2013年6月27日木曜日

6月の見仏エリアは「巣鴨」

江戸六地蔵の一つ 眞性寺
 
巣鴨地蔵通り商店街を歩く
 
とげぬき地蔵尊に隣接する会館での展示会
 
とげぬき地蔵尊 高岩寺の「洗い観音」
 
高岩寺で記念撮影
 
〇印が今回の参拝寺院等
 
猿田彦大神 庚申塚
 
妙行寺 お岩さんのお墓
 
江戸三閻魔の善養寺 閻魔さま
 
昼食後の甘味処
 
染井霊園 高村光雲・光太郎・智恵子の墓
 
芥川龍之介の墓
 
昨日までとは打って変わり、汗ばむ陽気となる。巣鴨駅改札口に14名が
集合。今月はご年配に人気の巣鴨を散策。JR巣鴨駅北口を出て、白山
通りを右手に進むと、直ぐに江戸六地蔵の眞性寺(しんしょうじ)が見える。
 
境内の奥に大きなお地蔵さんが鎮座されている。右手に錫杖、左手に宝珠
を持ち、頭には笠を載せている。首には赤い布を巻いていた。丈六の坐像
でありなかなかの存在感がある。
 
江戸時代中期のお坊さんが病気平癒のお礼に、人びとの寄付で14年かけ
六街道に1体ずつお地蔵さんを配したとのこと。この眞性寺は中山道沿いの
お寺となる。
 
巣鴨地蔵通り商店街を歩くと、人通りも多く、さすが「おばあちゃんの原宿」
と言われる理由が理解できる。大福、蕎麦、衣類、雑貨等々どれも年配の
女性に受けそうな品揃いだ。
 
皆さんついつい立ち止まり、なかなか先へ進まないため、買い物は参拝を
済ませてからにしましょうと呼びかける羽目となった。
 
とげぬき地蔵尊の境内に隣接する会館では東北地方復興支援仏像彫刻
の展示会が開かれていた。見事な出来栄えで、参拝前に暫し休憩を兼ね、
見学させて頂いた。
 
とげぬき地蔵尊は秘仏であるため、拝観することができない。本堂に入り
参拝を済ませた。お地蔵さんの霊験あらたかで、参拝者が絶えないことも
あろうが、巣鴨商店街とセットで人気となっているようにも思える。
 
境内に立つ「洗い観音」前ではタオルを買った人たちが、並んで順番を
待っていた。自分の悪いところを洗うと、治るとの信仰があるようだ。
「とげをぬく」とか「洗う」とか、身代わりを求める信仰が禅宗のお寺で
なされていることを少し不思議に感じる。
 
巣鴨地蔵通りを先へ進むと、今までの賑わいが消え、急に静かになる。
突き当りに角に猿田彦大神 庚申堂がある。神話に出てくる猿田彦と
中国道教に起源を持つ庚申信仰が一緒になっていることはいかにも
日本的だと感心する。狛犬なら狛猿(?)は愛嬌がある。
 
通りを右折、栄和通りを進み、お岩さんの妙行寺、閻魔さまの善養寺へ
と向かう。お岩通りを歩き、巣鴨五丁目の信号を左折する。都電荒川線
の線路を越えると直ぐ左手に、お岩さんの妙行寺がある。
 
このお寺は四谷怪談のお岩さんのお墓や、赤穂浪士事件、浅野内匠頭
正室の供養塔がある。また境内にはうなぎ供養塔や魚がし供養塔など
どっしり立っているのが目につく。
 
最後に、江戸三閻魔の善養寺。妙行寺の直ぐ隣に並んであった。本堂
でお参りを済ませ、中を覗いていると、急に明るくなり、閻魔さまのお顔
をしっかり拝むことだできた。怖いというより、ユーモラスな感じが漂う。
 
江戸三閻魔は新宿・太宗寺と地元杉並・華徳院の閻魔さまだ。地元の
閻魔さまが最後になってしまった。ぜひ、早い時期に拝観したい。
 
巣鴨見仏会を終了とし、商店街へ戻り、蕎麦屋さんで昼食を取った。
昼食後は、井戸さんの案内で、著名人のお墓が多い染井霊園等を見学
することにした。その前に、かき氷の希望があり、食後のデザートタイム
を取った。皆さん良くお召し上がりになります。(笑)
 
お参りした主なお墓
染井霊園…高村光雲・光太郎・智恵子  、岡倉天心
慈眼寺…芥川龍之介、谷崎潤一郎
本妙寺…遠山の金さん(遠山景元)
 
岡倉天心のお墓が、雑然とし整備されていない事に心が痛みました。
今日、国宝級の仏像を拝観できるのは岡倉天心のお蔭です。
 
 


2013年6月21日金曜日

東京藝大 中嶋莉恵さんの講演会 開催!

講演会の様子
 
【講演会の中でスクリーンに映し出された仏像】
福井県 清雲寺の毘沙門天三尊像についての解説
 
中嶋さん制作の模刻像
清雲寺 吉祥天立像、善膩師童子立像
 
仏像修復についての事例
 
東日本大震災復興支援に藝大で制作の仏像
 
 福井県若狭地方の仏像
(中嶋さんが模刻制作に訪れた地域)
 
今月のBAC定例会には、東京藝大の中嶋莉恵さんをお迎えしての講演会
を開催しました。参加者は27名と大盛況。
 
藝大の展示会見学に訪れ、お話しさせて頂いたことがご縁で今回の講演会
開催となりました。「仏像愛好倶楽部」、「仏像サロン」のメンバーを代表して
お礼を申し上げます。皆さん、講演会に大満足でした。
 
中嶋さんは、現在、東京藝術大学大学院美術研究科 文化財保存学 
保存修復彫刻研究室で教育研究助手をされています。
「せんとくん」制作者としても有名な薮内佐斗司先生の研究室と言えば、
直ぐにピーンと来ます。また、この研究室は岡倉天心の精神を受け継いで
おり、正に文化財保護の原点となっている組織と言えます。
 
最初に自己紹介と合わせ、学生時代以前に制作された作品をご紹介され
ました。いずれもインパクトのある作品であり、見事です。
 
中嶋さんは、もともと興福寺の阿修羅像や、聖林寺の十一面観音像の
ような乾漆つくりが好きだったようです。乾漆の技法に興味を持たれ、仏像
と修復について研究しようとされたそうです。ところが仏像の9割は木彫で
あり、木彫模刻の研究が必要となったとのことでした。木彫9割とは驚きます。
 
模刻研究についての丁寧な解説があり、制作過程を詳しく知ることができ、
仏像についての知識が深まりました。①調査の許可、②調査、③3Dデータ
スキャニング、④木取り、⑤粗彫り、⑥小造りと続きます。
 
また、「割矧ぎ」、「内刳り」、「割首」、「玉眼」、「想定復元」と言う専門用語
まで知り、一つも、二つも賢くなったように感じました。
「割矧ぎ」と「割首」はちょっと、ドキッとします。ドクターが手術のために、
メスを入れることを連想してしまいました。
 
模刻をする意義についてお話しされたことが大変印象的でした。模刻を
通して、先人達の技術を習得し、次の世代へ弾く継ぐための人材育成と
結論づけていました。全く同感です。我々としても、微力ながらご支援して
いきたいと切に願っております。今年のテーマでもあります。
 
仏像修復の事例や東日本大震災復興支援に制作された陸前高田の
「おやこ地蔵」など、素晴らしい仏像の数々。藝大の皆さんの志と卓越
した技量に感服いたします。
 
若狭地方の仏像について触れられた時に、「それぞれの地域の厚い
信仰心によりみんなで守っていることを知っていただければ」と話され
ました。中嶋さんが観音様に見えてきました。
 
仏像は、時代時代における人々の祈りを一身に受け、安らぎを与えて
きたのだろうと思います。これからは今まで以上に仏像の背負った歴史に
思いを馳せながら、拝観して参りたいと強く感じた次第です。
 
今回のご縁を大切にして、更に、ご縁が深まることを願ってやみません。
 
なお、中嶋莉恵さんはNHK・ETV特集「仏像の魂に挑む~東京藝術大学
若者たちの一年~」でご紹介されています。
 
東京藝術大学 大学院美術研究科 文化財保存専攻 保存修復研究室