2015年11月20日金曜日

渡辺亮一さん「私の出会った国宝仏像」を紹介


11月定例会のご参加は24名。 今回からYさんが
ご長寿ポイントシール配付の仲間入りとなる。
24名中16名がご長寿の方々。
 
「いきがい活動」としてBACも少しはお役立ち
できているように思える。(自画自賛)

今回の発表者は渡辺亮一さん。テーマは「私が出会った国宝仏像」。
渡辺さんのご発表については3度驚いている。
一度目は、どなたか定例会で体験談などご発表される方は
いませんかと呼びかけた際、渡辺さんが、自発的に「やります」と
名乗り出られたこと。
いつも聞き役に回り、発言の控え目な渡辺さんが手を挙げた
ことに驚いたと言う次第。

2度目は、ご発表にパワーポイント資料を駆使してプレゼンを
行うということ。半年前に、希望者を募って講習会を実施した。
渡辺さんが早速活用されたことに驚き、かつ嬉しい。
これからも、様々な場面でのご発表に有効活用できるだろうと確信した。

3度目は本日のプレゼンが大変素晴らしかったこと。
仏像の話だけでなく、歴史的な背景にも言及し、仏像制作に
関連する出来事を興味深く語った。
私が講演会で使う話の進め方と共通する部分が多かったように思う。

発表する渡辺さん

熱心に耳を傾ける参加者の皆さん

渡辺さんが紹介された仏像。画像が渡辺さん使用のものと違う。
紹介内容については割愛する。
興福寺・仏頭  大倉集古館・普賢菩薩騎象像  勝常寺・薬師三尊像
                 
高徳院・阿弥陀如来坐像   法隆寺・薬師三尊像   中宮寺・菩薩半跏像

唐招提寺・鑑真和上像   東大寺・盧舎那仏坐像

国宝ではないが、印象的として紹介された仏像(いずれも重文)
深大寺      秋篠寺      金剛峰寺
釈迦如来倚像  伎芸天立像  孔雀明王坐像  

国宝仏像は渡辺さんがご発表の通り、目下130件。
まだまだ楽しみがたくさん。
どうぞ、お好きな仏像が益々増えますようにと願っています。
本日は大変お疲れさまでした。
出会った国宝仏像が増えましたら、どうぞ第二弾の
ご発表をお願いします。



2015年11月14日土曜日

世田谷区 九品仏 浄真寺を参拝!

10時、東急大井町線九品仏駅に集合。参加者は総勢12名。
天気予報は午後から本降り。10時頃はまだ少し小雨を感じる程度。
今日はお十夜法要と言って、浄土宗の大きな法要が行われる日
とのことだ。今回「お十夜」と言う言葉を知った。

大勢の檀家の人達を境内のあちこちで見かけた。今回は法要が
あるため、お坊さんの解説をお聴きすることはできない。
早速、山門を抜け、閻魔堂から拝観開始。閻魔堂の中には、
閻魔王と奪衣婆が鎮座。浄真寺の閻魔王は怒っているよう
でもあり笑っているようにも見える。
閻魔王

閻魔堂から仁王門へ向かう。垂れ幕の下がっており、
楼上の扉が開いて、中の仏さまが輝いて見える。
このような景色は観たことがない。垂れ幕の下には次回の来迎会が
平成29年5月5日開催となったことをお知らせしていた。

解説板には、仁王門楼上に安置してある仏さまが阿弥陀如来と
二十五菩薩であると書かれている。
楼門の上には釈迦如来と十六羅漢像が祀られていることが多いため、
お釈迦さまと羅漢さんと勝手に決めつけていた。
何度も来ているのに、祀られている仏さまを意識したことがなかった。
残念ながら、楼上へ上ることは許可されていない。

仁王門               楼上の仏さま

次回来迎会のお知らせ          楼上仏像の解説

仁王門を通り、境内を進むと右手に東京都の文化財、
梵鐘がある。その梵鐘を吊る鐘楼の彫刻が見事。
干支の鳥獣が精緻に彫られている。

周囲をぐるりと回りながら自分の干支を探した。
子を中央に、左に丑、右に亥が見える。
鐘楼の下で暫し雑談。
いよいよ本堂へ向かって歩き出す。
鐘楼の彫刻            本堂へ向かって歩く

本堂の近くには立派なイチョウの大木がある。
このイチョウは東京都の天然記念物に指定されている。
天然記念物のイチョウ

本堂に近づくと太鼓や鐘の音と共に読経が聞こえてくる。
法被を着た檀家の人達がご本尊を前に念仏を唱えているようだった。
折角の機会であり、お賽銭を納めてからお堂内に入り、着席し、
声明に耳を傾けていた。
 
ご本尊の釈迦如来坐像は見事な丈六仏で金色に輝いていた。
仏さまと楽器と声明は心を落ち着かせる装置のようだ。

ご本尊の釈迦如来坐像

次に向かった先は三仏堂。上品堂だけがご開帳となっていた。
上品堂に向かって右手の中品堂、左手の下品堂は戸が
閉まっており、ガラス越しにしか中の様子を見ることができない。

上品堂の阿弥陀如来3体について説明した。
上品堂はすべて弥陀定印。中央が上品上生の印、
右側が上品中生、左側が上品下生。
親指とどの指で輪をつくるかで決まる。
それぞれ、人差し指、中指、薬指の違いであることも伝えた。

上品上生の阿弥陀如来    中品堂の前で印を結ぶ皆さん

上品堂から再び本堂に戻り、本堂の中の諸尊像を
じっくり拝観して回った。ご本尊のお顔も正面からと
横からでは全く違う。

横からだと、より一層、前かがみになった姿勢と面長の
様子が良く分かる。
五劫思惟阿弥陀如来像、法然上人像、文殊・普賢菩薩の図像、
善導大師像、開山の珂碩上人像などと見どころ満載。

一通り観覧したところで、本堂を背にして記念撮影をした。
例によって、近くに来られた方にシャッターをお願いした。
本堂の釈迦如来が左奥から見守る

最後に開山堂のそばに立つ水子観音菩薩と、
観音堂をお参りして、浄真寺を後にした。

大した雨にも降られず、楽しく参拝できた。
これも、御仏のご加護を感謝する。
参道を出たところの蕎麦屋さんで昼食を取り、歓談。
昼食後、解散。







2015年10月23日金曜日

伊勢原市 日向薬師、大山寺を参詣する!

 
昨日は神奈川県伊勢原市の日向薬師宝城坊と雨降山大山寺
(あふりさんおおやまでら)を参詣した。お寺の縁起では、
関東屈指の古刹と言える。参加者は健脚の男女11名。
 
今年5月、金沢文庫で日向薬師 秘仏鉈彫本尊開帳の特別展を
観覧した。この時に、日向薬師の参拝を計画していた。
近辺の大山寺がご本尊のくろがね不動尊や秘仏の諸尊像を
ご開帳されるとの情報を得て、今月実現することとなった。
 
伊勢原駅からバスで終点「日向薬師」まで行く。
そこから徒歩で山道を上って行く。15分程歩くと、
山門の仁王像が眼前に現れる。
山門を抜け、更に鬱蒼とした林の中を進む。
バスの終点から坂道を登る       階段の先に山門

吽形              阿形

山門を過ぎて更に上る
 
本堂は改修中であり、シートで覆われおり、参拝できない。
向かった先は宝物館。ここに、重文クラスの仏像が数多く
安置されている。
日向薬師の縁起によると開基は行基となっている。
開基の行基にも、文化財の多さにも驚く。
  縁起と文化財一覧        宝物館仏像の安置図
 
宝物館には丈六の薬師如来像(三尊像)と阿弥陀如来像が
館内の東西にどっしりと鎮座している。いずれも鎌倉時代の作で重文。
慶派による造像の可能性が指摘されている見事な像だ。
恐らく、いずれかの堂塔に、ご本尊として祀られていた像と推察される。
この2体を拝観できただけでも満足する。
 
館内正面の厨子を囲むように四天王や十二神将が所狭しと
並んでいる。四天王は、奈良・興福寺南円堂四天王像に近い
雰囲気が見られる。
こちらも間違いなく、慶派仏師のなかでもかなり優秀な人の作
ではないかと言われている。
 
また、十二神将は大小二組の像が交互になって立っている。
小さい方の像は平安時代の作とのことであり、中にはVサイン(刀印)を
出しているような像もある。
また、今まで見たこともないポーズを取る千手観音は愛嬌がある。
 
薬師三尊像          阿弥陀如来坐像
(金沢文庫 特別展の図録から)

 厨子の周りの四天王像が見事  拝観を終え、宝物館を後にする
 
日向薬師での拝観を終え、元来た道を逆コースで戻った。
伊勢原駅前で昼食を済ませ、午後からは大山寺へ向かう。
午前中とは別ルートのバスに乗り、徒歩、ケーブルカー、
と乗り継ぎしながら大山寺に辿り着く。
午前中に比べ、少しハードな行程。
 
駅バス停から見える鳥居      バス停を降りケーブルカー目指して歩く

ケーブルカーで大山寺へ向かう

大山寺に到着して、早速、外陣から参拝する。
その後、拝観料を納め、内陣に入り、数々の
仏像を拝観して回った。
大山寺の開山は東大寺の初代別当良弁(ろうべん)
僧正とのことだ。

大山寺に到着          お寺の歴史
 
内陣左手には不動明王を中心にして周りを4明王が囲む
五大明王像が目に入って来た。造像もしっかりしている。
中央にはご本尊のお前立となる不動三尊像が並び
不動明王のお姿が見えないくらい大きな倶利伽羅龍が
刀に巻き付いていた。
 
更にこのお前立両脇には、向かって左右に分かれ
金剛界、胎蔵界の大日如来が鎮座している。
また開山良弁僧正と、弘法大師空海も両脇に祀られていた。
 
お前立の奥へ進むと、ガラス張りとなった中に、ご本尊の
くろがね不動明王三尊像が安置されていた。
鎌倉期、重文の見事な像だ。玉眼は後補か、異様に光っていた。
仏像と言えば、木造、銅造、乾漆造、塑造などが一般的だ。
鉄造の仏像はあまり、聞いたことがない。
          五大明王像     ご本尊 鉄造 不動明王三尊像
                       (ネットでの画像)
 
ご本尊の真ん前(お前立と背中合わせの場所)に、
秘仏三面大黒天が安置されている。
この作者が高村光雲とのこと。
高村光雲は今年ご開帳となった高野山金堂ご本尊の作者でもある。
中央が大黒天、左右に、毘沙門天、弁財天を配置したご利益の
多そうな像と言える。
三面大黒天は豊臣秀吉の念じ仏として有名。
秀吉はこの仏像を戦場にまで携行したようだ。
 
また、秘仏の愛染明王や如意輪観音も拝観できた。
これだけ沢山の仏像と一時に接し、大変得をしたように感じられた。
 
最後に、記念撮影をして、今回の見仏会を締めくくった。
本堂を背に記念撮影
 
日向薬師、大山寺の創建に関わる人物として、行基(668~749)、
良弁(689~774)、空海(774~835)が登場する。
日向薬師の宝物館にも、薬師三尊像の脇に行基(向かって右)と
空海(左)が祀られていた。
 
生存年を見ると行基、良弁は同時代を生きた人であり、
共に聖武天皇を支え、東大寺創建と大仏開眼に多大な
功績を残した。
良弁が亡くなった年に空海が生まれたことも不思議な縁を
感じる。
 
旧仏教である南都六宗に対して、新仏教として台頭したのが
最澄の天台宗と空海の真言宗。
日向薬師も大山寺も東大寺(華厳宗)と言う南都のお坊さんが
創建した寺院。
 
空海は旧仏教創建の寺院も引き継いでしまう融通無碍な、
懐の深いところがあるように思える。
空海は敵対しないで、すべて吸収してしまう。
この2寺院の創建縁起を見ても、感じた。
 
今回も、本当に楽しい、充実した一日となった。
ご参加の皆さん、共に過ごせた貴重なお時間
有難うございました。
  
 

2015年10月16日金曜日

朝比奈さん「阿弥陀聖衆来迎像の制作と背景」を解説!

 
10月定例会にはゲスト3名も加わり、総勢31名の参加と大変賑やか。
今月のメインは、朝比奈さん制作の仏像彫刻を拝見させて頂き、制作の
背景やプロセスについての話をお聴きすること。
定例会にご参加の皆さん      映像で解説される朝比奈さん

朝比奈さん制作の仏像彫刻展示(中央:阿弥陀如来、
向かって右:観音菩薩、左:陀羅尼菩薩)
 
仏像の制作だけで大変なところ、発表用のパワーポイントまで
きっちり準備され、本当に頭が下がる思いだ。
朝比奈さんの熱意は皆さんに充分伝わったことと思う。
 
阿弥陀聖衆来迎像制作のきっかけとなった出来事、参考にされた
仏像・仏画の紹介、具体的な制作プロセス、制作上苦心されたこと、
今後の予定と順序立ててお話しされた。
その中からポイントのみまとめて、ご報告させて頂く。
 
阿弥陀聖衆来迎像とは中尊の阿弥陀如来にお供する二十五菩薩の
ことであり、今回は観音菩薩と陀羅尼菩薩を制作された。
(阿弥陀如来像は以前に制作済み)
 
制作のきっかけになったことの一つに、BAC企画の
「關信子先生の講演会〝迎講″」があったと聞いて、
プランナーとして大変嬉しく思えた。
また、お身内のご不幸に、極楽往生を願い、
制作意欲を後押ししたことと推察する。
 
プレゼン内容の次第     制作のきっかけとなった出来事
 
朝比奈さんは、仏像制作前に、二十五菩薩で有名なお寺を
参拝し、制作のためのイメージづくりをされている。
奈良・當麻寺、京都・即成院、大阪・葛井寺などの国宝・重文クラスの
名作を制作者の眼で観察された。仏師・道雲の眼だ。

當麻曼荼羅           即成院、當麻寺の二十五菩薩など
 
九品往生でのお迎えの解説が面白い。
「上品上生」は阿弥陀聖衆来迎(阿弥陀と二十五菩薩)、
「中品中生」が阿弥陀三尊(阿弥陀と観音・勢至)、
下品下生は蓮台のみとされた。皆さん、大笑い。
(皆さん、ご自身はどれと思われたか?)

二十五菩薩のうち観音菩薩と陀羅尼菩薩が完成し、
次の制作は勢至菩薩とのこと。
勢至菩薩が完了すると阿弥陀三尊像が成立する。
制作にどのくらいの年数がかかるのだろうか。
それにしても、いろんな持物がある。
持物の意味も明確にしたいものだ。
 二十五菩薩の名前と持物
 
いよいよ、制作の手順について解説された。
朝比奈さん独自の工夫が興味深い。
粘土モデルの制作に着せ替え人形を
活用されているとのことだ。
首、腰や手足の関節を自由に動かすことができれば、
二十五菩薩の姿勢も造り易いと想像できる。
 
①粘土モデルの制         ②木取り

③粗彫り             ④小作り

⑤仕上げ             ⑥完成
 
それぞれの段階に独自の工夫やご苦労された点を
詳細に解説された。本体以外の台座や光背などの
制作も大変な神経を使われるようだ。
二十五菩薩制作は正に、ライフワークとなると思われる。
ご無理なさらずに、楽しみながら続けて頂きたいと
願ってやまない。

定例会終了後、朝比奈さんは展示の仏像を一体ずつ、
丁寧に梱包し、宅急便での返送準備をされた。
精魂込めて制作された作品であり、大切に扱う姿に、
再び感謝の気持ちが湧き上がった。

今回は時間的に質疑応答の時間を設けられなかった。
ぜひ、次回に時間を設けたい。