10時前に北鎌倉駅に到着。小雨が降る中15名で東慶寺に向かった。
お目当ての水月観音は明日から、奈良国立博物館へご出張されるとの
こと。本日の拝観は幸運と言える。
拝観料200円を受付で支払境内に入る。どことなく優しい雰囲気の
境内は、尼寺であった名残を感じさせる。最初に、「波羅蜜」の扁額が
掛かる本堂を拝観する。内陣正面にはご本尊の釈迦如来坐像が鎮座
されていた。
ご本尊にご挨拶した後、仏像展の展示会場「松岡宝蔵」へ移動する。
階段の踊り場に聖観音菩薩立像がお出迎えしてくれる。金泥塗で
あった像も時の流れの中で有難味を感じさせる色合いとなっていた。
2階の会場に入ると、直ぐに水月観音菩薩半跏像が遊戯坐(ゆげざ)
の姿勢で佇んでいた。やはりこの観音様は秀逸だ。光の加減で眼が
微妙に変化する。下から見上げる角度が良い。水月観音を拝観しつつ、
暫し「遊戯坐」を話題に談笑。
奈良時代の乾漆造・如来像、和辻家から寄贈された如来立像、天秀尼
念持仏であった阿弥陀如来立像、盗難後鋳造された香薬師如来像など
興味の尽きない仏像が8体も拝観できた。
続いて、東慶寺墓苑へ向かい、懐かしい著名人や歴代住職の墓所を
訪ね、合掌。小林秀雄、和辻哲郎、開山の覚山尼、第五世用堂尼、
第二十世天秀尼の墓所はいずれも質素な造りであった。禅宗寺院の
墓所は「ひっそりと静かに眠る」と言う表現がぴったりだ。
境内を出る前に、全員揃って記念撮影。小雨模様のため、梵鐘のある
屋根の下に並び、通りかかりの参拝者にシャッターをお願いした。
東慶寺の墓苑
小林秀雄の墓所 和辻哲郎の墓所
鐘楼を背に記念撮影
昼食は精進料理を頂こうと「鉢の木」北鎌倉店向かう。12時になる前
であり、全員待たずに座ることができた。歓談しながら舌鼓を打った。
精進料理で舌鼓
大きな口を開けた閻魔大王が鎮座されている。この像は大仏師運慶
作との伝えがある。奪衣婆の恐ろしい表情に比べ、この閻魔大王は
「笑い閻魔」と呼ばれるくらい、どことなくユーモラスな雰囲気もある。
入口近くに坐す地蔵菩薩半跏像の表情が良い。さすが、閻魔大王の
本地仏だ。
最後に、建長寺を参拝した。三門を通り、「三解脱門」の意味について
説明した。境内にある柏槙の樹は見事だ。建長寺の歴史を見つめて
きた見事な樹だ。神々しさも感じられる。
本堂の本尊・地蔵菩薩坐像、法堂の釈迦苦行像や千手観音坐像は
存在感のある像だ。ご本尊が地蔵菩薩と言うのも極めて珍しい。
元々処刑場の地に寺院建立となり、地蔵菩薩がご本尊となったようだ。
最後は庭園を眺めながら歓談した。心落ち着くひとときとなった。
本尊・地蔵菩薩坐像 釈迦苦行像と千手観音
法堂天井の雲龍図
また、北鎌倉駅に向かって歩き出す。鎌倉は晴れて良し、雨もまた良し!!