2016年12月11日日曜日

「空海研究会」弘法大師御誕生所 善通寺を参詣!


12月7日~8日、弘法大師御誕生所の総本山 善通寺参詣のため、
四国を訪れた。参加者は「空海研究会」会員三十数名中、16名。
弘法大師の足跡を辿る旅の一部をご紹介したい。

「空海研究会」について、若干触れておきたい。「空海研究会」とは
空海研究の第一人者として御高名の福田亮成先生が主宰される会
であり、月1回、東上野 真言宗智山派の寺院 摩尼山成就院にて
開かれている。

福田先生は、成就院の長老、大正大学名誉教授、川崎大師
教学研究所所長等、数多くの役職に就かれている。
昨年3月までは、真言宗智山派総本山智積院の専修学院長
として修行僧ご指導の任にも当たられていた。

空海著作「弁顕密二教論(べんけんみつにきょうろん)」から
「秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく)」まで、6つの著作について、
福田先生のご講義を拝聴している。会は10年以上も続いて
いるとのことであり、私自身、平成25年2月から会員に
加えて頂き、今日に至っている。

会員の半数はお寺のご住職であり、僧籍のない、門外漢の
私にはやや難解の部分もある。福田先生がテーマに関連して
話される卑近な実例を頼りに何とか消化している。
とりわけ、仏像と関連する話題は特に興味津々。

◎今回の旅程
昨年の高野山参詣に続き、2度目の参加となる。
(会としは3度目のようだ。)
旅程は以下の通り。往路は羽田から高松空港、
復路は松山空港から羽田。

12月7日(水)・・・1.旧金毘羅大芝居[金丸座] 2.金刀比羅宮
            3.満濃池 4.丸亀城 5.(宿泊ホテル)琴参閣
12月8日(木)・・・1.総本山 善通寺 2.石手寺 3.子規記念博物館
         (3については、別行動で道後温泉コースとに分かれる) 
今回ご紹介するのは7日の「3.満濃池」と8日「総本山 善通寺」。
いずれも弘法大師と所縁が深い。

☆☆ 満濃池 ☆☆
池畔に立つ掲示板「満濃池略史」に次のように書かれている。
「空海は池畔の護摩壇上で秘法を修し加護を祈りつつ弓状堤防など
の指図と説法をされた。人びと空海の徳を慕い嬉々として集まり僅か
三か月でみごと難工事を仕上げた。」

弓状堤防としたことで押し寄せる水圧を分散させ、洪水となることを
防止した。1200年も前の話とは到底思えない科学的な見識での対応。
一方、護摩壇上で修法する、科学を超えた対応。満濃池と護摩壇上の
出島を眺めながら、1200年前に思いを馳せる。
「満濃池略史」掲示板     満濃池と護摩壇となった出島
 
護摩壇となった場所を確認      満濃池を背に記念撮影
 
☆☆ 総本山 善通寺 ☆☆
善通寺には誕生院〔西院〕と伽藍〔東院〕とがある。西院は佐伯家の
邸宅跡に御影堂が建てられ、誕生院となっている。東院は長安・青龍寺を
模して伽藍が建てられ、伽藍と呼ばれている。
(善通寺のパンフレットに記載)
 善通寺のパンフレットから
善通寺の境内案内図
 
済世橋を渡り、禅宗風の門をくぐると西院の境内に入る。左手にパゴダ
供養塔が見える。その奥にある「遍照閣」と呼ばれる大きな堂宇がある。 
          西院の西側 済世橋          西院に入る門
 
1.誕生院〔西院〕
遍照閣には大勢の人が集まっていた。先達研修が行われている。
お遍路の四国ならではの光景だ。窪さんと言うお名前の若いお坊さんに
境内をご案内して頂く。四国霊場三十七番札所 岩本寺副住職をされて
いる方で、福田先生の教え子に当たるようだ。
(岩本寺は、高知県高岡郡四万十町にある真言宗智山派の寺院)
最初に、御影堂参拝へ向かう。
遍照閣
 
御影堂での参拝
御影堂              御影堂 外陣
 
御影堂の内陣
 
御影堂での参拝を済ませ、廻廊を通り、仁王門を抜け、東院の金堂
へ向かう。仁王門を背に記念撮影。東院の中門手前には塔頭寺院の
大きな石造弘法大師像が目に入る。
仁王門を背に記念撮影東院手前   観智院の弘法大師像


2.伽藍〔東院〕
金堂には像高3メートルの本尊・薬師如来座像が鎮座されている。
堂々とした体躯のご本尊だ。光背の縁は七仏薬師のように化仏が
付いている。また、光背最上部には龕(がん)と言う小部屋が
設えてあり、そこには宝塔が置かれ、その中に化仏が安置
されている。

「宝塔の中の化仏は、何ですか」と窪さんにお尋ねした。
「釈迦如来」ではないかのご回答。お釈迦さまは塔の中に安置し、
他の化仏(薬師如来か)と区別していることが興味深い。

また、左手に持つ薬壺が大きい。宝珠のような厚みのある形をしている。
どなたかが、薬がたくさん入っていて、ご利益も大きいのではないかと
言われていた。

8日は「お薬師さんの縁日」であり、法要が営まれるようだ。

本尊・薬師如来を祀る金堂(国重文)  金堂の解説文
 
ご本尊の参拝を済ませ、境内を散策した。五重塔と大楠が一際、
目を引く。五重塔は総高43m、明治35年完成、4代目の塔。
すーっと建ち、スッキリした印象を持つ。
裳階が無いことでそのように感じるかもしれない。国の重要文化財
となった建造物は流石に存在感がある。
 
大楠は樹齢千数百年の巨木。その大きさに圧倒される。空海さんの
誕生も知っているのではと想像すると、生命力をますます感じる。
また、空海の両親が祀られている佐伯祖廟が大楠のそばにあった。

五重塔(国重文)

樹齢千数百年の大楠

佐伯祖廟            説明の掲示板

3.西院に戻り、戒壇巡りと宝物館見学
金堂での参拝の後は、戒壇巡りと宝物館見学のため、入り口のある
御影堂に戻る。途中、西院の伽藍も眺めた。中で注目したものが
「親鸞堂」。他宗派の開祖を祀るとは

何と心の広いことかと感心する。何事も受け入れ、悟りへのステップと
される空海教学の真骨頂ではないかと思う。

また、「親鸞上人御尊像由来」の解説板を読むと、空海が、法然や親鸞
からも尊敬されていたことも良く分かる。
親鸞堂             親鸞上人御尊像由来

親鸞堂の隣にある閻魔堂
☆戒壇巡り
御影堂の中にある入り口から入り、戒壇巡りを始めた。真っ暗な中、
左手で壁を触りながら、前へ進む。大勢で一緒に巡るから、安心して
いられる。もし、一人で行うとなると、少し不安となり、何かを感じる
のだろうか? 
 
☆宝物館
宝物館で見学したいものは、仏像彫刻。展示の名品26品のうち、
仏像は15品と多い。地蔵菩薩立像、吉祥天立像は国重文の仏像
であり、見応えもある。五大明王のところで、福田先生が、
「前に立った時、ぐっと迫って来る仏像と、そうではない像とがある」
 と、話された。感じ方は人によっても、その時の気分によっても
違うように思える。
 
一番注目したのは銅造鍍金の阿弥陀如来立像。肉髻が平べったい
形をしており、鎌倉期造立の特徴を備えている。出品リストで確認した
ところ、間違いなく鎌倉時代の作と分かり、納得。
鎌倉時代は木彫像が主流であり、銅造の像は珍しいように思う。
最近、銅造の像に個人的関心が高まっている。 
寺宝名品展 出品リスト
 
4.遍照閣で福田先生、真鍋俊照師と談笑
宝物館見学を終え、バスの駐車場へ向かう。遍照閣では、福田先生が
どなたかと談笑されていた。
曼荼羅研究の大家 真鍋俊照(まなべ しゅんしょう)師であるとご紹介
して頂いた。金沢文庫の古文書が国宝指定を受けたことを記念して、
来年に講演会を開かれるとお聞きした。ぜひ拝聴したい。
 
真鍋俊照師は四国大学教授、仏画家、真言宗大僧正、四国霊場
第四番大日寺住職。(大日寺は徳島県板野郡板野町にある
東寺真言宗の寺院)  過去に金沢文庫の学芸員もされていた。
(ネットで確認させて頂いたプロフィール)
真鍋師をご紹介される福田先生       記念撮影
 
昨年の高野山に続き、善通寺参詣に参加でき、楽しいひと時を
過ごさせて頂いた。これも、空海研究会に加えて頂いたお蔭であり、
福田先生には深く感謝申し上ます。
 
幹事の菊地さん、大変お疲れ様でした。名幹事に脱帽。美声・名調子
にも驚きました。
同室の酒井さん、栗原さん、色々お世話になりました。更に懇親を深めたい。
工藤さんには旧金毘羅大芝居[金丸座]へのご案内頂いた。
グッドチョイスに感謝。
今回 ご参加の 皆様 来年もご一緒できることを願っております。(合掌)
 
 
 
 
 

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