11月22日(金)午前中に大善寺、仁勝寺、青松院を訪れ、
午後の最初は甲斐善光寺を参詣。
4.甲斐善光寺(かいぜんこうじ)<浄土宗(甲府市善光寺)>
甲斐善光寺の開基は武田信玄。川中島の合戦の折、信濃
善光寺の焼失を恐れ、永禄元年(1558)ご本尊の
善光寺如来像などを移したことが始まりとなる。
その後、武田氏滅亡により、ご本尊は織田・徳川・豊臣氏
を転々とし、慶長三年(1598)信濃に戻られた。
甲府では新たに前立仏をご本尊と定め、現在に至っている
とのこと(❶)。信濃善光寺と甲斐善光寺との関係が良く
分かる。
甲斐善光寺の境内の伽藍配置は❷の通り。金堂と山門が
国の重要文化財に指定されている。
❶善光寺の歴史 ❷善光寺境内略図
参道を進むと、金堂の手前に大きな香炉がある(❸)。
参拝客を遮るように設置してある。身を清めてから
金堂へ参れと言う事だろう。
金堂は、信濃善光寺と同様に撞木造(しゅもくづくり)
という建築様式になっている。撞木とは、鐘などを
打ち鳴らす丁字形の棒のこと。
二棟が直角に接続されT字型になった建築を撞木造と
言う。外観からT字の形を確認できなかった。
❸金堂の手前に香炉堂 ❹撞木造の金堂
金堂に上がると、内陣に案内された。参拝を済ませた後、
天井に描かれた泣き龍の真下に立ち、手を打つ。反響音
が聞こえる。
続いて、戒壇巡りに向う。壁を頼りに、進む。「心」の
字を象ってあるそうだ。残念ながら、良く分からない。
❺金堂内陣
甲斐善光寺は、重要文化財の阿弥陀三尊像を三組所蔵
している(❻)。銅造阿弥陀三尊像のご本尊は、丑年
と未年にだけご開帳となり、今回は拝観できない。
❻一番右の木造阿弥陀三尊像は、収蔵庫に保管されて
おり、非公開。拝観できるのは宝物館に展示されている
中央の阿弥陀三尊像だけ。
宝物館は金堂を出て、右手にある。お目当ての三尊像
を拝観する。中尊の阿弥陀如来は口を開いた「歯吹き
(はふき)」のように見えた。
三尊像は、経年による劣化が進んでいるような印象を
持った。東京国立博物館で、修復された仏像を拝観した
ばかりであり、猶更感じたのかもしれない。
源頼朝像、実朝像は、それぞれの彫像として日本最古の
像とのことであり、楽しみにしていた。実朝像は修理の
ために不在となっていた。頼朝像の損傷も気になった。
文化財保存の難しさを感じさせた宝物館だった。
❻重文・阿弥陀三尊像三組 ❼木造源頼朝座像・実朝坐像
境内には、露座の大仏(❽)や地蔵菩薩(❾)が鎮座
されている。銅造や石造の仏像が逞しく感じた。
❽露座の大仏 ❾地蔵堂と地蔵菩薩
(続く)