12月8日(日)~9日(月)好天に恵まれ、「空海研究会」の
11名が長浜、小浜の古刹を巡った。10時、米原駅から予約の
貸切バスに乗り、探訪がスタートした。
今回は、十一面観音を重点的に拝観する計画。最初の参詣寺院は
長浜市の向源寺(渡岸寺観音堂)。
❶新幹線車窓からの富士 ❷2日間乗車する貸切バス
<8日(日)>
1.向源寺(渡岸寺観音堂)
[こうげんじ(どうがんじかんのんどう)]
歴史民俗資料館の駐車場にバスを留めて、歩く。向源寺
は駐車場の直ぐ近く(❸)。山門(❹)を抜け、進むと
本堂が見える。
受付を済ませてから、本堂に上がり、通路を左手に進む。
収蔵庫に、国宝の十一面観音菩薩立像などの宝物が安置
されている。
❸高月町案内図
❹向源寺山門 ❺向源寺本堂
今回探訪での、見どころの一つ向源寺の十一面観音像。
現在、国宝指定の十一面観音は7軀ある。昨年の探訪で
京都南山城・観音寺の国宝十一面観音を拝観した(❻
向源寺像の右隣)。
向源寺像は、7体の国宝の中でもベスト3に入る美しい
観音像と、個人的に思っている(❼)。今回が3度目の
拝観となる。初めてお目にかかった時、あまりの美しさ
に感動したことを覚えている。
福田先生(空海研究会主宰者)は「もっと大きいと思って
いた」との感想を言われていた。数十年前に、学生を連れ、
来られた時の印象と比較されたようだ。
私も記憶していた大きさより、今回は小さく感じた。昨年
の観音寺像の方が小さい(❻)はずなのに、大きかったよう
に思えた。更に、どことなく寂しい印象すら受けた。
なぜ、そのように感じたのだろうかと考えてみると、仏と
して、お堂に祀られているか、文化財として収蔵庫に安置
されているかの違いではないかと思われた。(観音寺像は
本堂に祀られていた。)
拝観する側の心理として、展示される仏像は、大衆の目に
晒されて、居心地が悪いのではと想像してしまう。だから
寂しい印象となったのでないだろうか。
仏はお堂に鎮座してこそ、礼拝するのに相応しい形では
ないだろうか。一方、文化財としての魅力は確保したい。
どう、折り合いをつけるかは今後も続くテーマだ。
❻国宝・十一面観音菩薩像七軀 ❼向源寺・十一面観音菩薩立像
収蔵庫には、胎蔵界大日如来像や小ぶりの十一面観音像など
も安置されている(❽)。特に、女性に大人気なのが像高
40㎝弱の十一面観音像だと、ガイドの男性が紹介していた。
確かに、穏やかな顔立ちは心が和む。
❽大日如来と十一面観音菩薩
密教の仏像をなぜ、浄土真宗の寺院が管理しているのだ
ろうか。それは、明治30年の法律(古社寺保存法)で
十一面観音像が国宝指定される時に、向源寺が管理団体
として登録され、今日に至っているようだ。
拝観を終えて、向源寺本堂を背に、記念撮影をする。
次に、歴史民俗資料館に立ち寄って。
〇高月観音の里 歴史民俗資料館
湖北地方が、交通の要所となり、己高山(こだかみやま)
を中心とした仏教文化圏を築き、多くの観音像が残されて
いる。「観音の里」と称され、信仰文化を歴史民俗資料
として伝えている(❾❿)。
奈良時代は北陸白山十一面観音信仰が流入、平安時代には
天台勢力の影響を強く受け、習合文化圏として観音信仰を
基調とした仏教文化が広がった(❿)。
❾歴史民俗資料館 ❿「観音の里」信仰文化
神仏が習合した像(⓫)やその一覧(⓬)を見ると、
何でも取り入れる日本人の寛容さと逞しさを感じる。
⓫神仏習合の本地仏 ⓬祭神と本地仏の一覧
歴史的経過を辿りながら、今も湖北の人々の手によって
観音像が守られている。次に向かったのは石道寺。
<続く>
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