2014年11月5日水曜日

ゆうゆう荻窪東館にて關信子先生講演会開催します!


著名な美術史家 關信子先生の講演会(第二弾)開催が決定!!
質疑応答のお時間もお取り頂き、仏教美術の親しみ方が更に深まること
を願っています。

講演会案内チラシ

今回の講演会はNPOシニア総合研究協会主催「仏像の魅力を楽しむ
サロン」(主宰者:木村)の特別講演会として開催されるものです。

シニア総研では教室でのコミュニケーションを重視するため、あえて「講座」
と呼ばずに、「サロン」と称しています。

杉並区から委託され、現在協働事業として約20のサロンを開いています。
東洋、西洋の交わる「知的で楽しいコミュニティサロン」として文化芸術、
生涯学習などのサロンを揃えています。
現在開講中のサロン
本年9月区役所ロビーに展示

シニア総研のHP: http://www.sugi-chiiki.com/npo-risa/


 

2014年10月23日木曜日

サントリー美術館「高野山の名宝」を観覧


冬のような肌寒い中、六本木のサントリー美術館に14名が集合した。
BACでのサントリー美術館訪問は25年12月以来2度目となる。

「高野山の名宝」展は、高野山が平成27年に開創1200年の節目を
迎えることを記念して開催されている。
「空海研究会」に所属する小生としては、見逃す訳には行かない。
展示会パンフ
展示テーマは3章で構成されている。第1章 大師の生涯と高野山
第2章 高野山の密教諸尊  第3章 多様な信仰と宝物。
 
4階第1展示室に入ると、最初に目にするのが「弘法大師坐像」。右手に
金剛杵、左手に数珠を持った姿は典型的な弘法大師像。聡明で、意志の
強そうな顔立ちをしている。
 
次に、国宝「聾瞽指帰」。空海が24歳で著した書。空海の恐るべき才能を
感じつつ、文字を追う。「ひらがながある」と渡辺さんの声が聞こえた。この
時代にはまだ、ひらがなは生まれていないはず。きっとその兆しがすでに
空海の書には見えているのかもしれない。
 
国宝「諸尊仏龕」も近くに展示されている。白檀で造られた像で、見事な
までに精緻に彫られている。ガラスケースのため、香りを嗅ぐことはでき
ない。空海が唐から請来したものとされる。高さが20cm程の小さな像で、
解説文には「枕本尊」とあった。枕本尊とは携帯可能な小型の念持仏の
ことを言うようだ。空海もこの像を前にして祈ったのだろうか。
諸尊仏龕
(絵葉書から)
空海と言えば、いつも金剛杵を持っている。独鈷杵、三鈷杵、五鈷杵
や五鈷鈴の展示も面白い。仏像好きの人の中には密教法具のマニアも
いる。つい、その人のことを思い浮かべた。
 
第二章の密教諸尊では、運慶作の八大童子が一番の見どころ。
 
八大童子
(絵葉書から)
全体的にみなふっくらとして穏やかな表情が多いように思う。やんちゃ
坊主のイメージが強い制叱迦童子すら、優しい顔立ちをしている。
南北朝時代14世紀作の像(両端)は明らかに運慶の作風と違う。
高野山に行かずに、一度に見られるとはラッキーとの声も聞こえた。
 
 
4階展示室から3階に移動すると、いきなり快慶作の孔雀明王坐像が
堂々と鎮座。快慶らしい凛々しい顔立ちと孔雀の大きさに目を奪われる。
孔雀に乗り、孔雀の羽を持ち、孔雀の羽を光背にし、孔雀づくしの像。
 
孔雀は害虫や毒蛇を食べることから「人々の災厄や苦痛を取り除く功徳」
があるとされ、信仰されてきたようだ。
孔雀明王は明王の中で唯一優しい顔立ちであり、女性の尊格とも言われ
ている。
 孔雀明王坐像
(パンフレットから)
 
第3章 多様な信仰と宝物で一番印象に残ったのは、快慶作の四天王像。
朝比奈さん曰く「東大寺戒壇堂の四天王は〝静″ですが、こちらは〝動″
ですね」。展示の中で、この四天王像は特に気に入った像だ。
四天王に踏みつけられる邪鬼の表情も面白い。それぞれ4通りの表情を
しており、四天王の顔と邪鬼の顔を見比べながらの観覧も楽しい。
 
四天王立像
(パンフレットから)
 
他にも沢山の見どころがあり、日を改めてもう一度じっくり観覧したい。
観覧後、8名が同じビル内のレストランで昼食を取りながら歓談した。
 
 
☆予告:11月の定例会では原山さん所有の「善光寺DVD」を視聴。
 
 

 

2014年10月17日金曜日

美術史家・關信子先生の講演会 開催!


御高名な美術史家・關信子先生の講演会とあって会場は超満員となる。
36名の参加は過去、最高人数を記録した。椅子だけの配席で対応した。
講演会テーマは「野外仮面宗教劇<迎講(むかえこう)>についてー極楽
へ誘った阿弥陀像を中心にして ー」。

關先生の解説は、極めて分かりやすく明快、しかも溌剌としたお声で、
元気まで頂く。皆さん、さぞ満足されたことだろうと思う。講演会終了後、
たくさんの人からお礼の言葉を頂いた。超一流のプロは人を引き付ける。
 
講演会会場の様子
 
ご講演の關先生

末法到来の時代、当時のベストセラー作家・恵心僧都源信が著した書物
「往生要集」が基になって、迎講が始まったとのことだ。末法の時代、貴族は
造寺、造仏、写経もして、極楽往生を願った。庶民は迎講に救いを求めた
ことだろう。

浄土の中でも一番の人気が阿弥陀さまが教主の西方極楽浄土だったよう
だ。死者が往生するためには、阿弥陀さまに「来迎」してもら必要がある。
お迎えに来て頂けるとイメージトレーニングすることこそ、末法の世を生き
抜く術だったのだろう。見苦しい最後は見せたくないと思う願いは今も共通
しているように思う。

迎講の登場人物、道具、舞台、開催日、開催時刻など、詳細にご説明頂き、
当時の仮面劇の様子がクリアな形で浮かんで来るようだ。仮面劇復活に
専心される關先生でしかできないことだと感服する。

迎講の主役が変遷する流れも大変よく分かった。阿弥陀面に始まり、
着装の迎講阿弥陀像、更には被り仏の迎講阿弥陀像となり、最後には、
阿弥陀さま不在の行道に変化したとのことだ。主役変遷の長所や短所、
あるいは迎講に求める目的の変化も良く整理できたように思う。

講演会でご紹介された画像の一部
       「阿弥陀面」(浄真寺)   「着装の迎講阿弥陀像」(浄土寺)

「被り仏の迎講阿弥陀像」(當麻寺)

今回の講演会を通じ、阿弥陀さまに今まで以上の親しみを感じるように
なった。阿弥陀さまと言えば、三尊像として観音、勢至の菩薩像が直ぐに
浮かぶ。天蓋を掲げるのは普賢菩薩ということも知った。

迎講が始まったのは源信がいたからということが分かった。源信と
言えば、源信のお母さんの言葉を思い出す。世俗にまみれずに、
世の人々のために尽くしなさいと言った言葉のようだ。
「後の世を渡す橋とぞ思いしに、世渡る僧となるぞ悲しき」
源信が頂きものを母親に送ったところ、頂きものをして喜んでいるとは
情けないと言って送り返したとのこと。一部の政治家に学んでほしい
逸話だ。

源信がこれほど名を遺したのは、母親の教育があってのことではないか?
この辺のことを關先生にお伺いしたかった。時間なくて質問できず、残念。
またの機会にお聴きしたい。

会場でお知らせした、先生のご著書
お蔭様で大満足の講演会。關先生のご予定をお伺いし、ぜひ第二弾を
企画したいと強く決意。盛会裏の講演会に感謝、感謝!(合掌)
 
 
 

2014年9月25日木曜日

小平市 平櫛田中彫刻美術館 観覧


台風が熱帯低気圧となるも、雨風が心配される中、会員15名が西武
多摩湖線一橋学園駅に集合。皆さん日頃の心がけが良いか、雨風の
影響は全く無かった。一橋学園駅から徒歩10分で美術館に到着。

小平市は平櫛田中さんが昭和45年から昭和54年に107歳で亡くなる
までの10年間過ごした場所であり、その邸宅が美術館となっている。

  美術館入口         入口の看板

最初に、田中(でんちゅう)さんについてのビデオを視聴した。「生い立ち」
と「鏡獅子制作プロセス」の2本で約35分。基礎知識をつけてから館内を
観覧した。1階と地下室に「彫刻」、2階に「書」が展示されていた。

一つ一つ丁寧に観覧。作品の素晴らしさと合わせて、田中さんのパワーに
皆さん驚かれたようだ。「60、70洟垂れ小僧、男ざかりは100から、100
から」の名言でも分かる。

作品の中には風貌がどことなく岡倉天心に似ていると思った像がいくつか
あった。田中さんは岡倉天心をイメージしながら制作されたのではないか
と想像する。

しっかりした装丁の作品集が予想外の安価であったため、直ぐに購入して
しまった。
【平櫛田中作品集 表紙】
 
【作品集に掲載の彫刻】(作品集写真)
         鏡獅子・鏡獅子試作頭         降魔 
 
一通り観覧した後、記念館(田中さん居宅)へ移り、記念撮影をした。
美術館の方の好意で、普段は入ってはいけない砂を敷き詰めたところ
に並び、写す。(シャッターまで押して頂きありがとうございました)
 
 
記念撮影を済ませ、田中さんが住まわれていた記念館の中を見学した。
中庭を囲み、その周囲に客室、居間、寝室、展示室等がある。玄関に
掛かっていた額にも田中さんのもう一つの名言があった。
『いまやらねば いつできる わしがやらねば たれがやる』
「いつやるか? 今でしょ!」 某予備校講師の流行語を思い出した。
 
            中庭               玄関に掛かる額
 
直ぐ近くに玉川上水緑道がある。帰りは緑道を歩いた。この道を田中さん
も歩いたことだろう。
玉川上水を眺める皆さん
 
一橋学園駅で電車に乗り、国分寺駅下車。駅ビルのレストランで昼食を
取り、その後解散。今日も一日ゆったりと過ごせました。(合掌)
 
 

2014年9月19日金曜日

原山さん解説 無宗派の寺「善光寺さん」

9月定例会メインテーマは「信州信濃の善光寺」。会員27名参加と会場
は満員御礼。本日の語り部 原山金三さんは9時過ぎには来館され、準備
されたパワーポイントの画像や資料を入念にチェックされていた。

善光寺は日本屈指の古刹であり、原山さんがご幼少の頃から、親しんだ
故郷の名刹である。今回は「無宗派の寺〝善光寺さん″を知る」とのタイトル
で解説して頂いた。
解説される原山さん

準備されたレジュメには善光寺を多方面から知るキーワードが列挙されて
いた。「1.訪れた人びと」「2.善光寺縁起」「3.乱世をかけめぐったご本尊」
「4.誰でもお参りできる無宗派の寺」「5.善光寺さんを見る」「6.仏の御心
にふれる」等々。

ご紹介された画像の一部

 

善光寺には二人のご住職がいらっしゃる。天台宗は大勧進で貫主と言い、
浄土宗は大本願で尼公上人と言うそうだ。宗派の違うご住職がお二人と
いうのも大変珍しいが、なぜか仏教的で感じがして親しみが持てる。

多岐にわたる視点での解説に、ご参加の皆さん大満足されていたようだ。
「勉強になった」「善光寺は奥が深いお寺だ」「善光寺に行ってみたくなった」

原山さんの歌う「善光寺讃歌」も素晴らしかった。「信濃良いとこ 弥陀の国
弥陀の国」。ぜひ、メロディを覚えて、歌ってみたい。

今回は時間の兼ね合いで、ご準備頂いたDVDは視聴できませんでした。
次の機会の機会とさせて頂きます。原山さん、お疲れ様でした。
内容充実のお話に敬服!


来月のBAC定例会は美術史家・關信子先生の講演会です。
その關先生が慶応大学でご講演されます。
ご都合の良い方はどうぞご参加ください。無料です。
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☆關信子先生講演会
・日時:10月4日(土)15時~16時半
・会場:慶応義塾大学 日吉キャンパス 来往舎1階シンポジウム室
・演題:野外仮面劇〝迎講″の世界
      極楽へ誘った阿弥陀像を中心に
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2014年9月18日木曜日

西荻北館・楽習塾にて「仏像講座」開催


ゆうゆう西荻北館・楽習塾での「仏像講座」も今年が3年目となります。
3年連続で受講される方もいらっしゃる。今回は、「国宝の仏像」について
話をしました。
           講座の内容            教室の様子

13時30分から15時30分まで、途中10分間休憩を挟んでの講座です。
国宝彫刻を多く所蔵する寺院では「法隆寺」「広隆寺」「興福寺」「東大寺」
「東寺」「蓮華王院」をご紹介しました。
 
皆さん、熱心のメモを取りながらお聴きになっていました。お一人でも多く
の方が仏像に興味をもたれることを願っています。
 
 


2014年8月21日木曜日

目黒・大円寺 釈迦如来立像(重文)がご開帳!


清凉寺式釈迦如来で有名な目黒・大円寺を参拝。BACでは今回が
2度目となる。前回は2年前の7月に訪れるも、釈迦如来の拝観は
できなかった。

今回はご開帳の日であり、楽しみにしていた。残暑厳しい中、10時
JR目黒駅改札西口に集合された方々は14名。直ぐに、大円寺目指し
歩き出した。

大円寺の釈迦如来は「生身(しょうじん)の釈迦如来」と言われる、
清凉寺式釈迦如来。釈迦が37歳(または36歳)の時の姿を模して
造立されたと言われている。

特徴としては、①首元まで覆う通肩の衣 ②ボディラインまで張り付いた
薄い衣が同心円状、左右対称となった彫り ③縄を巻きつけたような
螺旋状の頭髪 ④絹製五臓の像内納入品 など

ガラス越しであり、また少し遠方でもあるため、細部まで確認することは
難しい。全体の様子は伝わって来るものの、ちょっと残念。

         大円寺の指定文化財     釈迦如来は旧国宝

          ガラス張りの釈迦堂   釈迦如来立像(ネットの画像)
 
旧国宝とは何か?昭和25年の文化財保護法施行日前の国宝はすべて
重要文化財となった。そして、その重要文化財の中から特に価値の高い
ものが、あらためて国宝指定がなされた。大円寺の像は重要文化財で、
旧国宝と言うことになる。
 
釈迦堂の前で記念撮影
 
         冷たいお茶を頂く     お薬師さんには金箔を貼って祈願

     本堂には大黒天が祀られている  阿弥陀堂の内陣
 
本堂では檀信徒の方々が参列し、大黒天を祀る法要が執り行われていた。
堂内から、読経の声が聞こえてきた。本堂の隣が阿弥陀堂となっており、
格子越しに、ご本尊と両脇侍の像を確認することだできた。
 
境内に並ぶ六地蔵   
六地蔵には、六観音と同じく、六道のどの世界を担うかが明記されている。
お地蔵さんの持物も全員違っている。それぞれの意味合いについても
拝観しながら、談義。
 
大円寺の拝観を済ませたのち、山手通りを越えたところにある蟠龍寺と
いうお寺も参拝した。ご本尊が阿弥陀如来。説明文に「善光寺式阿弥陀
三尊」との文言がある。
 
ここでは「善光寺式阿弥陀三尊」について解説。一つの光背に三尊像が
並ぶ一光三尊阿弥陀如来のこと。「清凉寺式」は釈迦如来、「善光寺式」
は阿弥陀如来。洞窟の中に祀られる弁財天像は間近で拝観できる。
         蟠龍寺の解説文        洞窟の中には弁財天が鎮座
 
早めの昼食は、雅叙園の中を通り、アマゾン本社が入るオフィスを抜け、
地上階まで上がった、レストラン「結庵(ゆいあん)」で取った。ランチメニュー
は少ないが、美味しく、値段もリーゾナブルで満足。
 
昼食後、解散とした。どうしても松岡美術館まで足を伸ばしたいとの要望
があり、5名でガンダーラの仏像を観覧した。なかなか見応えがある。
今回も暑い中のご参加お疲れ様でした。