2018年国宝指定の仏像が発表された。毎年、この時期になると、
「今年の国宝指定はどの仏像だろうか」と楽しみにしている。
2件が国宝指定となる(①)。 1件は京都 蓮華王院・三十三間堂の
千手観音立像(②)。 あと1件は興福寺 南円堂の四天王立像(③)。
①国宝指定を報じる新聞記事
②三十三間堂 千手観音立像 ③興福寺 四天王立像
1.三十三間堂 千手観音立像1001躯が国宝となる
今回、1001躯の千手観音立像が国宝指定されることにより、堂内の
仏像がすべて国宝となった。
本尊 千手観音坐像の1躯、風神・雷神の2体、二十八部衆の28躯、
千手観音立像1001躯 合計4件1035躯が国宝となった。
三十三間堂は、国宝の仏像数で断トツ1位の寺院となる。
千体千手観音立像の修理に45年を要したとのこと。1年間に20数躯
修理をしてもかかる年数とは驚く。
2.興福寺・南円堂 四天王立像4躯が興福寺18件目の国宝になる
興福寺は、国宝の四天王立像がすでに3組所蔵している。東金堂、
北円堂、南円堂の四天王立像が該当する。
新中金堂再興に伴い、四天王像の安置場所変更が今年2月にあった。
南円堂の四天王像(国宝)は新中金堂に祀られ、仮講堂の四天王像
(重文)が南円堂に安置された。
今回、国宝指定された四天王像は仮講堂から南円堂に移された像で
あり、これで四天王像4組が国宝となった。
この四天王像は、南円堂のご本尊・不空羂索観音坐像と同じ、康慶作
であり、本来のお堂に戻ったことになる。
新中金堂の四天王像(2月以前は南円堂安置)は運慶作と見なされ、
東京国立博物館での運慶展にも展示された。北円堂に移るだろうと
想像していただけに、少し意外な感じもする。
興福寺は国宝の件数が18件となり、法隆寺の17件より1件多くなり
日本一の件数を所蔵する寺院となった。(④)
参考までに、21世紀になって国宝指定された仏像は⑤の通り。
④都府県別国宝仏像件数 ⑤2002年以降の国宝指定仏像
*都府県別国宝仏像件数の員数(躯)に一部誤りがあり、訂正した。