2018年4月24日火曜日

三重県伊勢市 金剛證寺の卒塔婆(そとば)群に圧倒される!


4月15日(日)、嘗て同じ職場に勤務した9名が近鉄宇治山田駅に
集合した。後期高齢の75歳を筆頭に、一番の若手も老齢人口に
参入された66歳。

熊本、岡山、徳島、兵庫2名、大阪、神奈川、東京、埼玉から集う
男性ばかりの面々。年1回、集合場所を変えて旧交を温めている。
20数年間も続いており、今や年中行事となっている。

今年は伊勢神宮と金剛證寺の参詣が計画された。幹事役のHさん
は小生へのご配慮で、訪問先には必ず古刹・名刹が入れてある。

今回の旅日記は伊勢神宮ではなく、夥しい数の卒塔婆に驚嘆した
金剛證寺についてご紹介したい。

伊勢志摩の最高峰「朝熊山(あさまやま)」は標高、550mを越える。
その中腹にあり、伊勢神宮の鬼門を守る名刹・金剛證寺が建つ。
(①、②の地図参照)
①伊勢神宮内宮・外宮と金剛證   ②金剛證寺本堂境内と奥之院
 
最初に、奥之院、次に本堂へ向かうこととした。ジャンボタクシーで
奥之院極楽門に到着する。(③) 極楽門のそばには、「卒塔婆建立
番地案内図」の掲示板が設置されている。(④)
③金剛證寺奥之院・極楽門    ④奥之院 卒塔婆建立番地案内図
 
奥之院へ向かう参道の両脇にはびっしりと隙間なく卒塔婆群が林立
している。伏見稲荷の千本鳥居を思い起こさせるような光景で、壮観。 
⑤⑥奥之院への参道両脇に建立された卒塔婆群
 
奥之院の門をくぐり、中に入ると。(⑦、⑧) 
⑦奥之院への門          ⑧奥之院 境内
 
志納金が記された卒塔婆(⑨)と「卒塔婆の供養林」についての
解説板(⑩)が目に入って来る。一番大きな卒塔婆は50万円、
一番小さなものは3万円と書かれている。志納金の額をどのよう
に考えるかは各人各様。
 
卒塔婆をなぜ立てるかは、山の中に死者の霊が集まる他界(たかい)
があると言う「山中他界観」に基づいているようだ。(⑩)
 
卒塔婆はインドの「ストゥーパ」が中国経由で伝わってきたもの。音写
され、卒塔婆の字が当てられた。ストゥーパはもともと釈迦の遺骨を
納めた塚。それが仏舎利を納める塔になり、卒塔婆にもなった。
⑨志納金が記された卒塔婆  ⑩卒塔婆供養林の解説板
 
次に、本堂の仁王門まで、ジャンボタクシーで移動。仁王門に登る
階段脇に金剛證寺の縁起が掲げられていた。(⑪)
 
寺伝では草創が欽明天皇の頃とされている。欽明天皇と言えば、仏教
伝来時の天皇であり、金剛證寺がいかに歴史のある寺かを物語る。
 
弘法大師が中興し、真言宗のお寺となり、現在は臨済宗南禅寺派と
なっている。ご本尊は虚空蔵菩薩であり、真言宗寺院の色合いが
濃いように思える。
⑪本堂仁王門前に建つ金剛證寺縁起の解説板
 
階段を上がると、堂々とした仁王門が迫って来る。阿形、吽形が睨みを
効かしている。(⑫~⑮) 仁王像の造形も迫力がある。
 
⑫仁王門への階段        ⑬仁王門と仁王像
 
⑭吽形               ⑮阿形
 
境内には、弘法大師像や仏足跡も見られる。(⑯、⑰)
⑯境内に祀られた弘法大師像   ⑰釈迦の足跡を示す仏足跡
 
朱塗りの本堂は国の重要文化財に指定されている。(⑱)
この本堂は、1609年、姫路城主の池田輝政が再建し、1701年
徳川綱吉の母・桂昌院が修理したとのこと。由緒あるお堂と言える
 
開山堂に祀られている3人は、お堂前に立つ案内板に記されている。
「草創・暁台上人  開山・弘法大師  中興開山・佛地禅師」とある。 
⑱摩尼殿と書かれた本堂      ⑲3人を祀る開山堂
 
宿泊したホテル前で記念撮影した
⑳参加者の面々
 
今年も四方山話に花を咲かせた。来年もまた元気に再会したい。(合掌)
 

2018年4月8日日曜日

4月8日は花まつり・灌仏会


今日はお釈迦さまの誕生日。「花まつり」「灌仏会(かんぶつえ)」、
「仏生会(ぶっしょうえ)」など、いくつもの呼び名がある。目黒区に
ある天台宗の寺院、大円寺を午後、訪れた。
ご本尊が有名な、重要文化財の清凉寺式釈迦如来立像。

日頃は秘仏のご本尊が、ご開帳されるとあって訪れてみた。花まつり
の様子も見たいと思った。
花まつりの幟が見える          大円寺の山門

境内には、参拝者が10人前後とまばら。想像していたより少ない。
クリスマスの賑わいに比べ地味な印象だ。もっと大切な日として良い。

甘茶ご接待処が設営されていた。
立て看板には 「四月八日 お釈迦様 御誕生の日」
           「灌仏会 花まつり」
           「清凉寺式 国重要文化財 生身釈迦如来 ご開帳」
          と記されている。

先ずは、誕生釈迦仏に甘茶を灌(そそ)いでから、ご本尊を礼拝。
その後、ご接待処で甘茶を頂いた。大変甘い!
甘茶ご接待処          ご開帳のご本尊

ご本尊・釈迦如来立像

大円寺の清凉寺式釈迦如来立像は、鎌倉・杉本寺に伝来した像と
言われている。更に遡れば、今は存在しない、鎌倉・新清凉寺の
ご本尊であったようだ。

丸々とした顔や太い身体から慶派仏師によって製作された可能性
が高い。

近くの寺院では鎌倉の極楽寺や、横浜(金沢文庫)の称名寺も
清凉寺式釈迦如来像を所蔵している。
大円寺像はその3体の中でも、一番男性的で逞しく見える。

お釈迦様の誕生日であり、お釈迦様にまつわる話をご紹介させて
頂く。お釈迦様の言葉には人の生き方や人生を変える力がある。

先日、NHK Eテレ「こころの時代~宗教と人生~」を視聴した。
「隠れ病む人々と歩む」と言うテーマで福井県小浜市の明通寺
(みょうつうじ)ご住職 中嶌哲演(なかじま てつえん)さんの
生き方や活動がご紹介された。

中嶌さんの人生を変えた「ブッダのことば」とは・・・・・

『ブッダの真理のことば 感興のことば』(中村 元 訳)
  どの方向に心がさがし求めてみても
  自分よりもさらに愛(いと)しいものを
  どこにも見出さなかった

  そのように 他人にとっても
  それぞれの自己がいとしいのである

  それ故に
  自分のために
  他人を害してはならない

  すべての者は
  暴力におびえている

  すべての生きものとって
  生命が愛しい

  己(おの)が身にひきくらべ
  殺してはならぬ
  殺さしめてはならぬ

命を大切にする生き方、平和を愛する生き方、
多様性を認める生き方こそブッダのことばに
込められたメッセージと理解した。
「自利利他円満」の生き方を心がけたい。

なお、明通寺は真言宗御室派の古刹、東京国立博物館で
開催された「仁和寺と御室派のみほとけ」展に、2躯が出陳
された。降三世明王立像、深沙大将立像の巨像2躯。
また、このお寺は本堂や三重塔が国宝建造物となっている。

明通寺は、ご住職、仏像、お堂と魅力満載のお寺と言える。
ぜひ、一度は訪れてみたい。