2014年8月21日木曜日

目黒・大円寺 釈迦如来立像(重文)がご開帳!


清凉寺式釈迦如来で有名な目黒・大円寺を参拝。BACでは今回が
2度目となる。前回は2年前の7月に訪れるも、釈迦如来の拝観は
できなかった。

今回はご開帳の日であり、楽しみにしていた。残暑厳しい中、10時
JR目黒駅改札西口に集合された方々は14名。直ぐに、大円寺目指し
歩き出した。

大円寺の釈迦如来は「生身(しょうじん)の釈迦如来」と言われる、
清凉寺式釈迦如来。釈迦が37歳(または36歳)の時の姿を模して
造立されたと言われている。

特徴としては、①首元まで覆う通肩の衣 ②ボディラインまで張り付いた
薄い衣が同心円状、左右対称となった彫り ③縄を巻きつけたような
螺旋状の頭髪 ④絹製五臓の像内納入品 など

ガラス越しであり、また少し遠方でもあるため、細部まで確認することは
難しい。全体の様子は伝わって来るものの、ちょっと残念。

         大円寺の指定文化財     釈迦如来は旧国宝

          ガラス張りの釈迦堂   釈迦如来立像(ネットの画像)
 
旧国宝とは何か?昭和25年の文化財保護法施行日前の国宝はすべて
重要文化財となった。そして、その重要文化財の中から特に価値の高い
ものが、あらためて国宝指定がなされた。大円寺の像は重要文化財で、
旧国宝と言うことになる。
 
釈迦堂の前で記念撮影
 
         冷たいお茶を頂く     お薬師さんには金箔を貼って祈願

     本堂には大黒天が祀られている  阿弥陀堂の内陣
 
本堂では檀信徒の方々が参列し、大黒天を祀る法要が執り行われていた。
堂内から、読経の声が聞こえてきた。本堂の隣が阿弥陀堂となっており、
格子越しに、ご本尊と両脇侍の像を確認することだできた。
 
境内に並ぶ六地蔵   
六地蔵には、六観音と同じく、六道のどの世界を担うかが明記されている。
お地蔵さんの持物も全員違っている。それぞれの意味合いについても
拝観しながら、談義。
 
大円寺の拝観を済ませたのち、山手通りを越えたところにある蟠龍寺と
いうお寺も参拝した。ご本尊が阿弥陀如来。説明文に「善光寺式阿弥陀
三尊」との文言がある。
 
ここでは「善光寺式阿弥陀三尊」について解説。一つの光背に三尊像が
並ぶ一光三尊阿弥陀如来のこと。「清凉寺式」は釈迦如来、「善光寺式」
は阿弥陀如来。洞窟の中に祀られる弁財天像は間近で拝観できる。
         蟠龍寺の解説文        洞窟の中には弁財天が鎮座
 
早めの昼食は、雅叙園の中を通り、アマゾン本社が入るオフィスを抜け、
地上階まで上がった、レストラン「結庵(ゆいあん)」で取った。ランチメニュー
は少ないが、美味しく、値段もリーゾナブルで満足。
 
昼食後、解散とした。どうしても松岡美術館まで足を伸ばしたいとの要望
があり、5名でガンダーラの仏像を観覧した。なかなか見応えがある。
今回も暑い中のご参加お疲れ様でした。
 
 

2014年8月16日土曜日

浄真寺「おめんかぶり」に岡本さん、小池さん出演!


今日は3年に一度の浄真寺「二十五菩薩来迎会」。通称「おめんかぶり」。
BAC会員の岡本晁さん、小池博さんがご出演されると言うことで有志
6人が激励と見学に訪れた。

10時九品仏駅改札に集まった。行事は11時開始。改札口は、すでに
大勢の人でごった返す。おめんかぶり見物の人達とすぐに分かる。

開始1時間前にはお寺の境内に入り、暫く散策しながら、おめんかぶりを
待つ。本堂から上品堂にお坊さんや二十五菩薩を演じる人たちが移動を
始めた。いよいよスタートか。

この儀式は浄土教の教えを劇化した行事だそうだ。此岸と彼岸に橋が
渡され、先ず彼岸から阿弥陀如来が二十五菩薩を伴い此岸の行者を
お迎えに行く。

行者の魂は観音の蓮台に乗せられ、彼岸へ連れて行かれる。更に行者
はもう一度、此岸に戻って世の人のために尽くす。

上品堂(彼岸)から本堂(此岸)へ向かう行進が「来迎」。浄真寺では
「らいこう」と読んでいた。本堂から上品堂へ向かうのが「往生」。
更にもう一度、上品堂から本堂へ行くのが「還相(げんそう)」と言う。

「おめんかぶり」解説
 
    上品堂(彼岸=西方極楽浄土)  本堂(此岸=娑婆世界)
 
『来迎』の練り
①奏楽のお坊さんが先導
 
          ②阿弥陀如来       ③「日照王菩薩」の岡本さん
                         観衆に手を振る付き人・小池さん

『往生』の練り
        ④蓮台を持つ観音菩薩   ⑤日照王菩薩を団扇であおぐ

    ⑥開山・珂碩(かせき)上人の坐像  ⑦参加のお稚児さん
 
『還相』の練り
        ⑧読経されるご住職     ⑨一仕事を済ませたお二人
 
H24年5月、BAC第二回目の参拝寺院が九品仏浄真寺。その時から
岡本さんはぜひ出演してみたいと言われていた。見事に実現された
行動力に只々脱帽。岡本さん、小池さんお疲れ様!激励、見学をご一緒
した皆さんとは思い出に残る、楽しい時間を共有できた。感謝。(合掌)


2014年8月15日金曜日

朝比奈さんの作品展示&「仏像の時代的変遷」解説


今回の学習会講師は朝比奈義幸さん。作品の展示と、仏像制作者ならでは
の視点で仏像の解説をして頂いた。お盆休み、夏休みの期間にも関わらず
会員22名が参加。朝比奈さんのご発表を楽しみにされてのことと思う。

先ずは、展示作品の解説があった。
 
           展示作品          (解説画像から編集)
 
いずれも見事な作品ばかり。薬師如来坐像は初めての坐像とのこと。
蓮華座や光背も揃えてあり、ついつい手を合わせたくなってしまう。
癒しの仏「お守り観音」「よりそい地蔵」も愛らしく、ほのぼのとする。
 
また、バレリーナは「運中供養菩薩像」や「毘沙門天像」を彫りたいため
に学習の意味も込めて彫られたとのこと。音楽が聞こえてきそうな動き
をしており、仏像とは違った素晴らしさを感じた。
 
次いで、仏像彫刻の時代区分とその時代を代表する仏像を紹介された。
参考にされた文献のご披露があった。よく学習されていると感心。
朝比奈さんがまとめられた「時代区分と代表する仏像」は次の通り。
            飛鳥~白鳳          (白鳳~)奈良

             平安                鎌倉  
ご参加の皆さんも、大変参考になったことと思う。
 
仏像各部(体型、目、口、鼻、耳、衣紋)の時代的変遷は仏像を彫られる方
だからこそ、違いが分かるのだろうと感じた。少し専門的過ぎるかな?
 
また、着衣の着付けについても、大変興味深く拝聴した。衣がどう身体に
巻きついているかが分からないと仏像は彫れないとのことだ。仏像を彫る
と言うことは、仏が衣をどのようにまとっているかを理解しておかないと
彫り方を誤ってしまうことにつながる。
 
実践と理論を兼ね備えた朝比奈さんの素晴らしい講義でした。皆さん、
益々、仏像拝観の楽しみ方がバージョンアップしたことと思う。
 
今月の見仏会はご開帳の目黒・大円寺(清凉寺式)釈迦如来拝観と
松岡美術館常設のヒンドゥー彫刻像観覧。
清凉寺式釈迦如来の特徴、ヒンドゥーの三大神について事前学習の
ワンポイント・レッスンをした。
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予告:10月の定例会に「仏像歳時記」の著者 關信子先生をお招きし、
    講演会開催!
         『野外仮面宗教劇〝迎講(むかえこう)″について
            -極楽へ誘った阿弥陀像を中心にしてー  』
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
  



2014年7月24日木曜日

玉川大師 地下霊場順拝!


昨日は二十四節季「大暑」。今日は更に暑く感じる。朝10時、二子玉川駅
改札口に13名が集合。こんな暑い中、よくぞお集まり頂いたと感心・感謝。

水分補給はこまめにし、熱中症にだけはご注意頂くように、お願いした。
目指す玉川大師は二子玉川駅から歩いて15分。井戸さんのご案内で、
向かった。

朝早いためか、お堂にはどなたもいない。地下霊場を巡るため、堂内に
上がり、受付の方がお見えになるのを待つ。代表者の氏名、住所、何名
の参拝かを台帳に記入するように言われる。

注意事項を言われた後、一人100円を納め、いよいよ地下霊場へと入る。
この霊場は、大日如来の胎内を表し、四国88か所、西国33か所両霊場
の修行ができるとのことだ。何と有難い霊場だろうか。

真っ暗闇の中、壁を触りながら、正に手さぐりで進んで行く。途中、明るく
なるところに88か所のお大師さまや沢山の御仏の像が鎮座されている。
お静かにお廻りくださいと言われたが、ついつい声を出してしまうようだ。

          お大師さまの像          涅槃の釈尊
 
烏枢沙摩明王
参拝者が我々以外に数名だけということもあり、ついついワイワイしながら
の順拝となった。お大師さま、失礼をお許しください。
 
順拝を終え、お堂の座敷に座り、暫く歓談休憩をした。このような時間こそ、
心が和み、有難く感じるひと時と言える。
 
お堂の周りには、沢山の大きな石仏が並んでいる。特に、弘法大師像の
大きさには驚く。
 
               地蔵尊         愛染明王
 
              不動明王       弘法大師
 
最後にお堂への階段の上に並び記念撮影をする。
          (撮影者:木村)        (撮影者:牧野さん)

本日の御朱印
 
玉川大師を後にし、近くの寺院を2つ参拝。注目した仏像が2体。

          妙蓮寺・常不軽菩薩   玉川寺・普賢菩薩?帝釈天?
             
           
駅近辺のビルには沢山のレストランが入っている。選んだのは中華。
楽しく、美味しい昼食となる。大変暑い中のご参加、お疲れ様!(合掌)
 
 

2014年7月18日金曜日

東京藝大 中嶋先生の講演会開催!


7月の定例会は東京藝大の中嶋莉恵先生の講演会。参加者は28名。

講演会開始前に、九品仏浄真寺の「おめんかぶり」にご参加される
岡本さんから日時や当日の流れについてのご連絡があった。同伴者
に小池さんも出演される。ご都合のつく方はぜひ応援に行きましょう。

「おめんかぶり」出演を報告される岡本さん
☆8月16日(土)11時から約30分間☆
 
いよいよ中嶋先生の講演会。昨年6月に続いて2度目。
今回は最近の活動(修復)状況についてお話し頂いた。
具体的に千葉県館山市の那古寺(なごじ)の木造阿弥陀如来坐像修復
の様子を詳細に解説された。
 
この阿弥陀像は平安時代、カヤの一木造で造像されているそうだ。
虫食いがひどく、像が大分傷んでいたようだ。彩色を外すのに1か月、
解体にも1か月もかかったとのこと。
 
「含浸強化」「充填(じゅうてん)」「木屎による穴埋め」の作業手順がある
ことを学んだ。虫食いで弱体化した材をいかにしっかりしたものにするか、
しかも可逆性があることが求められる。
 
カヤ材の像にヒノキ材で修復するのは、後補であることが分かるように
敢えて別材が使われるようだ。修復のヒストリーを残し、将来の再修復
に備えている。現状維持を大原則とし、何も足さない修復の思想を良く
反映しているように感じた。
 
平安時代にも関わらず、玉眼となっていたところは、ヒノキ材で彫眼に
戻されたそうだ。過去の修復が明らかに誤りであれば、時代考証の上
あるべきものに変えることもあるようだ。
 
また、依頼主の要望もあり、必ずしも時代考証的にあるべき姿に戻す
ことばかりでないこともあるとのこと。ちょっと悩ましい問題だ。
 
現在、修復を手掛けている仏像についても紹介された。修復後の像を
拝観する日が楽しみになる。
 
修復活動の後は、仏像彫刻における木彫道具や素材の木について
の解説をして頂いた。クス、カヤ、ヒノキ、キリなどを実際に手にして、
木目、色や、香りを実感した。
 
皆さんから出た、沢山の質問に丁寧にご回答いただいた。大変和やか
な雰囲気の中、講演会が終了した。
 
貴重な文化遺産である仏像を、拝観できるのは、保存修復の優れた
技能に支えられていることを皆さんよくご理解されたことと思う。
BACとして、引き続き、莉恵ちゃん先生を支援することを皆さんで確認
した。来年もまた、講演会よろしくお願いしま~す。
 
講演会終了後、近くのファミレスでお食事をし、楽しく歓談。満足!満足!
 
解説をされる中嶋先生

         講演会の様子          ご参加の皆さん
 
                
                

2014年7月15日火曜日

「奈良・京都の国宝仏」講演会開催!


7月1日と本日(15日)の2日間、阿佐谷地域区民センター協議会主催の
講演会でお話ししました。テーマは「奈良・京都の国宝仏」です。

全国で128件の仏像が国宝指定を受けています。その内、奈良で71件、
京都で37件と占率にして実に84%になります。

初日には奈良の仏像を飛鳥、白鳳、天平の時代別、かつ制作技法(素材)
毎にご紹介しました。天平時代は塑造、乾漆造の名品が多く、見応え満載
であり、技術水準の高さにも圧倒されます。

2日目の本日は、京都の国宝仏を寺院ごとに解説しました。平安京遷都前
の仏像として、広隆寺、観音寺、蟹満寺所蔵分を取り上げました。
遷都後として東寺、神護寺、仁和寺、清凉寺、浄瑠璃寺、平等院、最後に
三十三間堂の諸尊像をご紹介しました。

主催者側のご好意で定員をはるかに超え、90名の皆さんがご参加されて
いました。2日目の本日も欠席者がほとんどいませんでした。
皆さん熱心にメモされながら、お聴きいただきました。有難うございました。

ご挨拶される講座運営部の原山部長

 熱心に受講されるご参加の皆さん

ご紹介映像の一つ