2018年11月26日月曜日

南房総の古刹を巡る<小松寺>

<前号 真野寺リポートからの続き>

2.昼食後、小松寺(こまつじ)へ
  昼食は漁師料理の看板を掲げた、団体客で賑わう店。席に着く
  なり、予約していた料理が運ばれてきた。遠方の小高い山の上
  には館山城が小さく見える。(❶❷)
  美味しい料理を頂いた後、巡拝2番目のお寺、小松寺へ向かう。
❶昼食の漁師料理      ❷遠方に館山城

  バスを降り、標識の示す方向へ歩く。木々の茂った参道は
  空気まで美味しく感じられる。(❸❹) 
  苔に覆われたブロック積み(❺)、紅葉と池のコントラスト(❻)
  など、自然の織り成す景色に目を奪われた。
❸小松寺への標識      ❹木々が茂る参道を歩く
❺苔に覆われたブロック積み ❻紅葉と池のコントラスト

  歩くこと、7、8分で小松寺の仁王門に到着した。(❼)
  仁王門のそばに「小松寺(本尊薬師如来)のあらまし」(❽)
  の解説板があった。
  『文武天皇の御代(700年)に役小角(えんのおづぬ)に
   よって小さな庵が建てられた。養老二年(718年)に、
   その庵が、お堂に建てかえられ、巨松山檀特寺の額が掲げ
   られた』

  『天長八年(831年)慈覚大師によって、大きく改築され、
   併せて山王権現が祀られた』とある。

  今年を開基1300年とする起点は、役小角の修験道であった
  ことや、やがて天台宗の寺院になったことが分かる。
❼仁王門から本堂を望む   ❽小松寺のあらまし 解説板

  秘仏本尊・薬師如来を拝観するため、本堂に上がらして頂いた。
  秘仏御開帳の会期は3回あり、今回が最後の期間(11月16日~
  12月9日)となっている。タイミング良く拝観できた。(❾❿)
❾特別開帳拝観券    ❿小松寺 本堂

  本堂では、檀信徒の方がボランティアガイドとして解説された。
  秘仏のご本尊(⓫)は60年に1度の御開帳であり、40年しか
  経っていない。今年が開基1300年であり、特別に御開帳と
  なったとのことだ。

  中央の厨子入った薬師如来立像は、平安時代初期制作、カヤの
  一木造り。木彫像で千葉県内最古。脇侍に日光・月光を従え、
  十二神将も半数ずつ、両脇に陣取っていた。

  本尊は身体に比べ、お顔が小さい。また、日光・月光の両菩薩
  は本尊の大きさに比べ、極めて小さい。いずれもアンバランス。
  このアンバランスが平安初期の特徴か。

  ご本尊の前方左右に、脇仏が並んでいた。左脇仏(向かって
  右側)の一番外側手前には、銅造十一面観音坐像(模刻像)
  が鎮座(⓮)。実物像は、国の重要文化財に指定され、東京国立
  博物館に寄託されている。(⓬)
(絵葉書から)
⓫本尊・薬師如来立像 ⓬銅造十一面観音坐像
(秘仏)     (重文・東博に寄託)

  更に、左脇仏(⓮)に、不動明王立像と御前立薬師如来立像が
  並んでいた。厨子が閉扉されている時は、この御前立が厨子の
  前に立つ。

  右脇仏(⓭)には、本尊寄りに役行者半跏像、手前に毘沙門天立像
  が並ぶ。不動明王と毘沙門天が脇仏に配置される形は天台宗寺院
  に多い。これは、天台宗寺院であった名残か?
⓭本尊の右脇仏      ⓮本尊の左脇仏

小松寺は、真野寺と同じ、真言宗智山派の寺院。修験道に始まり
天台密教、そして真言密教へと変遷してきた。過去の歴史を否定
しないで、すべてを受け入れているように感じる。仏教らしく、
寛容の精神が、素晴らしい。

(次回、那古寺リポート)






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