BAC2月定例会は仏師・増山白舟先生の講演会を開催。
参加者34名と会場一杯の大盛況。皆さん大満足の講演会でした。
優しい語り口でのお話に、熱心に耳を傾ける皆さん
教室のお弟子さんもご参加 寄木造りを図解される先生
講演会は質疑応答を含め1時間半、大変中身の濃い内容となりました。
最初に「仏教伝来」についての質問が先生から参加者へ投げかけられた。
「何を以て仏教伝来と言うのでしょうか」
百済の聖明王から欽明天皇に仏像と経典が贈られたことを以て、仏教
伝来と言うことが一般的であるとのこと。八百万の神様の当時、金銅仏
を目の前にして、大ショックだったと想像できる。
増山先生は仏師であり、同時に得度され僧侶にもなられていらっしゃる。
従って、仏教そのものもお詳しい。仏教伝来からお話しして頂いたお蔭で
仏像の持つ意味を考え直す良い機会となったように思う。
飛鳥時代に中国北方から磨崖仏のような金銅仏と、南方から木彫仏が
百済を経由して日本にやって来た。前者が飛鳥大仏や法隆寺金堂の
釈迦三尊像であり、後者が法隆寺の救世観音や百済観音とのこと。
飛鳥時代にすでに木彫の仏像があったことは興味津々であり、仏師と言う
職業柄、素材は何でできているのか、大変関心が高いとのこと。ここで、
再度先生から質問が投げかけられました。「その当時の仏像の素材って
何だと思います?」
正解は樟(くすのき)で彫られているそうだ。素材が何かと言うことは、大変
重要なことであり、素材の持つ特性を上手く活用して、仏像を彫られている
ことが良く理解できた。
飛鳥時代の樟、乾漆造全盛の奈良時代には榧(かや)、平安時代の檜、
そして技法面で一木造り、寄木造りと、時代を追っての解説は、大変明快
で、皆さんよく理解されたことと思う。
定朝の「髪際高」と5等分、運慶の「白毫高」と6等分についても新しい知識
がまた一つ増えた。また、先生の教室では白毫高で10等分を基準にされ
ているとのことだ。初心者にとって、基準が明確であれば、見習うことも容易
であろうと想像がつく。
一木造りと、寄木造りでは素材に対峙する時の精神構造が違うと言うお話
は、大変興味深く拝聴しました。一木造りの場合は木の中に仏が見えて、
余分のものを取り除いて行く感覚とのことだ。
「仏師と彫刻家の違い」、「どんな仏像も信心する人にっては仏さまである
とのお話」も今後のBAC活動にとって大変参考となった。
講演会の最後には沢山の質問が出て、先生から一つ一つ丁寧にご回答
頂いた。
本日ご参加の中村建治さんは長年、増山先生主宰の「微笑庵」で研鑽を
積まれている。
中村さん曰く・・・
「見えないところまできっちり彫り、手抜きをしない」ように教えられています。
「先生の作品には光背まで一木造りのものもあります。前からだけでなく、
横からもご覧ください。」
1994年にスタートした「微笑庵・作品展」も今年11月に第14回目が開催
されるとのこと。ぜひ、BAC挙って観覧しましょう。