10月の定例会には朝比奈さんが10カ月ぶり参加された。その間に制作された
作品を展示し、現在の制作活動をご発表頂いた。参加者は荻窪からの3名を加え
23名。
前半の1時間は朝比奈さんの制作作品の解説をお聴きし、後半は運慶展の
見どころを、2度観覧しての感想を交えながら解説した。
作品制作を発表される朝比奈さん 拝聴する参加者
今回、朝比奈さんがご持参された仏像は3体(①)。作品の詳細解説は②~④
の通り。阿弥陀如来坐像は、当初の予定を変更し、鎌倉期の特徴から平安末期
の定朝様にされたとのこと。中尊となるメインの像だけに、時代考証をしないと
全体のバランスが崩れてしまうようだ。
小僧時計制作のきっかけは毎月お寺で開催される住職法話の長さ。予定時間を
いつも超過するのは部屋に時計がないため。作品を贈呈したところ、大喜び
されたそうだ。小僧の大笑いと、ご住職の笑顔が良く似ているのも可笑しい。
①展示の作品 ②向かって左端の小僧時計
③中央の阿弥陀如来坐像 ④右端の観音菩薩坐像
今まで制作された作品を一覧にして紹介された。随分造られたものだと感心。
二体の不動明王は後から制作した作品が 数段出来栄えは良いそうだ。しかし、
愛着があるのは最初作品の方。その時の思いの違いがあるようだ。(⑤)
⑤儀軌に基づく作品 ⑥癒し系の仏像
また、ご親戚や、友人が病気になった時にお見舞いにと彫られたお地蔵さんの話
など一体一体に思いでが詰まっている。大変感心しながらお聴きし、仏像は形で
あり、思いが詰まった作品と言える。(⑥)
⑦木彫刻作品 ⑧制作中、企画中作品
和裁で長年使用したカツラ材の台が見事に時計に変身した(⑦の右上)。この話
も、心温まるエピソードと言える。朝比奈さん、菩薩の利他行を実践中です。
休憩を挟んで、後半は運慶展の見どころについて解説した。仏像の学習をして
いる目的の一つに、運慶作品を良く知ることもある。
運慶作品31体のうち、今回出展されている運慶作は22体。しかし、専門家が
運慶作とされる像も、東博では運慶作と認定していない像もあり、少し複雑だ。
そもそも運慶作と言うのはどのように決められているのか。運慶研究の第一人者
である清泉女子大学教授の山本勉先生は運慶度を4区分されている。この区分は
広く、様々なところで使われている。山本先生は4番目の区分まで入れて31体
としている。
⑨運慶作は22躯出展 ⑩運慶作認定の基準
「運慶前の時代(⑪)」、「運慶の時代」、「運慶後の時代」(⑫)を、系図を
見てイメージした。運慶と同時代の人がどのような繋がりを持ったかを調べる
ことは大変面白い。
⑪定朝正系三派の系 ⑫慶派の系図
東博での観覧がより一層楽しいものとなることを願っている。
定例会終了後、朝比奈さんを囲み10数名で昼食をご一緒した。
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