2015年10月9日金曜日

西荻北館での講座2日目を終える


昨日は先週の木曜日に引き続き、西荻北館「楽習塾」での
2日目「仏像講座」を終了した。
お蔭様で、先週とほぼ同人数のご参加があり、一安心した。

仏像講演会をお申込みになられてご参加の方と
年間学習のカリキュラムとしてご参加の方だと、
気を遣うところが少し違ってくる。
今回の場合などは、そもそも仏像に興味をお持ちだろうかと、
話に退屈してないだろうかとついつい顔色を窺うようになった。

二日目のテーマは「四天王」と「曼荼羅」。
最初に「方位」「四神」「四天王」について、
一覧にしたもので解説した。
一覧にすることで、関連付けて理解できる。
暫くは、資料としてご持参することをお勧めした。
方位・四神・四天王      薬師寺 薬師如来台座の四神

聖徳太子建立の「四天王寺」(大阪)の正式名は
「金光明四天王大護国寺」であり、
聖武天皇建立の「東大寺」「国分寺」は「金光明四天王護国之寺」。
いずれも、四天王が国を護るとされている。鎮護国家として、
当時はいかに四天王の存在が大きかったかを物語る。

国家を護る四天王から個人を護る、独尊としての毘沙門天が
人気となったことにも触れ、毘沙門天のご紹介もした。
海住山寺の四天王像

次いで、「曼荼羅」。両界曼荼羅の概略をお話しした。
「理の曼荼羅」としての胎蔵界曼荼羅と「智の曼荼羅」としての
金剛界曼荼羅を解説。

両界曼荼羅
 
胎蔵界曼荼羅では、中台八葉院から発するエネルギーが
慈悲と智慧となって各院に遍満する様子を話した。
上部の遍智院に行き、慈悲は左のグループへ、
智慧は右のグループへと広がり、
分かれたエネルギーがまた中央の院に集中する。

世界が慈悲と智慧で満ちていることをイメージできれば、
良いのだろうと解釈している。
胎蔵界曼荼羅の各院とエネルギーの流れ
 
金剛界曼荼羅については「向上門(こうじょうもん)」
「向下門(こうげもん)」とある。
修行者が仏の悟りに達する過程を「向上門」と言い、
右下の「降三世三昧耶会(ごうざんぜさんまやえ)」から
時計と反対周りに、中央の「成身会(じょうしんえ)」に
到達する。
 
「向下門」は仏の慈悲により衆生を救済する過程であり、
「成身会」からスタートし、「の」の字に「降三世三昧耶会」
に到達する。
 
 金剛界曼荼羅の九会(くえ)
 
金剛界曼荼羅の基本となる成身会にどのくらいの
仏・菩薩がいるか、またどんな名前かも触れた。
大きな円の中には5仏と20の菩薩がいる。(1から25番まで)
更に、26番から37番までの菩薩を入れて37尊となる。
 
大日如来を中心として37尊の仏・菩薩とその周辺を
天部の守護神が固めている。
成身会              構成する如来・菩薩・天部

曼荼羅図を踏まえ、最後に東寺講堂の立体曼荼羅の
仏像配置の話をした。
金剛界曼荼羅 成身会に出て来る如来や菩薩が
どこに配置されているかを確認した。
五智如来、五菩薩、五大明王、梵天・帝釈天、
四天王の21体が曼荼羅を構成している。

ここで、注目するのは密教の曼荼羅の中に、
伝統的な四天王を組み込んでいることのようだ。
空海が密教と言う新仏教の中に奈良の旧仏教も
取り込んでいる。
東寺講堂 立体曼荼羅 仏像配置
 
ご参加の皆さんがどこまで、満足されたかは定かでない。
最後に、日本の文化遺産である仏像に対し、少しで関心が
高まれば嬉しい旨お伝えし、講座を終えた。
 

 
 

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