2019年12月12日木曜日

「空海研究会」探訪❶ 滋賀県長浜市・向源寺


12月8日(日)~9日(月)好天に恵まれ、「空海研究会」の
11名が長浜、小浜の古刹を巡った。10時、米原駅から予約の
貸切バスに乗り、探訪がスタートした。

今回は、十一面観音を重点的に拝観する計画。最初の参詣寺院は
長浜市の向源寺(渡岸寺観音堂)。
❶新幹線車窓からの富士   ❷2日間乗車する貸切バス

<8日(日)>
1.向源寺(渡岸寺観音堂)
  [こうげんじ(どうがんじかんのんどう)]

  歴史民俗資料館の駐車場にバスを留めて、歩く。向源寺
  は駐車場の直ぐ近く(❸)。山門(❹)を抜け、進むと
  本堂が見える。

  受付を済ませてから、本堂に上がり、通路を左手に進む。
  収蔵庫に、国宝の十一面観音菩薩立像などの宝物が安置
  されている。
❸高月町案内図

❹向源寺山門        ❺向源寺本堂

  今回探訪での、見どころの一つ向源寺の十一面観音像。
  現在、国宝指定の十一面観音は7軀ある。昨年の探訪で
  京都南山城・観音寺の国宝十一面観音を拝観した(❻
  向源寺像の右隣)。

  向源寺像は、7体の国宝の中でもベスト3に入る美しい
  観音像と、個人的に思っている(❼)。今回が3度目の
  拝観となる。初めてお目にかかった時、あまりの美しさ
  に感動したことを覚えている。

  福田先生(空海研究会主宰者)は「もっと大きいと思って
  いた」との感想を言われていた。数十年前に、学生を連れ、
  来られた時の印象と比較されたようだ。

  私も記憶していた大きさより、今回は小さく感じた。昨年
  の観音寺像の方が小さい(❻)はずなのに、大きかったよう
  に思えた。更に、どことなく寂しい印象すら受けた。

  なぜ、そのように感じたのだろうかと考えてみると、仏と
  して、お堂に祀られているか、文化財として収蔵庫に安置
  されているかの違いではないかと思われた。(観音寺像は
  本堂に祀られていた。)

  拝観する側の心理として、展示される仏像は、大衆の目に
  晒されて、居心地が悪いのではと想像してしまう。だから
  寂しい印象となったのでないだろうか。

  仏はお堂に鎮座してこそ、礼拝するのに相応しい形では
  ないだろうか。一方、文化財としての魅力は確保したい。
  どう、折り合いをつけるかは今後も続くテーマだ。
❻国宝・十一面観音菩薩像七軀  ❼向源寺・十一面観音菩薩立像

  収蔵庫には、胎蔵界大日如来像や小ぶりの十一面観音像など
  も安置されている(❽)。特に、女性に大人気なのが像高
  40㎝弱の十一面観音像だと、ガイドの男性が紹介していた。
  確かに、穏やかな顔立ちは心が和む。

❽大日如来と十一面観音菩薩

  密教の仏像をなぜ、浄土真宗の寺院が管理しているのだ
  ろうか。それは、明治30年の法律(古社寺保存法)で
  十一面観音像が国宝指定される時に、向源寺が管理団体
  として登録され、今日に至っているようだ。

  拝観を終えて、向源寺本堂を背に、記念撮影をする。

  次に、歴史民俗資料館に立ち寄って。

 高月観音の里 歴史民俗資料館
  湖北地方が、交通の要所となり、己高山(こだかみやま)
  を中心とした仏教文化圏を築き、多くの観音像が残されて
  いる。「観音の里」と称され、信仰文化を歴史民俗資料
  として伝えている(❾❿)。

  奈良時代は北陸白山十一面観音信仰が流入、平安時代には
  天台勢力の影響を強く受け、習合文化圏として観音信仰を
  基調とした仏教文化が広がった(❿)。
❾歴史民俗資料館     ❿「観音の里」信仰文化

  神仏が習合した像(⓫)やその一覧(⓬)を見ると、
  何でも取り入れる日本人の寛容さと逞しさを感じる。
⓫神仏習合の本地仏    ⓬祭神と本地仏の一覧

  歴史的経過を辿りながら、今も湖北の人々の手によって
  観音像が守られている。次に向かったのは石道寺。

<続く>


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