冬のような肌寒い中、六本木のサントリー美術館に14名が集合した。
BACでのサントリー美術館訪問は25年12月以来2度目となる。
「高野山の名宝」展は、高野山が平成27年に開創1200年の節目を
迎えることを記念して開催されている。
「空海研究会」に所属する小生としては、見逃す訳には行かない。
展示会パンフ
展示テーマは3章で構成されている。第1章 大師の生涯と高野山
第2章 高野山の密教諸尊 第3章 多様な信仰と宝物。
4階第1展示室に入ると、最初に目にするのが「弘法大師坐像」。右手に
金剛杵、左手に数珠を持った姿は典型的な弘法大師像。聡明で、意志の
強そうな顔立ちをしている。
強そうな顔立ちをしている。
次に、国宝「聾瞽指帰」。空海が24歳で著した書。空海の恐るべき才能を
感じつつ、文字を追う。「ひらがながある」と渡辺さんの声が聞こえた。この
時代にはまだ、ひらがなは生まれていないはず。きっとその兆しがすでに
空海の書には見えているのかもしれない。
国宝「諸尊仏龕」も近くに展示されている。白檀で造られた像で、見事な
までに精緻に彫られている。ガラスケースのため、香りを嗅ぐことはでき
ない。空海が唐から請来したものとされる。高さが20cm程の小さな像で、
解説文には「枕本尊」とあった。枕本尊とは携帯可能な小型の念持仏の
ことを言うようだ。空海もこの像を前にして祈ったのだろうか。
ことを言うようだ。空海もこの像を前にして祈ったのだろうか。
諸尊仏龕
(絵葉書から)
空海と言えば、いつも金剛杵を持っている。独鈷杵、三鈷杵、五鈷杵
や五鈷鈴の展示も面白い。仏像好きの人の中には密教法具のマニアも
いる。つい、その人のことを思い浮かべた。
第二章の密教諸尊では、運慶作の八大童子が一番の見どころ。
八大童子
(絵葉書から)
全体的にみなふっくらとして穏やかな表情が多いように思う。やんちゃ
坊主のイメージが強い制叱迦童子すら、優しい顔立ちをしている。
南北朝時代14世紀作の像(両端)は明らかに運慶の作風と違う。
高野山に行かずに、一度に見られるとはラッキーとの声も聞こえた。
4階展示室から3階に移動すると、いきなり快慶作の孔雀明王坐像が
堂々と鎮座。快慶らしい凛々しい顔立ちと孔雀の大きさに目を奪われる。
孔雀に乗り、孔雀の羽を持ち、孔雀の羽を光背にし、孔雀づくしの像。
孔雀は害虫や毒蛇を食べることから「人々の災厄や苦痛を取り除く功徳」
があるとされ、信仰されてきたようだ。
孔雀明王は明王の中で唯一優しい顔立ちであり、女性の尊格とも言われ
ている。
孔雀明王坐像
(パンフレットから)
第3章 多様な信仰と宝物で一番印象に残ったのは、快慶作の四天王像。
朝比奈さん曰く「東大寺戒壇堂の四天王は〝静″ですが、こちらは〝動″
ですね」。展示の中で、この四天王像は特に気に入った像だ。
四天王に踏みつけられる邪鬼の表情も面白い。それぞれ4通りの表情を
しており、四天王の顔と邪鬼の顔を見比べながらの観覧も楽しい。
四天王立像
(パンフレットから)
他にも沢山の見どころがあり、日を改めてもう一度じっくり観覧したい。
観覧後、8名が同じビル内のレストランで昼食を取りながら歓談した。
☆予告:11月の定例会では原山さん所有の「善光寺DVD」を視聴。