2015年6月4日木曜日

阿佐谷地域区民センターにて仏像講演会開催!


定員60名の講座に122名の方がご応募されたとのこと。
講演会主催の阿佐谷地域区民センター協議会・進藤さんから
お話を伺った。何と有難い事か。

一方、往復はがきでお申込みされながら、ご参加できない方に
対しては、申し訳ない思いがする。

主催者のご配慮で定員枠を大幅に増やし、当選通知を発送されたそうだ。
人数が多くなったことで、後方座席の方はスクリーン下部が見づらくなった
ようだ。致し方ないこと。
後方の方々にもお楽しみ頂けるよう、気を配りながら講演会を進めた。
主催者・進藤さんのご挨拶
 
阿佐谷地域区民センターでの講演会も今回が3年目、7回目となる。
1年目は「仏界の相関図~序列と系列~」「仏像の特徴・見分け方」を
テーマに解説。
いわば、仏像鑑賞基礎編としてお話。
 
2年目は「奈良・京都の国宝仏」をテーマに、国宝の名品をご紹介した。
こちらは、理屈よりも名品を数多くご紹介することを主眼に、
また奈良・京都を旅行される時のご参考にとの思いで進めた。
 
今回は「慈悲の顔、忿怒の顔」を眺めることから始め、
特定の仏にスポットを当てることにした。

仏教思想の根本は「慈悲」「智慧」「寛容」と心得ている。
そこで、今回は「慈悲の仏・観音菩薩」
「智慧の仏・文殊菩薩」を取り上げることとした。
講演会開始直後         千手観音を解説する場面
 
休憩時間には、「三十三観音の意味が今日初めて分かりました」と
ご報告される方や「以前の講演会後に、京都で仏像を拝観してきました」と
お話頂く方もいた。
 
いつも、講演会でお見かけする方が何名もご出席。
大変に居心地の良い、優しさに
満ちた空間となっているように感じた。
 
終了後には数名の方からご質問があり、可能な限りのお答をさせて頂いた。
しかし、満足の行く回答とならなかったのではないか? ちょっと気掛かり。
 
来週は守護神の「四天王」と「密教の仏たち」を解説する予定。
「忿怒の仏・明王」にも触れたい。
それらを網羅するものとして、京都・東寺の立体曼荼羅がぴったりと思う。
皆さんのご期待にお応えできるよう精一杯努めよう。
 
 

2015年5月21日木曜日

金沢文庫 特別展「日向薬師 秘仏鉈彫(なたぼり)本尊開帳」


明け方の雷雨が嘘のような、心地良い晴天の日となる。
10時、金沢文庫駅に集合し、神奈川県立金沢文庫へ徒歩で向かう。
お目当ては、秘仏鉈彫本尊の薬師三尊像。
称名寺を参詣してからの正面入り口

学芸員の瀬谷貴之さんから解説して頂いた。最初に、金沢文庫が
どのような博物館なのか、東大寺展、解脱上人貞慶展などを
金沢文庫で開くことができるのはなぜか。
今回の日向薬師 秘仏鉈彫本尊開帳となった経緯などのご説明を受けた。

金沢文庫にしかない、極めて貴重な古文書や仏像など多数あるとのことだ。
運慶作の仏像がある博物館も金沢文庫だけのようだ。改めて、金沢文庫が
特色あり、かつ存在感のある博物館だと感じた。

1階は称名寺のご本尊が秘仏となっているため、弥勒菩薩立像の模刻像や
弥勒浄土壁画模写が展示されていた。弥勒菩薩が本尊のお寺は珍しい。

称名寺開基、かつ金沢文庫を開いた北条実時が弥勒信仰を持っていたため
本尊が弥勒菩薩となった。称名寺と言う名前の通り、最初は阿弥陀信仰の
お寺だったものが、弥勒信仰へと変わったとのこと。
 
2階が【特別展】平成大修理記念 日向薬師 秘仏鉈彫本尊開帳の会場と
なっている。日向薬師宝城坊の本堂(薬師堂)が平成28年の完成を目指し、
平成22年より大修理が行われている。その期間を活用して、今回の特別展
となった。
 
日向薬師宝城坊は関東有数の古刹で、本尊薬師三尊像は平安時代に
遡る鉈彫による仏像の代表作例として知られているそうだ。
学芸員の瀬谷さんが「私の話をお聞きになったら、日向薬師に行きたくなります」
と言われた。本当に、今度BACで日向薬師へ行きたくなった。
 
宝物殿には重要文化財だけで23体安置されている。これだけの文化財が
収蔵されていると聞いただけで、わくわくする。
「宝城坊の解説」チラシから抜粋
 
瀬谷さんから鉈彫技法の発生について3点を解説された。
1点目は法華経に出てくる仏が地面から湧き出てきて、
身体ら揺らぐイメージに合う。
 
2点目は木の中から出現したように見える。
3点目がノミの音には霊験があり、音を連想させる。
 
なるほどと感心しながら拝聴した。
お話を伺って、鉈彫像に対する見方が変わった。
図録から
 
月光菩薩     薬師如来     日光菩薩 
 
大変分かりやすい解説で、参加の皆さん満足された。瀬谷さんにお礼を言い、
お隣の称名寺へ向かった。清々しい気分で暫く弥勒浄土の庭園を散策。
本堂、不動堂をお参りし、最後に反り橋の上で記念撮影。
 
開基 北条実時の像       称名寺庭園の解説文
 
反り橋の上で記念撮影
 
仁王門

吽形                  阿形 
 
称名寺の参道を出たところのバス停があり、バスに乗って駅に戻る。
駅近辺で昼食を取る。運よく全員入れる。歓談しながらの食事は格別。
楽しい一日でした。
 
ハプニングとして、高橋さんと靴を間違えて履いたこと。
それにしても、全く同じ種類の、同じ色、同じサイズの靴だったとは驚き。
かかとの減り具合で違いが分かった。
 

2015年5月15日金曜日

5月定例会は「仏像の観方・楽しみ方Part2」


5月定例会から当番制で、配席を整えることを始めた。朝比奈幹事から
指名を受けて当番となって人達が9時半に集合し、作業に取り掛かった。
当番になってない方も、何かお手伝いしたいと早めに来られた方が多い。

井戸幹事の進行で定例会が始められた。4月見仏会は東博「インドの仏」を
観覧しての感想について質問が投げ掛けられた。
先月の見仏会参加人数が10名と、極めて少なかっただけに、
感想を言う人も限られている。

「日本の仏像と著しくかけ離れている」「日本の仏像の精緻さを見直した」
「表慶館が素晴らしい建物」など、インドの仏像に対する評価はネガティブな
ものが多いようだ。仏像誕生のプロセスを理解するには、インドの仏像を
知らないといけないと付言した。

Eテレ日曜美術館で放映された「新納忠之介」の話は盛り上がった。
皆さん感動されたようだ。BACでの定例会において、以前、中島憲子さん
から新納忠之介についてのご紹介があったからこそ、今回の感動に
繋がったように思える。中島さんに拍手した。

学習会は、1月16日に引き続き、「仏像の観方、楽しみ方Part2」を話した。
時間的に仏像までは行かず、藤原北家が政権の中枢に上るプロセスに
スポットを当てた話となった。

①第50代桓武~第60代醍醐までの系図
最初に上記系図をお見せし、名前にマルして頂いた。
「僧正遍昭」「陽成天皇」「源融」「光孝天皇」
「在原行平」「在原業平」「素性法師」「藤原忠平」。
この人たちに共通することは何かを投げかけた。
いくつかの回答がある中、暫くして正解が出た。
 
正解は小倉百人一首の歌人。
政治的な話ばかりだと、つまらなくなると思い、質問してみた。
あの天皇が、こんな歌を詠むとは意外とか、相関図を頭に入れると、
違った景色が見えて来る。
 
藤原氏に関連する出来事・政変と通じて、藤原北家の足跡を辿った。
取り上げた政変は
 
「承和の変」「応天門の変」
「阿衡の紛議」「菅原道真の左遷」
 
の4つを解説した。使用した画面の一部を掲載。
 
 ②年表
 
③「承和の変」相関図       ④「応天門の変」相関図

⑤「阿衡の紛議」経緯       ⑥菅原道真 年表
 
皆さんご理解されただろうかと少し、気にかかる。
そもそも、興味があるのだろうか?
参加者の中から、仏教伝来時の蘇我氏と物部氏の
抗争について話してほしいとのご要望が出た。
 
6月の学習会は朝比奈幹事の担当となっていた。
「阿弥陀如来 聖衆来迎像」制作が時間的に厳しいとのこと。
そこで6月は仏教伝来時の崇仏派、廃仏派について
話すこととなった。
 
休憩時間にお勧めした講座は「シニア総合研究協会」のHPに
アップされている。アクセスしてみてください。
 
 
 

2015年5月12日火曜日

Eテレ 日曜美術館「仏像をよみがえらせた男・新納忠之介」に感動!


 5月10日(日)NHK・Eテレ日曜美術館
 「仏像をよみがえらせた男・新納忠之介」を視聴した。
仏像修理に生涯をささげた、新納忠之介
(にいろちゅうのすけ)に感動!!

法隆寺の百済観音像など手がけた仏像は2千体以上とのこと。
仏像修理の手法は現在にも引き継がれている。

奈良や京都の仏像は、世界に誇れる文化遺産と言える。
その陰には、新納忠之介始め先人のご苦労があったことを
思い知らされた。

感動的だったのは、岡倉天心から東大寺法華堂の
諸尊像修理を命ぜられた時の、二人の会話が凄い。
修理の仕事はしたことがなく、躊躇う忠之介に、天心が言う。


天心  「むつかしい事をやるのが、研究家の仕事じゃないか」
忠之介 「先生は私を殺すつもりですか」
天心  「芸術の上では君を殺すつもりだ」

そこまで言う天心に対し
忠之介 「私も一つ死を賭して行きましょう」
 
この言葉に対する天心の反応が凄い
天心 「おう行け 行って死ね」

新納忠之介が仏像修理の道へと進んで行くことになった。
 

 NHKEテレ 日曜美術館 HP

 
番組の内容
新納忠之介(明治元年~昭和29年)が手がけた仏像は、2千体以上。
法隆寺の百済観音像、東大寺の不空羂索観音像、唐招提寺の千手観音像、
三十三間堂の千手観音像など。その多くが国宝。修理の際、新納は膨大な
写真や文書などの記録を残した。
 
荻窪東会員の日吉清隆さんから番組放映の連絡を頂き、荻窪東、西荻北所属の
皆さんへメールでお知らせした。
 
放映の当日、メンバーの奥様からメールを頂きました。
「今朝、二人で番組を楽しみました。わたしにとって未知の分野のお話で感動
いたしました。これからもどうぞよろしくお願い申し上げます」
 
新納忠之介のお蔭で、仏縁が更に広まったように感じた。(合掌)

2015年5月9日土曜日

鎌倉国宝館にて「長谷寺・三十三応現身像」を観覧

鎌倉国宝館で「特集陳列 長谷寺と鎌倉の名宝」展を開催中。
荻窪東館の仏像サロンメンバーが名宝を観覧した。
西荻北館からは朝比奈さん、渡辺さんが特別参加。
 
今回、美術史家 關信子先生のお計らいによって、
鎌倉国宝館の学芸員 高橋真作様から出陳仏像の解説をして頂いた。

鎌倉国宝館           展示会ポスター

鎌倉国宝館が昭和3年に開館となったことや、展示スペースの
中央が寺院の須弥壇をイメージした造りとなっていること、更には、
仏像が免震構造の台に乗っていることなどをお聴きした。
東日本大震災の時も、免震構造のお蔭で、全く被害がなかったとのことだ。

最初に、平常展示の仏像からご説明頂いた。薬師三尊像と十二神将の
制作年代を興味深く、拝聴した。

中尊の薬師如来が平安時代、両脇侍が江戸時代、十二神将は
鎌倉時代が8体、江戸時代が4体とのこと。

鎌倉時代の像は運慶の流れを汲む慶派の仏師作のようだ。
平安、鎌倉、江戸の違いが良く分かる。

興味を引いた像は建長寺の千手観音菩薩坐像。「吾妻鏡」に記載の
ある像とのことだ。
北条時頼の病気回復を願って造立された、等身大の像のようだ。
時頼は、意外と小さいと感じた。
その他の像についても詳しく解説頂いた。

いよいよ特集陳列の三十三応現身像の前に移動し、解説をお聴きした。
これだけの像が全部揃っていることは他にない。

ガラスケースの区画毎に7体ずつ展示し、曲がり角はスペースが
狭いため5体とすると、7体×4区画+5体でちょうど33体となり、
ぴったり納まったと高橋さんが喜ばれていた。

どのように展示するかは学芸員さんのこだわりであり、
腕の見せどころであろうと思う。

33体の中で一番目を引いたのは、辟支仏(びゃくしぶつ)像。
興福寺北円堂の無著像を彷彿させる。
無著、世親像は運慶作となっている。
きっとこの像のモデルはきっと無著像ではないだろうか。

高橋様には約50分間、解説をして頂いた。
大変、明快な解説のお蔭で、皆さんの理解が深まり、
関心・興味が更に強くなったように感じた。

各自、もう一度ゆっくり観覧した。
観覧を終え、国宝館を背に、記念撮影をした。

国宝館を背に記念撮影     国宝館を出ると花嫁行列に出会う
 
国宝館を出て、昼食に向かう。昼食を済ませた後、
希望者で、鎌倉一の古刹・杉本寺と竹の寺・報告寺
を拝観した。
杉本寺 本堂(観音堂)
 
杉本寺から報国寺へ向かう    報国寺の解説掲示板

報国寺にて 竹林を眺めて一服     報国寺のやぐら
 
天気にも恵まれ、楽しいひと時を過ごすことができました。
ご参加の皆さんお疲れ様でした。
  
 

2015年4月23日木曜日

東博「インドの仏」を観覧!



東博・表慶館での特別展は珍しい。この建物は皇太子(後の大正天皇)の
ご成婚を記念して建てられた日本ではじめての本格的な美術館とのことだ。
昭和58年(1978年)、重要文化財に指定された。

今回の参加者は10名。建物が気に入り、先ずは表慶館を背にして、
記念撮影。
 
特別展は第1章から第7章までの7部構成になっている。
第1章の「仏像誕生以前」から始まり、第2章「釈迦の誕生」、
第3章「仏の姿」、第4章「さまざまな菩薩と神」となる。
 
大乗仏教の広がりと造仏の歴史を辿ることができる。そして、第6章では
「密教の世界」へと繋がる。第5章や第7章ではそれぞれ
「ストゥーパ(仏塔)」や「経典」を扱ったコーナーもある。
 ①           ②           ③
上図は左から
①菩提樹の礼拝(紀元前2世紀)、②仏坐像(1世紀頃)、
③仏伝「出家踰城」(2世紀頃)。
 
仏教、仏像の歴史を整理するのに良い。
四相図は釈迦の一生を描いた浮彫図。
即ち、「誕生」「成道」「初転法輪」「涅槃」の四大事を描いている。
(下段から上段へ)
四相図(5世紀頃)
 
インドの仏は日本の仏と全く違う。躍動的、肉感的、刺激的で
心を和ませる仏とは言い難い。
やはり、我々日本人には穏やかな日本の仏像に魅かれる。
 
運よく、今年、国宝に指定された「東大寺 弥勒仏坐像」と
「醍醐寺 虚空蔵菩薩立像」が本館に展示されている。
そこで、本館へ移動し、国宝仏二軀を拝観することとした。
 
   東大寺 弥勒仏坐像  醍醐寺 虚空蔵菩薩立像
 
国宝指定の仏像はこの2件を含め130件となった。
両像とも、小さいながらどっしりとした重量感を感じた。
  

2015年4月18日土曜日

杉の樹大学同窓会主催 仏像講演会開催!

平成25年4月を初回に、毎年4月、仏像の講演会を依頼される。
今年が3回目となる。

お蔭様で毎回、会場が超満員となり、講師冥利に尽きる。
今年も126名の方がご参加と聞く。
            講演会開始直後           終了後の質問タイム
 
今年は3回目とあって、寺院創建、仏像造立の経緯など、
歴史的な側面にも言及。飛鳥、白鳳、天平、弘仁・貞観 各時代を代表する
寺院と仏像をセットでご紹介した。
 
ご紹介した古刹、仏像は次の通り。
 
更に伽藍配置の時代的な変遷も触れた。
伽藍の中心が塔から金堂へ移って行く推移をご紹介した。
飛鳥寺⇒四天王寺⇒法隆寺⇒薬師寺⇒東大寺⇒大安寺。
 
熱心にお聴き頂き、大変充実した2時間となる。
学習会でご一緒も皆さんも大勢ご参加。
そのメンバーのお一人、石澤さんはお姉さんにお声掛けされ、
お姉さんが千葉から馳せ参じてくださった。
何と有難いことか。感激!
 
毎年、このような講演会を企画して頂き、
杉の樹大学同窓会・橋本会長はじめ役員の
皆さんに感謝。