には23名が集合。久方ぶりにロの字型に配席。最初に、
先月観覧した「瑞巌寺と伊達政宗 展」についての感想を伺った。参加者が
少なかったせいか、感想を伺うよりも再度、見どころをお伝えすることとなった。

近況報告では、朝比奈さんが懇意にされている工房でのミニ展覧会開催など
の報告がなされた。最新作の愛染明王像始め、バレリーナ像など13体を
展示され、大勢のご来場があった。正に仏像を通じて、地域交流を推進された。

「特別展」情報として金沢文庫の「忍性展」を、お知らせした。
清凉寺式釈迦如来像が2体出陳。極楽寺像と称名寺像との比較ができる。
転法輪印釈迦如来も素晴らしい。また、十大弟子像も、極楽寺像、称名寺像
の出展があり、比較が面白い。必見の展覧会である旨、伝えた。
定例会に参加の皆さん       ミニ展覧会を報告する朝比奈さん
 
本日のメインは中島さんの「鉄仏」解説。最初に準備されたレジュメを
読み上げられた。コンパクトに良くまとめられた資料と感心する。
「鉄仏」の解説をされる中島さん
 
1.「鉄仏」の歴史や現状について
  中国では隋、唐、宋の時代に盛んに造られた。日本では鎌倉から室町に
  かけて最も多く造られた。最も古い鉄仏は栃木県の薬師如来、1218年
  作と、はっきりしているようだ。
 
2.鉄仏がなぜ造られたのか?
  ①銅より安く、代用品として使用された。 ②銅より強いという材質への
    信頼感。
  ③鉄仏が分布している地域は、鋳物が盛んな場所であり、鋳物師集団
    が居住していたから ④鉄の荒々しい質感や恒久性が、質実剛健な
    武士の好みにあったなどが挙げられる。
 
3.仏像の種類として
   阿弥陀如来像(22躯)、薬師如来像(7躯)、地蔵菩薩像(13躯)、
   観音菩薩像(10躯)、不動明王像(5躯)、その他(12躯)
  
地蔵菩薩像13躯の内、12躯が愛知県となっており、なぜ愛知なのだろくか
との疑問も出ていた。愛知県は全国一お寺の多い県であり、色んな仏像も
多いのだろうか?
 
一般に鉄は銅に比べ、鋳造が難しいようだ。鉄に詳しい西さんから補足説明
があった。鉄の融点は高い一方、固まる温度が融点の割には低く幅がある
そうだ。
そのため、ひび割れが、し易くなるとのこと。造像する上では、厄介であり、
繊細な作業が難しいのではないだろうかと想像した。
 
レジュメでの解説の後、スライドを視聴した。

 
 

今月3日には府中本町の善明寺(ぜんみょうじ)で鉄仏の阿弥陀如来坐像を
拝観したばかりだ。年1回のご開帳に伺った。荒削りの造作であり、鉄仏なら
ではの良さもあるように思えていた。今回の解説を聴いて、また関心が更に
高まったように感じる。
 
 
 
 
 
 
 
 

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