2013年7月25日木曜日

柴又帝釈天 法華経説話彫刻に感銘!!



柴又駅から参道へ入る
 
参道から二天門が見える 
 
見事な彫刻が施された二天門
 
 
帝釈堂 法華経説話彫刻
(①塔供養の図)
 
 (④法師修行の図) 

(⑦竜女成仏の図)
 
彫刻ギャラリーを観覧する
 
庭園へつながる廊下
 
樹齢1500年・大南天の床柱と十界曼荼羅
 
庭園を囲む廊下を歩く
 
帝釈堂の前で記念撮影
 
山本亭の庭園を眺める
 
寅さん記念館の内部
 
 
山田洋次ミュージアム
 
10時柴又駅集合。都内とは言え、西から東へと約1時間、電車を
乗り継ぎ、ようやく到着する。天気は曇り空ながら、雨も降らず、
暑くもない。また、人混みもなく、ゆっくり、じっくり拝観できそうだ。
 
参道を歩くと、正面に立派な山門が見える。この門が二天門であり、
四天王のうち、増長天と広目天がおられるそうだ。残念ながら、厨子
の中におられ、外からは良く確認できない。しかしながら、二天門に
施された彫刻の素晴らしさに驚いた。
 
帝釈堂で参拝を済ませ、その後、廊下伝いに歩き、彫刻ギャラリー
と大庭園を拝観。本日のメイン目的は、何と言っても法華経説話彫刻
の観覧。
 
帝釈堂内陣の外側に、十枚の彫刻が並んで三方の壁伝いに掲示
されている。この彫刻は、欅の彫刻材を全国に求め大正末期から
昭和九年に至る十数年の歳月を費やし、完成となった。
 
十人の彫刻師による作品はいずれも、素晴らしい。彫刻の下に掲示
された説話の解説を読みながら彫刻の細部についてもじっくり眺めた。
また、お互いの感想を交え、楽しく歓談をした。一見の価値があるもの
ばかりです。ぜひご覧なられることをお勧めします。
 
ブログに掲載した彫刻は以下の通り。
①塔供養の図…「仏が眉間白毫の光を放たれたのは真実の世界を
私共に知らせてくれる前ぶれに違いない」と言う場面。しっかり修行
しましょうと言うことのようだ。
 
④法師修行の図…「法華経を思念するものがあれば、普賢菩薩が
六牙の白象に乗って、その人の前に現れる」場面。普賢菩薩が
法華経修行をサポートしてくれる場面のことか。
 
⑦竜女成仏の図…仏教では、はじめ「女性は成仏できない」と
説いていたが、法華経で、はじめて、女性も成仏できると説いた。
そのことにつながる場面を描いた図とのこと。
 
これだけのものを400円で観覧できるとは安い。もっと出しても
ぜひ、見たいとの感想を言われる方もいました。文化財としての
価値も非常に高いのではないかと思う。
 
三十三観音の基になっているのも、法華経とのこと。宮澤賢治も
法華経の影響を受けて、「雨ニモマケズ」を書いた。法華経とは
どんな経典なのか一度、読んでみる価値がありそうだ。
 
説話彫刻の後は、渡り廊下を通り、大庭園へ移動。庭園には降り
られず、周りに廻らされた廊下伝いに庭園を眺めるようになって
いる。休憩所では無料のお茶サービスもあり、これまた嬉しい。
 
畳敷きの大きな部屋の中には樹齢1500年大南天の床柱があった。
まるで立木のまま床柱になったかのようにも見える。床の間には、
日蓮宗らしく十界曼荼羅が掛かっていた。庭園も十分楽しみ、次の
訪問先へ。
 
地元ゆかりの実業家居宅「山本亭」は、入館料100円で、暫し休憩
するのに格好の部屋が並んであった。受付の人も席を外しており、
退館する際に呼び出して支払ってきた。何と大らかな管理だ。
 
最後は、寅さん記念館と山田洋次ミュージアム。寅さん映画の第1回
上映が、大学に入学した年。面白可笑しく、笑い転げ、それ以来何本
も見ることとなった。第1作のマドンナ役は、今年お亡くなりになった
光本幸子さん。ご冥福を祈る。
 
昼食は、第1回から3回の撮影に使われた「とらや」。注文したのは、
8名中6名がお勧めの天丼。お店の方との会話も楽しいひと時と
なった。
 
法華経説話彫刻をしっかり写真に収めてきた。次回定例会でご紹介
予定。



2013年7月19日金曜日

相良さん「神さま仏さまとのくらし」(能登でのくらし)をご披露

定例会の様子
 
お酒を入れて注ぐ容器
 
菩提寺の和尚さんから頂戴した達磨大師の絵
 
ご生家の神棚
 
金と漆で荘厳された ご生家の仏壇
 
7月の定例会は見学者1名を加え、23名の方々がご参集されました。
猛暑が続く中、皆さんよくご参加されました。幹事としては嬉しい限りです。
 
最初に、先月の巣鴨エリアでの諸寺参拝並びに墓所めぐりを写真を見なが
ら振り返りました。お寺も、商店街も、お墓(著名人が多い)も良かったとの
声が参加者の皆さんから聞かれました。
 
次に、本日のメインイベント、相良さんのご体験談「神さま仏さまとのくらし」
をご披露して頂きました。
 
昭和20年代~40年代に育った故郷・能登での生活が、いかに神仏との
かかわりの中で展開して行ったかをお話しされました。レジュメ、写真、
ご持参された思い出の品を示され、大変分かりやすい話し方、内容に
皆さん感心されていました。
 
朝は、読経で始まり、家族それぞれの役割があります。まだ子供の
相良さんも、井戸の一番水で仏壇のお水を変えることが役割。神棚、
仏壇を皆でお参りしてから朝食となったそうです。信心深いことは、
清々しいことにも通じると感じました。
 
神さま、仏さまとのかかわりは、新年を迎える当たって、家族総がかり
での準備から始まります。神さまには、しめ縄作り。仏さまには仏壇の
大掃除。家族総がかりも凄いが、神棚、仏壇も凄い!!
 
菩提寺の年中行事をご覧になりながら、子供の頃の思い出と照らし
合わせて、「だんごまき」は「涅槃会」のことだと今になって分かりました
と感慨深く話されていました。
 
相良さんの体験談から古き良き時代、日本の原風景をイメージされた
方が大勢いたのではないでしょうか。今もその風景が残っていることが
更に、素晴らしい。
 
神仏を身近に感じながら暮らす地方の方々に比べ、都会で暮らす我々
はどうしても縁遠くなってしまいます。相良さんのお話をお聴きし、お墓
参り、先祖供養の意味を考え直す良い機会になったのではないでしょう
か。また、自分のお墓はどうされますかとの問題提起も頂きました。
 
学習会では「天平のいぶき 奈良時代の仏像たち」を取り上げました。
天平は仏像の黄金期です。塑像では法隆寺五重塔の塔本四面具、
銅造では薬師寺の薬師三尊や聖観音が挙げられます。
 
ただし、薬師寺像については二説あり、制作時期が平城京遷都前か後
かによって白鳳期、天平期にそれぞれ分類されます。最近では遷都後
の作との考えが強く、天平期とされるようです。
(藤原京にあったお寺が、平城京遷都後、現在の地に移転された)
 
次回は、天平期・第2回、脱活乾漆造の代表作 興福寺阿修羅像から
始めます。(P90~)
 
最後に、7月の見仏会「柴又帝釈天」について、井戸さんから見どころを
解説して頂きました。
 
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ゆうゆう西荻北館の入り口には毎月、可愛いお人形が飾られています。
来館者の目を和ませてくれるお人形です。仏さまと同じです!!
山口さん、いつもありがとうございます。
 
 
ゆうゆう西荻北館入口に飾られたキティちゃん
(山口さんの制作)


 
 
 

2013年7月2日火曜日

ゆうゆう荻窪東館 「サロン祭り」に増山白舟先生の仏像彫刻を展示!

仏像彫刻道場 微笑庵 増山白舟 先生 作品
            展示仏像8体           童地蔵

童形大黒(左) 童形恵比寿(右)


          (制作過程を示す像)    (サロン祭りチラシ)


      (投票用紙)     投票前に美仏7名のプロフィールを解説
 
6月29日(土)ゆうゆう荻窪東館にて第6回サロン祭りが開催されました。
会場に阿佐ヶ谷・微笑庵(みしょうあん)増山白舟先生の仏像彫刻を展示。
仏像展示のため、先生がわざわざ会場に来られました。想定していない
ことであり、大変恐縮いたしました。
 
展示彫刻は童形大黒、童形恵比寿、童地蔵3体、幸福地蔵3体の計8体。
また、彫刻がどのような過程を経て完成されるかを示す像も展示され、
皆さん興味深く、観覧されていました。
 
サロン祭りにご参加の皆さんが選ぶ人気ナンバー1の仏像は何でしょうか
と言う投票を実施しました。(下記ノミネート仏像から選ぶ)
圧倒的大多数で興福寺・阿修羅立像がナンバー1に選ばれました。
 
奈良・中宮寺の菩薩半跏像や京都・東寺の帝釈天像にもっと票が入ると
予想していましたが、阿修羅人気には全く対抗できませんでした。
 
なお、ノミネートされた仏像は
A.清凉寺(京都)・阿弥陀如来坐像  B.中宮寺(奈良)・菩薩半跏像
C.願成就院(静岡)・不動明王     D.東大寺(奈良)・広目天立像
E.興福寺(奈良)・阿修羅立像     F.東寺(京都)・帝釈天騎象像
G.秋篠寺(奈良)・伎芸天立像
 
2009年、東博での阿修羅展では、一日の入場者数が世界新記録を達成
されたとのことであり、阿修羅は別格だと強く感じた次第です。
 
別の機会に同じ仏像で、また投票を実施してみたい。
 
サロン祭りはゆうゆう館実施サロンにご参加の方や一般利用団体の方が
活動紹介のパフォーマンスをされました。会場が大いに盛り上がりました。
最後に、ビンゴゲームも行われ、盛会裏に終了いたしました。
 
今回、司会進行を担当させて頂き、無事終了し、ほっとしています。
これもご参加の皆さんのご協力があってのことです。厚くお礼申し上げます。
 
 

2013年6月27日木曜日

6月の見仏エリアは「巣鴨」

江戸六地蔵の一つ 眞性寺
 
巣鴨地蔵通り商店街を歩く
 
とげぬき地蔵尊に隣接する会館での展示会
 
とげぬき地蔵尊 高岩寺の「洗い観音」
 
高岩寺で記念撮影
 
〇印が今回の参拝寺院等
 
猿田彦大神 庚申塚
 
妙行寺 お岩さんのお墓
 
江戸三閻魔の善養寺 閻魔さま
 
昼食後の甘味処
 
染井霊園 高村光雲・光太郎・智恵子の墓
 
芥川龍之介の墓
 
昨日までとは打って変わり、汗ばむ陽気となる。巣鴨駅改札口に14名が
集合。今月はご年配に人気の巣鴨を散策。JR巣鴨駅北口を出て、白山
通りを右手に進むと、直ぐに江戸六地蔵の眞性寺(しんしょうじ)が見える。
 
境内の奥に大きなお地蔵さんが鎮座されている。右手に錫杖、左手に宝珠
を持ち、頭には笠を載せている。首には赤い布を巻いていた。丈六の坐像
でありなかなかの存在感がある。
 
江戸時代中期のお坊さんが病気平癒のお礼に、人びとの寄付で14年かけ
六街道に1体ずつお地蔵さんを配したとのこと。この眞性寺は中山道沿いの
お寺となる。
 
巣鴨地蔵通り商店街を歩くと、人通りも多く、さすが「おばあちゃんの原宿」
と言われる理由が理解できる。大福、蕎麦、衣類、雑貨等々どれも年配の
女性に受けそうな品揃いだ。
 
皆さんついつい立ち止まり、なかなか先へ進まないため、買い物は参拝を
済ませてからにしましょうと呼びかける羽目となった。
 
とげぬき地蔵尊の境内に隣接する会館では東北地方復興支援仏像彫刻
の展示会が開かれていた。見事な出来栄えで、参拝前に暫し休憩を兼ね、
見学させて頂いた。
 
とげぬき地蔵尊は秘仏であるため、拝観することができない。本堂に入り
参拝を済ませた。お地蔵さんの霊験あらたかで、参拝者が絶えないことも
あろうが、巣鴨商店街とセットで人気となっているようにも思える。
 
境内に立つ「洗い観音」前ではタオルを買った人たちが、並んで順番を
待っていた。自分の悪いところを洗うと、治るとの信仰があるようだ。
「とげをぬく」とか「洗う」とか、身代わりを求める信仰が禅宗のお寺で
なされていることを少し不思議に感じる。
 
巣鴨地蔵通りを先へ進むと、今までの賑わいが消え、急に静かになる。
突き当りに角に猿田彦大神 庚申堂がある。神話に出てくる猿田彦と
中国道教に起源を持つ庚申信仰が一緒になっていることはいかにも
日本的だと感心する。狛犬なら狛猿(?)は愛嬌がある。
 
通りを右折、栄和通りを進み、お岩さんの妙行寺、閻魔さまの善養寺へ
と向かう。お岩通りを歩き、巣鴨五丁目の信号を左折する。都電荒川線
の線路を越えると直ぐ左手に、お岩さんの妙行寺がある。
 
このお寺は四谷怪談のお岩さんのお墓や、赤穂浪士事件、浅野内匠頭
正室の供養塔がある。また境内にはうなぎ供養塔や魚がし供養塔など
どっしり立っているのが目につく。
 
最後に、江戸三閻魔の善養寺。妙行寺の直ぐ隣に並んであった。本堂
でお参りを済ませ、中を覗いていると、急に明るくなり、閻魔さまのお顔
をしっかり拝むことだできた。怖いというより、ユーモラスな感じが漂う。
 
江戸三閻魔は新宿・太宗寺と地元杉並・華徳院の閻魔さまだ。地元の
閻魔さまが最後になってしまった。ぜひ、早い時期に拝観したい。
 
巣鴨見仏会を終了とし、商店街へ戻り、蕎麦屋さんで昼食を取った。
昼食後は、井戸さんの案内で、著名人のお墓が多い染井霊園等を見学
することにした。その前に、かき氷の希望があり、食後のデザートタイム
を取った。皆さん良くお召し上がりになります。(笑)
 
お参りした主なお墓
染井霊園…高村光雲・光太郎・智恵子  、岡倉天心
慈眼寺…芥川龍之介、谷崎潤一郎
本妙寺…遠山の金さん(遠山景元)
 
岡倉天心のお墓が、雑然とし整備されていない事に心が痛みました。
今日、国宝級の仏像を拝観できるのは岡倉天心のお蔭です。
 
 


2013年6月21日金曜日

東京藝大 中嶋莉恵さんの講演会 開催!

講演会の様子
 
【講演会の中でスクリーンに映し出された仏像】
福井県 清雲寺の毘沙門天三尊像についての解説
 
中嶋さん制作の模刻像
清雲寺 吉祥天立像、善膩師童子立像
 
仏像修復についての事例
 
東日本大震災復興支援に藝大で制作の仏像
 
 福井県若狭地方の仏像
(中嶋さんが模刻制作に訪れた地域)
 
今月のBAC定例会には、東京藝大の中嶋莉恵さんをお迎えしての講演会
を開催しました。参加者は27名と大盛況。
 
藝大の展示会見学に訪れ、お話しさせて頂いたことがご縁で今回の講演会
開催となりました。「仏像愛好倶楽部」、「仏像サロン」のメンバーを代表して
お礼を申し上げます。皆さん、講演会に大満足でした。
 
中嶋さんは、現在、東京藝術大学大学院美術研究科 文化財保存学 
保存修復彫刻研究室で教育研究助手をされています。
「せんとくん」制作者としても有名な薮内佐斗司先生の研究室と言えば、
直ぐにピーンと来ます。また、この研究室は岡倉天心の精神を受け継いで
おり、正に文化財保護の原点となっている組織と言えます。
 
最初に自己紹介と合わせ、学生時代以前に制作された作品をご紹介され
ました。いずれもインパクトのある作品であり、見事です。
 
中嶋さんは、もともと興福寺の阿修羅像や、聖林寺の十一面観音像の
ような乾漆つくりが好きだったようです。乾漆の技法に興味を持たれ、仏像
と修復について研究しようとされたそうです。ところが仏像の9割は木彫で
あり、木彫模刻の研究が必要となったとのことでした。木彫9割とは驚きます。
 
模刻研究についての丁寧な解説があり、制作過程を詳しく知ることができ、
仏像についての知識が深まりました。①調査の許可、②調査、③3Dデータ
スキャニング、④木取り、⑤粗彫り、⑥小造りと続きます。
 
また、「割矧ぎ」、「内刳り」、「割首」、「玉眼」、「想定復元」と言う専門用語
まで知り、一つも、二つも賢くなったように感じました。
「割矧ぎ」と「割首」はちょっと、ドキッとします。ドクターが手術のために、
メスを入れることを連想してしまいました。
 
模刻をする意義についてお話しされたことが大変印象的でした。模刻を
通して、先人達の技術を習得し、次の世代へ弾く継ぐための人材育成と
結論づけていました。全く同感です。我々としても、微力ながらご支援して
いきたいと切に願っております。今年のテーマでもあります。
 
仏像修復の事例や東日本大震災復興支援に制作された陸前高田の
「おやこ地蔵」など、素晴らしい仏像の数々。藝大の皆さんの志と卓越
した技量に感服いたします。
 
若狭地方の仏像について触れられた時に、「それぞれの地域の厚い
信仰心によりみんなで守っていることを知っていただければ」と話され
ました。中嶋さんが観音様に見えてきました。
 
仏像は、時代時代における人々の祈りを一身に受け、安らぎを与えて
きたのだろうと思います。これからは今まで以上に仏像の背負った歴史に
思いを馳せながら、拝観して参りたいと強く感じた次第です。
 
今回のご縁を大切にして、更に、ご縁が深まることを願ってやみません。
 
なお、中嶋莉恵さんはNHK・ETV特集「仏像の魂に挑む~東京藝術大学
若者たちの一年~」でご紹介されています。
 
東京藝術大学 大学院美術研究科 文化財保存専攻 保存修復研究室