京都・奈良旅行の最終日(5月12日)は、東寺、仁和寺、渉成園枳殻邸
(しょうせいえんきこくてい)を巡った。最初に向かった先は空海さんの東寺。
目的の一つが、五重塔の内部を拝観すること。
バスに乗り、北大門の前で下車。大勢の高校生が歩いている。修学旅行生
かと思いきや、東寺のそばに高校があり、通学する高校生だった。歴史的な
場所に隣接する高校は刺激的だ。
北大門に向かって歩くと、手前左手に観智院がある。以前拝観したことがある。
鳥獣座に乗った五大虚空蔵菩薩が記憶に残る。宮本武蔵が描いた襖絵もある。
時間割りの関係で、今回は残念ながらパス。
1.東寺
①五重塔
最初に向かった先は、期間限定でご開帳となっている五重塔内部。案内板に
五重塔の如来像についての解説と配置図が書かれている。
(案内板を見易くするため、上下2つに分けて、ブログにアップ)
東面が入口、南面が出口になっている。講堂 立体曼荼羅の五智如来と同じ
金剛界の如来像。心柱が大日如来と見なされている。如来の識別は印相で
しかできない。
壁には真言八祖像が描かれている。心柱の大日如来を両側から囲むような
順番で描かれている。第一祖の龍猛から順に龍智、金剛智、不空、反対側に
回り、善無畏、一行、恵果、そして最後に弘法大師空海となっている。
北大門 五重塔
五重塔の如来像解説 五重塔内の配置図
南面 宝生如来
②金堂
今回注目したのは、十二神将像。薬師如来には、日光、月光の両脇侍像と
眷属の十二神将が付き従っている。十二神将が薬師如来台座の周りを
ぐるりと囲む。台座を支えているようにも見える。
現在の薬師三尊像、十二神将像は、堂宇と共に1603年、豊臣秀頼の
寄進によって再興された。小さく見える十二神将も像高が1メートルある。
寄木造り、玉眼が嵌入されている。彩色も残っている。
金堂は、講堂立体曼荼羅の陰に隠れてあまり目立たないようにも思われる。
しかし、大変興味深い堂宇と諸尊像だ。
金堂 薬師三尊像
卯神像 酉神像
講堂の立体曼荼羅はいつもながら壮観。境内をぐるりと散策した後、
京都駅に戻り、次の仁和寺へ向かう。
2.仁和寺
宇多天皇は東寺で出家受戒し、仁和寺に入寺した。そして、ここを
「御室御所」と称した。その後、仁和寺は退位した天皇が入寺し、
門跡寺院の起源になった。
宇多天皇は密教に通じ、かつ実践された天皇。また、藤原氏に対抗
するために、菅原道真を重用したことでも有名。仁和寺は、現在
真言宗御室派の総本山。
最初に眼にするのは、威風堂々の山門。「二王門」と表記され、解説文が
あった。1637年から1644年にかけて建立されたとある。
徳川三代将軍家光の寄進によって建立された。またこの二王門は京都
三大門の一つとして、知恩院や南禅寺の三門(山門)と並び称される。
仁王門 仁王門解説
吽形 阿形
庭園が整備作業中とかの理由で、無料開放となっていた。何とラッキー
なことかと喜ぶ。御殿入口から入り、白書院で南庭を眺め、更に進み、
宸殿から北庭を暫く眺めていた。庭園の先に五重塔が見える景色が
何とも言えない。
仁和寺庭園は京都市指定名勝となっている。解説板に「宸殿の庭園と
重要文化財の飛濤亭、遼郭亭の露地から構成されている」とある。
露地(ろじ)とは茶庭ともいい茶室に付随する庭園の通称のこと。つまり、
宸殿の庭園と茶室の茶庭が一体となっていると言うこと。
仁和寺の庭園を前にして、廊下に座り込み、静かな時間を過ごす。
至福の時となる。
庭園 庭園解説
宸殿の部屋に宇多法皇の図像を眼にし、記念に1枚写真を撮らせて
頂いた。
御殿を出るときに、扁額の解説を受け、写真を撮るよう勧められた。
「華蔵界会」(けぞうかいえ)と読む。「華蔵界」とは「蓮華蔵世界」
のこと。蓮華蔵世界で会うとのことらしい。何やら奥深い意味が
ありそうだ。また、訪れたい。
宇多法皇像 「華蔵界会」の扁額
3.渉成園 枳殻邸 (しょうせいえん きこくてい)
最後に、東本願寺の飛地境内地、渉成園を訪れた。
「渉成園十三景と諸建築」として見事な景観や特徴ある建物を楽しめる。
また「四季のうつろい」として、季節の花も鑑賞できる。
渉成園入口 園内マップ
印月池(いんげつち) 傍花閣(ぼうかかく)
回棹廊(かいとうろう) 朴木(ほうのき)
朴木(ほおのき)の白く大きな花を眺めることができた。朴木の葉は
自生する樹木の中で国内最大級(25~30㎝)。朴葉寿司、朴葉味噌
などに使われる。朴木の花を愛でて、京都旅行を終えた。